都内の教育施設からシュレッダ修理のご依頼を受けました。深刻な紙詰まりかギヤの破損、
軸受の劣化などを想像していました。このような修理は注意を要します。整備不良が重大な
事故につながり得る機械なので、本来ならば製造元の責任で修理されるべきです。しかし・・
|
裁断の操作ボタンがなくなっています。
ボタンを何とかして欲しいとのご要望です。
|
驚いたことに、メーカーによる修理は上側パネル全体の
交換になり、20万円・・いや2万円(聞き違え?)とか。
|
ボタンのなくなった穴の中に、指を差し込むと
スイッチを入れることができます。が、怖いです。
|
保安部品・装置には一切手を加えません。しかし、
筐体を開けた時点で工房に一定の責任が生じます。
|
取り外した上側カバーを裏返すと、
操作ボタンの取り付け部が見えます。
|
簡単なプリント基板が5本の
ネジで固定されています。
|
表側を点検します。紙埃にまみれてシュレッダの裁断スイッチ
(マイクロスイッチ)と停止スイッチ(タクトスイッチ)があります。
|
幸いなことに、ご依頼元で裁断スイッチ側の操作
ボタン部品の一部(スタンド)が保管されていました。
|
スタンドの一部に破損がありますが何とか再利用可能
です。もし紛失していたら面倒なことになっていたでしょう。
|
残念ながら押しボタン部分はなくなっていま
した。どうしようかと思案していたところ・・、
|
目の前のホワイトボードに丁度良さそうな
小型マグネットが貼り付けられています。
|
上手く行き過ぎてにわかに信じられません。工房に持ち帰って
3Dプリンタでワンオフパーツを作らねばと思っていたくらいです。
|
上側カバーに開いている押しボタンが通る
穴です。不思議なほどぴたりと径が合います。
|
スタンド部品の頂上部分にマグネットを
取り付けることができればOKです。
|
スタンド部品側はABS樹脂、マグネット側はフェライト
ですから、2液性エポキシ樹脂接着剤で行けるでしょう。
|
主剤と硬化剤をよく混合し、先に
マグネット側に塗り付けます。
|
上側カバーの穴を通してスタンド部品の
頂上部分にも接着剤を塗り付けます。
|
穴と中心同士が一致するよう位置を合わせながら
両者を接着します。実質的な修理はここで終わりです。
|
上側カバーを開けたので、手の届く範囲内で内部を
清掃します。紙埃が隙間なく付着しています。
|
清掃後の内部です。ブレードの隙間に入り込んだ裁断片も取り除き
ました。もちろん電源スイッチを切り、コンセントを抜いて作業します。
|
押しボタンが少し飛び出た感じです。
あり合わせの修理で済みません。
|
本体を元の場所に収めて作業終了です。再度ボタンが
取れたら、もう少しデザインの良い部品を考えます。
|
|
|