特養老人ホームから全自動洗濯機に不具合があるとの連絡をいただき
ました。先だって修理を終えた衣類乾燥機とセットになっている1台です。
静かさが売りの機種にもかかわらず、脱水中の騒音が大きく、途中で
停止することがあるそうです。今回は現場での原因究明と修理作業です。
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HITACHI製NW-8SY。2013年秋に発売、既に
生産終了していますがまだ店頭に在庫があります。
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ネット上には現在も、取り扱い
説明書のPDFファイルがあります。
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シャワー浸透洗浄、簡易風乾燥、カビ取りなど
機能が多く、作業前に取扱説明書を一読します。
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付属DVDの中に、洗濯中や脱水中に出る(正常な)
音が収録されており、静かさを強調しています。
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脱水運転で内側ドラムを回転させると、確かに
底の方からタッタッタッタとけたたましい音がします。
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洗濯機を広い場所に引き出し、
背面のカバーを開けて点検します。
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駆動モーターや回転ドラムのシャフトにアクセスするには、
本体を横倒しにして、底面から覗き込まなければなりません。
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使用年数が浅いせいか内部はかなり綺麗です。
以前にモーターに不具合があり交換されたそうです。
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騒音に関係するか分かりませんが、モーターと
ドラムにかかるベルトにずい分遊びがあります。
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背面側から見えるこの赤い円形パーツは、
工程に従って一定角度回転するカムです。
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カムの先に取り付けられているレバーのような
金属製パーツが、カムの位置により下がったり・・
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カムに押されて持ち上がったりします。この時、騒音はピタリと
止みます! レバーの機能を割り出すためさらに分解します。
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レバーの先はL字型に2回折れ曲がって、
ドラム回転用のプーリの奥(上)に届いています。
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ドラム回転時の騒音はプーリの奥、
レバーが届いている辺りから聞こえます。
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レバーの組み付け状態を確認するため、
駆動ベルトを外し従動側プーリも抜き取ります。
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本体を横倒しにして底側から作業して
いますが、姿勢的にかなり辛い作業です。
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ベルトとプーリが外れ、レバーの取り
付け具合が見えるようになりました。
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赤いカム側でレバーが下がると反対側は持ち上がり、
駆動シャフトの根元にある緑色のパーツに接触します。
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カム側が持ち上がると反対側は下がり、
接触が解除されます。これはブレーキです。
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レバーを取り出してみると、カムによって上下される
接点にはこの樹脂製パーツが使用されています。
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騒音はカム側でレバーが完全に持ち上がらないことで
発生します。ブレーキが十分解除されていないのです。
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その根本原因は、カムと接触する樹脂パーツの先端が
摩耗したことです。レバーの動作位置を変化させています。
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パーツ交換が最適ですが、最初の解決方法
として突起を多少高くすることを考えました。
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樹脂パーツの根元にスペーサ代わりに
ワッシャを入れて高さを稼ごうとしました。
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ワッシャを固定した瞬間接着剤は敢え無く取れてしまいました。
次に考えたのは、ペンチでレバーに力を加えて僅かにL字の角度を
小さくする方法です。先端の摩耗分を元に戻したことになります。
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屈んだ姿勢での作業が限界に近づいています。
レバーを元通り組み付けプーリやベルトを戻します。
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以前にモーターを交換された際、ベルトの張りが不十分
だったようです。適正に調整してボルトを締めます。
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脱水運転を行っても騒音はしません。この機種の売りの通り、非常に静かな運転音です。
途中で停止してしまうのは足が1個接地しておらず、しかも水平からかなり傾いていたため
でしょう。足の下にスペーサーを入れて適切に設置することで、その後無事解消しました。
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