愛らしいラウンドシェイプ(丸胴型)のCDラジオカセット修理のご依頼です。年配の
方々のご家庭には、かつての「ラジカセ」が相当数眠っているようです。その多くが
どこか故障していて、使えないけれど捨てることもできない状態・・です。守谷工房で
直らなければ粗大ごみ、直れば再び懐かしいテープを楽しんでもらうことができます。
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CD再生機能がまだメジャーだった頃、CDの
円盤形をベースに全体がデザインされています。
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型番を確認します。経営再建に必死の東芝製、
既に音響関係の製品から撤退しています。
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2007年発売の「TY-CDS3」、東芝のWEBに記載は
なく、発売時に取り上げられた記事があるのみです。
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取扱説明書は現在もダウンロード可能です。発売後10年が
経過し、東芝に限らず修理対応期間は終了しています。 |
CDドライブ(光学ピックアップ)が機能するか心配
です。案の定、エラーが表示されて再生されません。
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ピックアップレンズのクリーニングで復活してくれると
幸いです。レザーの出力調整は極力避けたいものです。
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ピックアップレンズをクリーニングしようと不用意にレンズ支持部を動かすと、
ピックアップ保持機構のバランスを完全に崩し、修復不能状態になりかねません。
柔らかいフェルト状のブラシに専用のクリーニング液を付けて、丹念に拭きます。
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運良くCD再生は復活しました。CD-R等も問題なく
再生できます。続いてカセット再生機能に移ります。
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ミュージックテープをセットし、
再生機能を確認していきます。
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音がややふらつくものの何とか再生できます。
が、早送りと巻き戻しが正常に機能しません。
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早送り・巻き戻しともに巻き取り速度が極端に遅く
なります。デッキのメカニズムに問題があるようです。
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ネジを緩め底部カバーから外します。意匠を凝らした
デザインほど複雑な組み付け構造を伴いがちです。
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底部カバーの内部に電源周りの部品がまとめて取り
付けられています。コネクタでケーブルが脱着できます。
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内部に大量のごみ・埃が溜まって
います。修理前に掃除しておきます。
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メイン基板から出る音量調節用の可変抵抗、ラジオの
チューニング用バリコン、いずれもツマミを取り外します。
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メイン基盤を取り外すため固定ネジを緩めます。が、
直後に緩めずともデッキにアクセスできることが判明。
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CDドライブとメイン基板を含む上部カバー、カセット
デッキとスピーカーを含む前面パネルに分離します。
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両者は互いに嵌め込まれているだけです。ケーブルも
全てコネクタ接続なので簡単に切り離すことができます。
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カセットデッキ部を固定しているネジを緩め
ます。ここまで来れれば後は何とかなります。
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デッキ部分を持ち上げてみます。表裏両面から点検
できるので、原因が見つかるのは時間の問題です。
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押しボタン直下の本体カバー内部です。夥しい
埃が入り込んでいます。掃除機で吸い取ります。
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デッキを動作させるのに必要なケーブルのみを接続し、裸の状態で駆動系を
動作させてみます。キャプスタン軸(写真手前の大径プーリ)は問題なく
回転していますが、真上に見えるリール駆動軸がほとんど回っていません。
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キャプスタン軸経由でリール軸に回転を
伝達するゴムベルトが劣化しています。
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非オートリバースデッキなので、駆動機構が
単純で使われているベルトも2本のみです。
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先にモーターとキャプスタン軸を連結するベルトを
外しておき、その下から劣化したベルトを取り出します。
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工房在庫のベルトと照らし合わせます。幸い
丁度良いサイズのものが見つかりました。
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僅かにきつめのベルトですが、いずれ多少は伸びてくるのでこのままで
問題ないと思います。再生音も正常です。当初のふらつきも解消しています。
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元通りに組み上げて修理完了です。ハイレゾ音源の普及が進みつつある中、何とも
手軽な(気軽ではなく)再生音で聴き疲れしません。手放せない理由が分かります。
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