市内に在住の方から、お洒落なオーブントースター修理のご依頼です。
Amadana、聞いたことのないメーカーですが、洗練されたデザインです。
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耐熱ガラス製のドアに自然木をあしらった取っ手が付いています。火傷防止用でしょうか、
取っ手は二重構造で指がガラス面に直接触れません。食パンを同時に2枚トースト
できるよう内部は2段構造で、両面を焼くために3本のヒーターが組み込まれています。
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TT-111型は現在もWEBに紹介されていますが、既に販売
終了品です。「Amadana」は「尼店」から来ているそうです。
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大手の電機メーカーを辞めた社員が2002年に
設立した会社です。製品の説明が面白いです。
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ヘルメット代わりに使用する人はいないでしょう。
1000Wを消費する高出力トースターです。
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回すとタイマー設定、押すとスタート・ストップ
できるスイッチ(のツマミ)です。抜き取ります。
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最下段のヒーターが発熱しないそうです。ヒーターの
断線、接続部の劣化、スイッチの不良等が考えられます。
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このヒーターが発熱しない・・、最低限の点検が
できる状態まで分解しなければなりません。
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やや高さのある足を取り外します。固定
ネジが外側カバーの固定も兼ねています。
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電熱器具なのでドア以外筐体は全て金属製です。
ほとんどがタッピングネジで組み立てられています。
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外側の大きなカバーが外れ、ヒーターへの配線が露出しました。
ヒーターの劣化・断線であれば、新しいものと交換すれば完了です。
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念のため最上段のヒーターから抵抗値を
確認していきます。問題ありません。
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中段のヒーターも正常です。上・中段2本のヒーターは
並列に接続されており、常に同時に発熱します。
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発熱しない下段のヒーターを点検します。
電力の配線を予め外しておきます。
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筐体の左右両面にセラミックス製のホルダーが
固定されており、その中に端子があります。
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内心、断線を期待していたのですが・・、
問題ありません。抵抗値は正常です。
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側面から庫内の温度上昇を監視する
温度ヒューズも、一応点検します。
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ヒーターに問題がないとすると、故障原因はさらに奥まった
ところにあるということです。制御回路部分まで分解を進めます。
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制御回路基板は、前面ドアの下部に取り付けられて
いるようです。ドアを完全に取り外す必要があります。
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パンを乗せるトレイを前後させ、ドアの開閉を補助する
スライダーです。スプリングをいったん外します。
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スライダーからドアリンクを抜くと、
フレームごとドアが解放されます。
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ドア下部に樹脂製カバーに覆われた
制御回路部分が取り付けられています。
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固定ネジを緩め、樹脂製
カバーを取り外します。
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回路基板は2枚で構成されています。
手前側と奥側で役割を分担しているようです。
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手前側の基板には変圧用トランスと大きめの
リレーがスペースの大部分を占めています。
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本体背面側からの配線に余裕がありません。
作業が困難なのでいったん全て抜き取ります。
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左側側面の配線口から引き出します。
3段のヒーターへ電力を送る配線です。
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この状態で配線を回路基板に戻します。
余裕ができて点検し易くなりました。
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短絡(ショート)等に注意しながら
ここで一度通電してみます。
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タイマーを適当にセットし
スタートさせてみます。
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確かに最下段のみ発熱してきません。上段と中段の
2本は、しばらくすると赤熱して猛烈な熱を放射します。
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ヒーターへの電力供給を制御するリレーです。リレー端で
供給電圧を確認します。上中段用は電圧が出ています。
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下段用リレー端では、電圧が確認できません。
この段階で既に不具合が生じています。
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リレー自体に問題があるかも知れません。
さもなければ原因はさらに奥です。
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リレーが取り付けられた基板を取り外し、
奥側基板との間に短絡防止の措置をします。
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回路基板裏側のプリント配線側
から、さらに点検を進めます。
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2個のリレーに共通する1次側接点への配線部で
電圧を確認します。もちろん問題ありません。
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2時側接点に電圧が出ているか
各々配線部分を点検します。
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下段ヒーター用の制御リレーに電圧がでていません。
リレーの接点が導通していないことになります。
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念のため、リレーを動作させる電圧が各々の
リレーに印加されているのかも確認します。
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2個とも間違いなく電圧がかかっています。片側の
リレーが正常に動作していない・・ということです。
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完全に修理するためには、不具合のあるリレーを
新しいものと交換しなければなりません。取り外します。
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半田をできる限り綺麗に取り除き
ます。半田吸い取り器を使います。
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「GOLDEN GH-1C-12L」、125VACで15Aにも耐えうる強力なリレーです。ネットで
検索しても同等品が見つかりません。15Aのパワーリレーはいくらでもありますが、端子の
配置が異なると面倒です。ようやくAliexpressで見つけるも、届くまでに1か月近くかかる
ようです。止むを得ず、工房に在庫していた中古の相当品を使って応急修理します。
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ヒーター制御用リレーを仮修理した
ところで、再度動作確認を行います。
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タイマーをセットしてスタートさせます。奥側にあった
タイマー制御やLED表示用基板の動作は正常です。
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下段のヒーターからも発熱しています。
時間が経過すると赤熱状態になります。
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上段・中段のヒーターも問題なく
発熱・赤熱しています。
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修理の経過をご依頼者様に説明したところ、取りあえずこの状態で使っていただけるとの
ことです。再度不具合が生じた時点で、補修部品を手配することで了解をいただきました。
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