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シュレッダのボタン修復(2017.3.5)

都内の教育施設からシュレッダ修理のご依頼を受けました。深刻な紙詰まりかギヤの破損、
軸受の劣化などを想像していました。このような修理は注意を要します。整備不良が重大な
事故につながり得る機械なので、本来ならば製造元の責任で修理されるべきです。しかし・・
 

裁断の操作ボタンがなくなっています。
ボタンを何とかして欲しいとのご要望です。


驚いたことに、メーカーによる修理は上側パネル全体の
交換になり、20万円・・いや2万円(聞き違え?)とか。
 

ボタンのなくなった穴の中に、指を差し込むと
スイッチを入れることができます。が、怖いです。
 

保安部品・装置には一切手を加えません。しかし、
筐体を開けた時点で工房に一定の責任が生じます。
 

取り外した上側カバーを裏返すと、
操作ボタンの取り付け部が見えます。


簡単なプリント基板が5本の
ネジで固定されています。
 

表側を点検します。紙埃にまみれてシュレッダの裁断スイッチ
(マイクロスイッチ)と停止スイッチ(タクトスイッチ)があります。
 


幸いなことに、ご依頼元で裁断スイッチ側の操作
ボタン部品の一部(スタンド)が保管されていました。
 

スタンドの一部に破損がありますが何とか再利用可能
です。もし紛失していたら面倒なことになっていたでしょう。
 

残念ながら押しボタン部分はなくなっていま
した。どうしようかと思案していたところ・・、
 

目の前のホワイトボードに丁度良さそうな
小型マグネットが貼り付けられています。
 

上手く行き過ぎてにわかに信じられません。工房に持ち帰って
3Dプリンタでワンオフパーツを作らねばと思っていたくらいです。
 

上側カバーに開いている押しボタンが通る
穴です。不思議なほどぴたりと径が合います。
 

スタンド部品の頂上部分にマグネットを
取り付けることができればOKです。
 

スタンド部品側はABS樹脂、マグネット側はフェライト
ですから、2液性エポキシ樹脂接着剤で行けるでしょう。
 

主剤と硬化剤をよく混合し、先に
マグネット側に塗り付けます。
 

上側カバーの穴を通してスタンド部品の
頂上部分にも接着剤を塗り付けます。
 

穴と中心同士が一致するよう位置を合わせながら
両者を接着します。実質的な修理はここで終わりです。
 

上側カバーを開けたので、手の届く範囲内で内部を
清掃します。紙埃が隙間なく付着しています。
 

清掃後の内部です。ブレードの隙間に入り込んだ裁断片も取り除き
ました。もちろん電源スイッチを切り、コンセントを抜いて作業します。
 

押しボタンが少し飛び出た感じです。
あり合わせの修理で済みません。

 

本体を元の場所に収めて作業終了です。再度ボタンが
取れたら、もう少しデザインの良い部品を考えます。

 
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