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Roomba531廃棄品の修理(2016.10.15)


Roomba531、初期の頃のiRobot社製自動掃除機です。ある教会で長年
利用されてきましたが壊れてしまい、いったん廃棄されたものを引き取ってきました。
 

誰もいない教会の広い礼拝堂をひたすら掃除し続け、
白い本体は汚れ果ててもはや微動だにしません。
 

アダプターを接続してもエラーが
表示されて充電されません。
 

底面を点検します。メインブラシ・フレキシブルブラシともに
大量の埃がまとわりついています(写真はクリーニング後)。


製品表示を確認します。Roomba531型ですが
ネット上に公式のスペックは既にありません。
 

後部のダストボックスを取り外します。ボックス内にも
埃が溜まっていますが、そのまま廃棄されたのでしょう。
 

ブラシボックスのカバーを開けます。手前の
黄色レバーを押すとロックが外れます。
 

2本のブラシを取り外します。写真左側の
白いソケットが回転して駆動されます。
 


回転部品はとかく糸状のゴミ(特に髪の毛)が
絡まりやすいものです。ブラシの軸受を点検すると・・
 

これだけの毛髪を巻き込んでいます。ブラシの
回転にかなり支障が出ていたはずです。
 


根こそぎ取り除きます。メインブラシ・フレ
キシブルブラシともに同じ状態でした。

 

メインブラシの隙間には奥まで綿埃が入り込んでいます。クリーナーとピンセットで
根気よく取り除きました。フレキシブルブラシとともに交換してしまうのが良いでしょう。
 

4本のネジを緩めて裏蓋を外します。この作業は普段の
お手入れ項目に含まれており、ネジは脱落しません。
 

裏蓋が外れて内部が見えてきました。
中央にバッテリーが収められています。
 

左側駆動ホイールの周囲です。モーターから
伝達ギヤ部にかけてひどく埃が集積しています。
 

右側も同様です。おそらく一度も手入れされて
いない・・裏蓋が開けられたことがないのでしょうか
 

フロントホイールを点検します。自在車なので軽く首を振るはずですが・・
周囲にぎっしりと綿埃が入り込んで、まるで回転しません。
 

シャフトが本体に圧入されているだけです。
マイナスドライバーを入れて持ち上げてみると・・
 

外側からピンセットなどで取り切れるはずがあり
ません。凄い量の綿埃が固く詰まっています。
 

ブラシボックスをさらに分解します。緑色のボックスの
外側に青色のホルダーが組み合わされています。
 

脱落防止のされた4本のネジを緩めると
ブラシボックス全体が外れてきます。
 

青色のホルダーを裏側から見ると、こちら側にブラシの駆動
モーターが組み込まれています。やはり綿埃が詰まっています。
 

綿埃まみれの酷い状態ではありますが、ここまで
特に物理的な破損個所は見つかっていません。
 

ありきたりですけれど、正常に充電されずエラーが
表示される・・いわゆるバッテリーの劣化でしょうか。
 

しばらくアダプターに接続した後でバッテリー端子の電圧を確認すると、
3Vまで出ていません。100Ω程度の負荷をかけた状態では、ほぼ0Vです。
 

交換用バッテリーは品数が豊富です。iRobot社純正で1万円
前後のものから、互換品で2千円台のものまで色々です。
 

Amazonで14.4V、3.5AHのNi-MHバッテリーを
購入します。夕方注文して翌日昼前に到着、送料無料!
 

エラーを意味する赤色点滅が消えて、
充電中は赤色の点灯になりました。
 

充電終了後に中央のボタンを1回押します。
緑色に点灯して無事電源ONになりました。
 

ダストボックスもクリーニングしておきます。
初期型なのでエアロバック式ではありません。
 

排気ファン駆動モーターへの電源供給
端子部にある小ネジを緩めることで・・
 

カバーが外れて排気ファンユニットに
アクセスできるようになります。
 

長い年月の間にここまで埃が入り込んでいます。
排気ファンユニットも取り外して点検します。
 

精巧なシロッコファンが組み込まれています。一般的な家庭用掃除機ではおよそ
想像もつかないようなシュリンクされたメカニズムです(写真はクリーニング後)。
 

各部の点検、徹底的なクリーニング、バッテリーの
交換作業と進み、外装のポリッシュに移ります。
 

品のあるホワイトの外装が全体的に黒ずみ、
至る所に擦り傷があり深く汚れが入り込んでいます。
 

家庭用洗剤、樹脂用コンパウンド、傷による深く入り込んだ汚れにはクレンザーを
使用します。本体にプリントされているロゴマークを落とさないよう丁寧に拭き取ります。
 

溝の奥に入り込んでいる汚れも、ドライバーの
先を利用して内部まで完全に取り除きます。
 

同じ個所のクリーニング後の状態。
綺麗になって清潔な印象です。
 

この通りバンパー部は傷だらけです。衝突することで
壁など障害物を検知しているので止むを得ません。
 

少し乱暴ですが研磨剤入りのクレンザーを
使用して傷ごと取り除きます。
 

元々本体はノングレアの白色で、樹脂自体が着色されています。光沢が出る
手前でコンパウンドの使用を止めることで、元の風合いを取り戻すことができます。
 

新品・・には戻りませんが、新品状態に
かなり近づいていると思います。
 

至る所傷だらけでしたが
ほとんど目に付きません。
 

捨てられていた・・のに、何事もなかった
かのように元気に走り始めました。
 

動作音、走行音ともに軽やかでキビキビ走り回ります。
できればブラシ類を全て交換したいところです。
 

500シリーズから始まったRoombaは、600、700シリーズを経て現在は最新機種
800シリーズに発展しています。800シリーズのバッテリーは6年間!交換不要です。
掃除機構の性能向上もさることながら、床平面の認識や走行パターンの生成など
アルゴリズムの工夫とプログラミングによって劇的に進化してきた自動掃除機です。
「勝手にお掃除してくれる」機械に注ぎ込まれた巧妙な技術に脱帽です。

 
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