ご婦人用バッグ(ショルダーバッグでしょうか?)修繕のご依頼です。多目的に
利用できそうな素敵なバッグです。工房はこれまで皮革製品を扱ったことは
ございませんが、ダメモトを了解いただいた上でお預かりしてきました。
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バッグ開口部の周囲に巡らされて
いる紐状の縁取りが切れています。
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元々は部品の段階で外皮の縁に
沿って、縫い込まれていたようです。
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損傷の及んでいない反対側を確認します。縁取りの
ある2枚の皮革が綺麗に縫い合わされています。
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切れてしまったのはバッグ内側の
皮革に取り付けられていたものです。
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縫製により本格的に修繕するには、経験も技術も
道具も不十分です。接着により修復するしかありません。
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接着には接着面を整えておく必要があります。
ほつれて残っている糸を丁寧に取り除きます。
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この程度に整えておけば、十分な接着面が確保できるでしょう。問題は接着剤の選定と作業
方法です。皮革に順じた柔軟性を考慮すれば、合成ゴム系の接着剤を使用したいところです
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しかし、接着面が線状で面積が確保できず、接着
強度が十分出ないでしょう。瞬間接着剤を選びます。
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多少柔軟性を欠いても「取れない」ことを
重視します。この極細ノズルが役に立ちます。
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いきなり部品を貼り合わせるのは無謀です。
先に端面に接着剤を塗布し下地を作ります。
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下地を作りながら、破れて乱れて
いた皮革の端面を修復します。
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外側・内側皮革を端面に沿って接着することで、
今後損傷が進行することが防止されるはずです。
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離れてしまった紐を接着します。まず、中間の
数か所を位置を決定しながら仮止めにします。
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予め同じ瞬間接着剤による下地が出来ているので、正に瞬間で接合力が生じます。ここで極細
ノズルを使用します。仮止め箇所の間で、紐を押さえながら隙間に接着剤を均一に流し込みます。
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紐が撓まず突っ張らず、程良く均一に
接着されるよう、少しずつ丁寧に進めます。
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瞬間接着剤は余分がはみ出て固化すると、光沢を
放ちます。しっとりした皮革の印象を損ないかねません。
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逆に接着剤が不足すると接着強度が出ません。
美観を損ねないように注意深く修正を加えます。
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ひと通り接着を終えました。紐が切れて
いたり隙間が見える部分はありません。
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難を言えば、やはり瞬間接着剤を使用したため、開口部の柔軟性
(しなやかさ)が修繕していない側に比べて若干失われています。
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見た目には修繕していない側とほとんど区別が付きません。
ご依頼者に見ていただいて納得されるかご判断を待ちます。
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