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タブレットPCのマイクロUSB端子交換(2018.6.10)


愛用のタブレットPC(正確には分離型ノートPC)、ASUS製T100HAです。
軽くて性能もまぁまぁ、何より低価格で、既に2年半も使い続けています。
トラブルも多く、購入直後に起動不能で製品交換、1年後にキーボードの
不調で部品交換(その際液晶パネルも交換)、システムの再セットアップは
数知れず。そして今回は、以前から心配していた問題がついに表面化!

 

携帯・スマホ・タブレット・・・と一挙に普及したマイクロUSB端子です。この華奢な
ソケットが、電源端子という重要な役割を担っています。抜き差しが繰り返され
長いケーブルを引きずるには十分な堅牢性があるとは思えません。嵌め込みが
少しずつ緩くなり、接触不良を起こすことが徐々に増え、ついに電源が全く供給
されなくなりました。内蔵バッテリーが放電し切ると、以後使用不能に陥りました。

 

WEB閲覧にしか使用していないので、実質的な
損害はありませんが、続くトラブルにうんざりです。

 

厚さ8.45mmの精巧な筐体を分解するには勇気が要り
ます。隙間に細いドライバーをかけ、慎重にこじ開けます。

  

精密に加工された嵌め合い構造が、
ある瞬間「パカッ」と分離してきます。

 

分離したカバーはマグネシウム合金の
軽量で硬く剛性に富んだ材質です。

 

よくここまで薄く作り上げたものです。手前に2枚並ぶ白い板のような
部品は、駆動時間11.3時間を謳うリチウムポリマーバッテリー、
そして、回路基板の占める面積は全体の3分の1以下です。

 

不具合を起こしているUSB端子(ソケット)はこれです。
筐体内にへばりつくように取り付けられています。

 

作業にあたり内蔵バッテリーの接続を切り
離します。一瞬の短絡が回路を破壊します。

 

フラット形状のコネクタを上に
持ち上げるようにして外します。

 

回路基板は2枚に分かれており、その片方、
L字型基板にUSB端子が取り付けられています。

 

5か所のネジ止めを全て緩め
ます。まだ基板は動きません。

 

Wi-Fiモジュールにアンテナの
引き出し線が接続されています。

 

極小のコネクタにより接続
されています。引き離します。

 
 
もう1枚の回路基板と信号を接続
するフラットケーブルです。

 

フラップを引き上げてケーブルのロックを
解除します。僅かな力で破損します。
 
  
フラットケーブルを引き抜きます。
拡大鏡下での作業です。

 

もう1か所フラットケーブルによる接続が
あります。キーボードドックとの接続用でしょう。

 

これで基板が持ち上がるはずですが、まだ
裏側にスピーカーへの接続コネクタがあります。

 

信号ケーブルを切らないよう
慎重にコネクタを引き抜きます。

 

ようやく基板を反転させることができます。
もう1枚フラットケーブルが残っています。

 

USB端子へのアクセスは十分可能なので、この状態で交換
作業を行います。あらゆる部品が極小・極薄に作られています。

 

手前部分を覆う絶縁シートが
作業の邪魔になりそうです。

 

折り返してテープで仮止めしておきます。
半田パターンのピッチが恐ろしく狭いです。

 

交換用のUSBソケットを用意しました。
秋月電子で5個入り300円です。

 

信号端子の長さが短めです。うまく
基板に半田付けできるでしょうか。

 

元のUSBソケットを取り外します。
先に裏側の半田を除去します。

 

半田面積が小さく半田吸取器を使用できません。
ビニルコードの銅芯線に吸い取らせます。

 

半田か所の熱容量が小さいので、半田は
すぐに溶け間もなくソケットが外れました。

 

ソケットが取り付けられていた半田面を
半田コテ先で綺麗に(平滑に)します。

 

新しいUSBソケットの半田付け部分に、
ごく薄くフラックスを塗り付けます。

 

軽く半田をコーティングし、
基板と融着しやすくします。

 

信号端子の並びを慎重に揃え、先に
左右のアース端子を半田固定します。

 

続けて5本の信号端子を半田付けしようとするも、
コテ先のチップが太く半田か所に届きません。

 

そこで予備のコテ先チップを用意し、先端を細く
加工します。昔ながらの半田メッキで作業します。

 

新しいUSBソケットの信号端子が短いため、ようやく届いた
コテ先で半田付け部分を撫でるようにして融着させます。

 

何とか取り付け成功です。元通り充電
できるようになっていればの話ですが・・

 

ケーブル類を元に戻しUSB
ケーブルを接続してみます。

 

充電ランプが点灯しました(オレンジ色は充電中を示します)。バッテリーが底を
ついた後は、電源スイッチの長押しにより、オレンジ色が5回点滅していました。

 

部品を新品に交換したとて、元と同じ華奢なソケットに
違いありません。このままではいずれまた故障します。

 

ソケットがぐらつかないよう、ソケットと基板の間に
瞬間接着剤を少量流し込み固定を強化します。

 

USBケーブルを接続したままひと晩置くと、電源LED表示がオレンジ色から
白色に変わり、バッテリーが完全に充電されました。タブレットが息を吹き
返した・・・と思いきや、あらためて電源スイッチを操作するも起動しません
購入直後に突然起動しなくなった時と、同じ状況です。とっくに製品保証は
切れています、だから自力で修理したのですが。もうASUSは結構です。

 
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