昨年末来お預かりしていた電気掃除機です。事情があり修理作業が
大きく遅れていました。手元スイッチを操作してもモータが起動しません。
当然、全くゴミを吸い込みません。先端のパワーブラシは回転します。
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従来型のフィルタ方式で、
紙パックのいらないタイプです。
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三菱電機ホーム機器製TC-EXD8P-W型、2014年
5月発売、現行機種はD→E・Fと進化しています。
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基本的な部分から点検を始めます。
まず、本体からホースを抜きます。
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ソケット部に電極が3本取り付けられています。
AC100Vの電力用とコントロール用でしょう。
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本体側ソケット部は、内側に
電極の差し込み穴が見えます。
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電源コードをコンセントに差し込んだ
状態で、電圧の有無を調べます。
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AC100Vが確認できるので
ここまでは通電しています。
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手元スイッチ部の不具合が疑われます。
この部分の分解は簡単ではありません。
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先にソケット周りを分解します。
カバーを固定しているネジを緩めます。
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ソケット部のカバーがスライド
しながら抜けてきます。
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電極と回転シューが露わになりました。
回転シューは上下に2分割されています。
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内側のリング状電極にシューが接触して
自由に回転します。特に問題ありません。
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手元スイッチ部の分解に移ります。
実装がタイトなので気が進みません。
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ほとんどの場合、前後2か所
でのネジ止めに過ぎません。
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頻繁に手に触れて力が加わる部分なので、内側にある強固な篏合に
よりタイトに組み付けられています。無理をすると爪部品を破損します。
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厄介な手元スイッチ部の分解をいったん
保留にします。本体の分解を進めてみます。
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一見しただけでは、どのネジが何を
固定しているのか見当が付きません。
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各部分をくまなく眺めながら、少し力を
加えて変形を確認しながら構造を探ります。
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前方のホース差し込み部分の構造が見えて
きました。小さなキャップ状のカバーを外します。
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続いてハンドル部の外側カバーを
手前に傾けるように引き離します。
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根元部分に鉤爪のような突起があり
基部の穴に噛み合っていました。
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左右2本の固定ネジが現れました。ハンドル部の
下側と本体上側カバーを同時に固定しています。
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ハンドル部下側カバーはホースソケット部と一体
成型されており、底部で左右の爪にかかっています。
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ハンドル部が外れてきました。家庭用掃除機とは
いえ、驚くほど複雑な3次元篏合構造です。
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ホース差し込み口の内側に電力供給
側の電極が取り付けられています。
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AC差し込みプラグとの間で導通を確認します。
導通があるような、ないような、よく分かりません。
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途中に制御回路が入っているので、
単純な導通・不通にはなりません。
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本体を逆さにした状態で
底部カバーを外します。
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左右端の固定ネジ2本を緩めると
底部カバーが浮き上がってきます。
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本体は大きく4ピースで構成されています。
ようやく露出したABS樹脂製の本体です。
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コードリールを取り外します。ゼンマイバネが緩み、
コードが最後まで巻き取られなくなっています。
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ハウジングごとモータを取り出しました。
高回転・高出力の整流子電動機です。
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金属板でシールドされたサイドの
ボックス部分を引き抜きます。
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ボックスの中にはモータの回転制御を行う基板が
収められています。外見上、特に損傷は見られません。
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モータの周囲は騒音低減用のスポンジシートでくるまれて
います。掃除機の宿命で大量の埃を吸い込んでいます。
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ブラシ(整流子)への配線を確認します。
コードの損傷などもありません。
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モータ本体をハウジングから取り出します。吸い込み口の
前後は、ラバーシールで気密性が高められています。
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大量の埃・煤を落としながら
モータが外れてきました。
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ブラシ横の開口部から内部を覗いています。奥に整流子が見え、
2方向からカーボンブラシがせり出して接触しています。しかし・・、
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カーボンブラシ先端の整流子との接触
部分で、何やら怪しい感じがします。
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保持金具を外して、押し込まれている
カーボンブラシを取り出しました。
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ものの見事に摩耗しています。
特にこちら側の摩耗が深刻です。
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片側はかなり以前に摩耗限界を超えていた
ようです。左右不均一な摩耗は不自然です。
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カーボンブラシの摩耗を発見した時点で、年末・年始にかかって
しまいました。補修部品を発注するも到着に日数を要しました。
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新品の交換用カーボンブラシ(ユニット)です。ソケットと
一体になっており、ネジ1本・ドライバ1本で交換できます。
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元の劣化したユニットを取り外します。既にブラシは
抜いてあるので、残るソケットを取り出します。
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新しいカーボンブラシを取り付けます。(ここ
までの分解作業を除けば)実に簡単です。
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固定ネジを強く締め付けます。電源は
内側の金具経由で勝手に接続されます。
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開口部から整流子とブラシの接触具合を
確認します。正しくセットされています。
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取りあえず制御基盤周りの配線を
元に戻し、通電試験を行います。
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手元スイッチを操作すると、小気味良い空気
圧縮音をたててモータが回転し始めました。
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カーボンブラシの劣化が、モータが回転しない原因であったことはこれで明らか
です。つまり、手元スイッチを含め他の部分に問題はなかったことになります。
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メーカーサービスセンターの手慣れたエンジニアで
あれば、真っ先にカーボンブラシを点検するのでしょう。
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時間や手間は余分にかかりますが、ダメモト守谷
工房は消去法でコツコツ点検するしかありません。
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ゼンマイバネを2割ほど締め上げ、電源
コードが最後まで巻き取られるようにします。
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分解に手こずった前部ハンドル
周りを、元通り組み上げます。
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タイヤを嵌め込む前に、本体の白い
樹脂カバーの汚れをクリーニングします。
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衝突しながら付着した汚れなので、簡単
には落ちません。コンパウンドを使います
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収納時に垂直に立てておくため、背面
(立てた時の底面)もひどく汚れています。
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完全には除去し切れませんが
かなりの美肌になったと思います。
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この三菱製掃除機、「逃げるは恥だが役に立つ第8話」でガッキーが使っているのと同型
です(どうでもいい話)。アートディレクタの目に留まる無駄のない洗練されたデザインです。
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