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全自動ドラム式洗濯乾燥機の現実(2017.9.3)


3年前に自宅で購入した全自動ドラム式洗濯乾燥機、日立製BD-V9600です。
洗濯物を干す作業がなくなり、以後洗濯の手間が激変しました。数か月前から
奥さんが「乾燥に時間がかかる」と言い出し、洗濯物を入れ過ぎているのでは、
生地の厚いものを入れたからでは、などと真剣に取り合わないでおりました。
 

奥さんは取扱説明書にある通りに、洗濯の度に各フィルターを必ず清掃し、
「そこまでしなくても」と思うくらいに丁寧に使っています。「なかなか乾か
ない」が「全然乾かない」に変わり、「何かおかしい」が「絶対おかしい」
となり、最新型全自動洗濯機も不具合を疑わざるを得なくなってきました。

 


自動掃除機能により、いかに綺麗で清潔な状態に保たれるか、そして手入れが
不要である(らしい)ことが、カタログの1ページに華々しく鮮烈に説明されています。




日立BD-V9600、2013年発売の「ヒートリサイクル
風アイロン ビッグドラム」を謳うドラム式洗濯乾燥機

 
・強力循環ポンプを搭載しシャワーの最大流量を従来機種の約3倍となる毎分約60Lとし、高濃度洗剤液を洗濯物にたっぷり浸透させる「ナイアガラ循環シャワー」を新たに採用。
・洗濯物に高濃度洗剤液を勢いよく通過させる「押し洗い」と、大きな落差の「たたき洗い」を短時間で行うことにより、洗濯物のごわつきや黒ずみを抑えて、きわだつ白さに洗い上げる。
きれいな水で洗濯槽裏側などに付着した皮脂汚れや洗剤カスなどを洗い流し、槽を除菌、黒カビを抑える「自動おそうじ」機能や、汚れが残りにくい排水ホースを引き続き採用。
・乾燥面では、時速約300kmの高速風で衣類のシワを伸ばしながら乾燥する「風アイロン」機能を継続採用。
・忙しい朝や出かける前などに便利な「スチームアイロン」機能が進化し、ワイシャツ2枚程度なら、わずか10分でシワを伸ばして消臭も行う
ニュースリリースから謳い文句を拾い上げてみました。
家事に忙しい方なら目を奪われるような高機能です。


その高機能・高性能の最新型が、あっけなく不調に陥って
います。どこまで手を入れられるか、作業にかかります。

 

上部にあるこのカバーあたりから
取り外すことが出来そうです。

 

ネジ穴にカバーと同色の
化粧シールが貼られています。

 

化粧シールを剥がし、隠れている
ネジを緩めます。左右に2本あります。

 

上部カバーが簡単に外れました。
ほとんど化粧目的のカバーに過ぎません。

 

内部を点検するには、本体前面の
パネルを取り外したいところです。

 

目に付くネジを何本か緩めてみます。これだけの
大型筐体ですから、そう甘くはないと思いつつ・・

 

このネジは電源スイッチの取り付け
パネルを固定しているだけです。

 

前面パネルは取り止め、
作業を本体後方に移します。

 

上部後方を覆うカバーです。手鏡で上部背面を
確認すると、深い位置でネジ固定されています。

 

背面3か所のネジを緩めます。洗濯機の設置
場所が非常に狭く、背面側に回ることが困難です。

 

上部化粧パネルを固定していたネジが
前縁部分の固定も兼ねていました。

 

上部後方カバーを持ち上げ取り外し
ます。内部の機構が見えてきます。

 

上部後方右側に取り付けられている樹脂製の
部品です。通風用あるいは給水用ダクトのようです。

 

奥の方にネジ止めされたカバーの
ような部分があります。緩めます。

 

やはりカバーです。持ち上げると
隙間が開いて中が見えてきます。

 

いきなり衝撃的な光景が出現します。固化した綿埃のようなもので
空間が埋め尽くされています。かつ壁面にへばりついていたようです。

 

おぞましい光景に耐えながら
綿埃を引きずり出します。

 

腐敗しかけたボロ雑巾のような感触です。
綿埃の奥に開口部が見えます。ダクトのようです。

 

ダクトは本体の底部に向かって背面を
降りて行きます。かなりの距離です。

 

この段階で取り出されたおびただしい量の綿埃です。洗濯水
もしくは綿埃を含む空気が循環することで蓄積したものでしょう。

 

機能は不明ですが、開口部手前のプレートを
外すと、ダクトの中を確認することが出来ます。

 

ライトで内部を照らすと、約50cmほどあるダクトの
通路は、同じように綿埃が広がっています。

 

新型洗濯機の余りの醜態に呆れながら、この急場をしのぐ
対策を講じます。ハンガーを加工してピックツールを作ります。

 

ピックツールと細いホースをつないだ掃除機によりひたすら
内部の綿埃を掻き出します。底に近い部分は諦めます。

 

ネットを検索してみると、YouTubeに同様の修理事例がアップされています。対処
方法もほとんど同じです。不具合は我が家に限られるものではないということです。
 

こちらの事例も同様の不具合を扱っています。分解できる範囲が限られているので、
ダクトの底部やコーナーを曲がった先には手が届いていません。壁面も汚れたままです。
それでも、元通り組み直し洗濯してみると、完璧に購入直後の新品時の性能が蘇りました。
 

作業を終えあらためて洗濯機の取扱説明書をめくってみます。かなり読み進んだところに
このような手入れ方法が記載されています。綿埃が詰まっていたちょうど手前の部分を、
何やら付属のノズルを使い吸い取るように指示されています。この作業を怠ると、綿埃が
ダクトの奥まで広がっていく・・納得できます。しかし、これほど重大な不具合を引き起こす
可能性があるならば、何故もっと大きく、分かりやすく、先に説明がないのでしょうか
もうひとつ(確証はありませんが)、この差込口の手入れを怠りなく行っていれば、本当に
不具合は起こらないのでしょうか。作業を終えた実感として、大いに疑問が残ります。

 
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