シルバー精工社製「ミネラル還元水素水生成器(SWM510)」の修理依頼をいただきました。
水素水の効果について色々と議論された後、会社は2011年に倒産しています。
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段ボール箱に梱包されて送られてきました。
説明書等は一切(ネット上にも)ありません。
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水を処理するポット部、電解生成電源部、
電源アダプターで構成されています。
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水道水を処理して還元水素水を生成するポット部。
約1L水が入り底部に電極が取り付けられています。
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電解生成用の電流を作り出す電源部。
ポット部の電極に電流を送る端子が見えます。
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「ENERGY HYDROGEN」活性水素を
生成するという意味でしょうか。
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電源部の底面に製造シールが残っていました。
会社は既に倒産しており修理の当てがありません。
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ポット部の底面にも3本の端子があり、電源部の端子と
接触します。2個の黒い部品はマグネットでしょう。
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端子の近くにホール素子が内蔵されていて
ポット部がセットされていることを検知します。
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電気分解により常時水素と酸素が発生し、
水道水のカルキがびっしり付着しています。
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カバーの奥に電気分解用電極が3枚見えます。
中央の1枚にカルキが分厚く積もっています。
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基本的な確認から始めます。まずAC
アダプターの状態を確かめます。
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アダプタ表面に出力電圧15Vとあるところ
無負荷で20Vほどです。問題ありません。
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電源を入れてもLEDが点灯しないとのことです。
ポット部よりも先に電源部の点検にかかります。
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ケース裏蓋を開けた瞬間一目瞭然です。
電子回路基板に腐食が広がっています。
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基板の裏側です。左上部と右下部、さらに中央部にも腐食が見られます。
特に左上部の損傷が深刻です。ここは回路全体の電源供給部のようです。
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表側(部品取り付け側)も見てみます。
裏側ほど酷くはありませんが・・・
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一部表側にも腐食が広がっています。両面配線
基板なので、部品の取付穴はスルーホールです。
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外から眺めるだけでは腐食の進行具合は分かり
ません。ワイヤブラシを使って酸化物を落します。
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電源供給部の状態です。赤錆色が見えるので、パーツの
リード線やランドに腐食が及んでいる可能性があります。
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ワイヤブラシで腐食によってできた表面の
酸化物をできるだけ取り除きます。
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酸化物の下に残っていた半田や
ランドの一部が見えてきました。
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腐食によりあちこちで半田やパーツのリードが失われて、ソリッドステートの意味が
なくなっています。普通ならば完全にお手上げの状態ですが、「何とか」します。
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劣悪な環境下に置かれ、コーティング等の処理もない
ため、非耐蝕性の半田では簡単に腐食が進みます。
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半田をボロボロにしながら腐食が進み、ついに
パーツのリード線や基板のランドにも及びます。
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ワイヤブラシをかけた後、半田ごてを使って
残っている半田を溶かして除去します。
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パーツのリード線やランドにも腐食が進んでいる場合、
新しい半田がのるようにその表面を研磨します。
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リード線が失われている場合は新しい部品に交換し、ランドが欠損している場合は、
ジャンパ線で配線を補います。接続が怪しい箇所全てについて作業を繰り返します。
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電源供給部周辺をほぼ復旧させました。ランドに腐食が
広がりレジストが浮き上がって一部剥がれ始めています。
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作業の途中でACアダプタソケットすぐ横の
マイラコンデンサが脱落してしまいました。
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腐食により片側のリード線がなくなっています。
同等部品(104)を補うことにします。
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幸いなことにストックの中に同等の
マイラコン(104)がありました。
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この青色LEDのリード線も片方がほとんどなくなっていました。最後にLEDの
根元部分を引き出して半田付けし直したところ、ついに回路が復活しました。
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もうひとつの難題は、本体各所にこびり付いた
カルキを取り除くことです。洗剤では除去不能です。
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カルキの沈着と同時にカビを取り込み、黒い汚れとなって
残っています。スクレーパ等でこそぎ落とすしかありません。
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ハンドルと本体の差し込み部内部にも汚れが
侵入しています。外して完全に洗い落とします。
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電源部のカルキは少な目ですが、塗装表面の汚れと
劣化が進んでいます。できれば再塗装したいのですが・・
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ネームプレートや説明書きのマスキングが
大変なので、普通に洗剤でクリーニングします。
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塗装の傷みがあるので綺麗にはなりませんが、
煤けたような汚れが落ちて清潔感が出ました。
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ポット部の電極をメンテします。陰極側(中央)に大量の
カルキが付着しており、電解を低下させかねません。
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洗剤等で除去できるものではなく、ドライバの
先などを使って根気よくこそぎ落していきます。
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3枚ある電極をクリーニングし終わりました。中央の1枚(陰極側)はカルキが
落ちて金属面が露出しました。電気分解の能力が大幅に復活するはずです。
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クリーニングを終えた電源部裏蓋に
パーツを組み付けて行きます。
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電極へつながる端子、ポット部検出用ホール素子
からの配線をコネクタを介して基板に接続します。
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タクトスイッチの接触位置を確認しながら
回路基板を電源部内に組み入れます。
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回路基板に腐食防止レジスト処理を施すべきでしょうが、
いずれその下から再度腐食が進むのでこのままにします。
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4本のタッピングネジを締め付けて電源部
(ポット部を載せる台)の組み立て完了です。
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ポット部と電源部を合体させてみます。
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カビ混じりのカルキ汚れが落ちて
全体がすっきり綺麗になりました。
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ポット部の注ぎ口周りも完全に汚れが
落ちて清潔感が漂っています。
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いかに綺麗にクリーニングされようとも、電気分解によって水素水が生成
されなければ意味がありません。写真はスイッチOFF状態の電極周りです。
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スイッチONにすると中央の電極(陰極)から無数の泡(水素)が
出てきます。ほとんど絶望視していた故障品が復活を遂げました。
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