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レーザープリンタ不調(2016.2.24)

工房の主力印刷機レーザープリンタです。元の職場で廃棄になったものを
譲り受けてきました。元々紙が詰まりやすく定着器のゴムローラに深刻な
損傷がありました。未使用のトナーカートリッジが残っているので、再生品の
定着器ユニットを手に入れ、感光体ユニットのタイマーを偽装しながら何とか
使い続けてきました。工房のチラシを大量作成中にトラブルが発生しました。
 

2005年12月発売のEPSON製ビジネスプリンタ
OffirioLP-S4500、3パスのカラーレーザーです。
 


印字品質や速度ばかり追求される中、ようやく
ペーパーハンドリングが重視され始めた頃の機種です。
 

連続して数十枚印刷すると、途中で紙詰まりを
起こします。同時に本体が異常に熱くなります。

「紙を取り除いてください」と表示が出ますが、
異常な発熱に関しては警告等何も出ません。
 

詰まっている紙を取り除くため、
上部と手前2か所のカバーを開けます。
 


先に定着器の隙間に挟まっている紙を取り除きます。
定着器の本体および周辺は異常に過熱しています。
 

定着器をスムーズに通過できなかったため、トナーの定着にムラがあり
ます。また、触れないほど紙が熱くなっており、一部は焦げ始めています。
 


用紙カセットを出たところで、もう1枚次の
用紙が詰まっているので取り除きます。
 


転写ベルトに用紙に転写され損なったトナーが残っています。
連続時に問題が発生するのは、異常過熱と関係しそうです。

 

定着器を取り外して点検するため、外装部品を中心に分解を
進めます。操作パネル固定パーツの止めネジを緩めます。
 

固定パーツが外れると、操作パネル
および周辺部品は簡単に分解できます。
 

操作パネルを上に引き上げ、
根元の爪を解放して外します。
 

操作パネルへの信号ケーブルと
アース線がコネクタ接続されています。
 

ケーブル・アース線とも丁寧に
コネクタごと抜き取ります。
 

操作パネルの下に、漏斗のような形状を
した一体成型部品が収められています。
 

本体右サイドに開口するクーリング
ファンからの気流導入用フードです。
 

フードの上下を通りケーブルが数本
コネクタで接続されています。
 

定着器を取り外すには、予め
コネクタ接続を全て抜いておきます。
 

右コーナー部の内側に、もう
1本コネクタ接続があります。
 

定着器の取り外しにかかります。
先に左側の外装部品を外します。
 


外装部品の下に上カバーの固定と高圧
コネクタを保護するパーツが見えます。
 

パーツの内側に打たれている
固定ネジを緩めます。
 

パーツを外すと上カバーの固定が
解かれて取り外し可能になります。
 

印刷済用紙スタッカ手前の上カバーを取り外します。
用紙送りの補助機構が複雑に取り付けられています。
 

定着器ユニットは通常のネジによる固定ではなく、
金属製スリーブを介して正確に位置決めされる方式です。
 

左右に2本ずつあるネジを、途中まで緩める
だけでユニットを取り出すことができます。
 

右側上段のネジを緩めます。内部に
トナー粉末がかなり散乱しています。
 

定着器に高電圧を供給するコネクタを抜きます。
十分に絶縁対策が施されています。
 

定着器がユニットごと外れてきました。かなり重量があり突起部や
数本のケーブルを従えているので、損傷させないよう留意します。
 

作業しやすいよう作業台の上に移動させてきました。電源を
切ってから時間が経っているので「熱く」はありません。
 

下側からヒートロールとプレッシャーロールの状態を確認
します。トナーが少し付着していますが良好な状態です。
 

疑わしいのはこのセンサーです。ローラー
表面の温度を監視する熱電対だと思います。
 

右端に1個と中央部に1個の
計2個が取り付けられています。
 

このセンサーに問題があると、ローラー表面温度が
限度を超えてもヒータへの電力供給が制限されません。
 

まず、中央部に取り付けられて
いるセンサーを外してみました。
 

特に問題ないようです。僅かにトナーが
付着しているので清掃しておきます。
 

次に右端のセンサーを外して点検
します。手前方向に抜き取ります。
 

酷い状態です。得体のしれないやや粘性のあるゴミが付着し、カビのような色に
変色しています。厚みが1mm近くあり、断熱材のような役を果たしています。
 

消毒用エタノールを用いて
清掃(拭き取り)します。
 

センサーは耐熱性ポリイミドフィルムに表面
実装されているようで、拭き取りは簡単です。
 

完全に汚れを除去できました。これで
センサー感度の問題は解消すると思います。
 

ローラー表面の汚れもエタノールを
用いて丁寧に清掃します。
 

定着器をプリンタ本体に戻します。各部が
入り組んでいる中に正確にセットします。
 

先に定着器の左側を位置決めし、後から
右側を落とし込むと上手くいきます。
 

この金属バーは手前カバーの開閉によって前後します。
カバーを閉じぎみにしないと定着器がつかえます。
 

気流導入用フードを元に戻し、
ケーブルを全て差し込みます。
 

操作パネルを元に戻します。前もって
内側のケーブルを接続しておきます。
 

開閉軸を合わせて上カバーを取り付けます。
左側の固定・保護パーツを元に戻します。
 

最後に左側の外装パーツを取り付けます。定着器ユニットは
この程度の分解でアクセスできるよう設計されています。
 

上カバーと手前カバーを閉じて電源を入れます。完全に
閉じないと定着器系統に電力が供給されません。
 

テスト印刷してみます。数枚程度であれば
問題なくスムーズに印刷されてきます。
 

問題は数十~数百枚を連続印刷した場合です。センサーが機能しているので
極端な過熱の心配はなくなったようです。しばらく様子をみることにします。

 
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