デロンギ製スチームアイロン修理の依頼が舞い込んできました。数年間
使用の後、ある日突然温まらなくなったとのことです。以前にメーカーに
連絡を取るも、もう部品がない(ので修理できない)と言わたそうです。
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県内にお住いの方なので、機会があり
直接お預かりすることができました。
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イタリアならではの使いやすく斬新なデザイン
です。発熱体に断線がなければ良いのですが。
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アイロンかけ面はテフロン加工・・ではない
ようです。スチームの噴き出し口が見えます。
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製品シールを確認します。ボイラー内蔵式
スチームアイロン、6299/2Nとあります。
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2013年10月にイタリアアリエテ社の旧6299/2を引き
継ぐ形で発売されています。翌年には在庫が尽きたようです
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デロンギ社WEBには取扱説明書もアップされており
製造・販売を終了したとは書かれていません。
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このアイロンの最も優れた点は、タンク式のボイラーを備えていることです。滴下式を採用して
いる一般的な家庭用アイロンに比べ、圧倒的に強力なスチーム噴射が得られます。しかし、
発売から4年未満で補修部品が無い、元々アフターサービスの用意がなかったのでしょうか。
*図版はhttps://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3-23934(コトバンク)より引用
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販売会社が修理を放棄しているので、躊躇なく手を入れられ
ます。本体後方の樹脂製カバーがネジ止めされています。
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アイロンかけ面に6角ネジが見えます。
レンチを掛けるも固すぎて回りません。
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後方カバーの取り外しに戻ります。この
中に電気系が集中しているようです。
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底部に篏合爪が仕組まれています。
ドライバーの先を入れて解放します。
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後方カバーが外れると、内部に
電気配線・制御系が見えます。
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真っ先に発熱体の導通を調べます。発熱体に断線があると部品交換以外に
方法はありません。補修部品がない以上、そこで作業終了、修理失敗となり
ます。10オームほどの直流抵抗があるので大丈夫です。現在の発熱体は
外気と接触しない密閉型シーズヒータなので、断線はほとんど起こりません。
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発熱体へ電力を送る配線途中に、温度調節用の
バイメタルと過熱防止用サーモスタットが入ります。
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スチーム洗浄機などにも使われる、この過熱防止用
サーモスタット、回路形を当てると導通がありません。
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常温の環境下では導通状態でなければなり
ません。電流を妨げているのはこの部品です。
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左右に突き出た端子にコネクタが差さります。
が、その片方が黒く焼け焦げているようです。
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コネクターの樹脂カバーが焼け焦げています。サームスタット本体には影響が
及んでいないようです。原因が判然としませんが、コネクタの接触不良でしょうか。
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取り外したサーモスタットです。規格を調べて相当品と
交換するだけです。調べもしないで部品がないとは・・。
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外側に焼け焦げがないので、内部が焦げている
可能性は低いのですが、念のため分解してみます。
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アルミ製のキャップをこじ開けました。
キャップ内にバイメタルがあります。
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本体に内蔵されているスイッチです。バイメタルの
湾曲により押し上げられて導通が切れる構造です。
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この状態でもう一度サーモスタット(スイッチ部)を点検してみると、
問題なく導通します。スイッチの頭を軽く押すと導通が切れます。
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スイッチの接点に問題はありません。とすると、
スイッチを動作させるバイメタルが原因でしょうか。
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バイメタルに経年劣化があるとすると、スイッチを
押し上げたままの状態に変形しているはずです。
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キャップを元に戻して再度導通を確認します。
いつの間にか導通するようになっています。
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その直後、僅かにキャップの持ち方を
変えると、導通が途切れてしまいます。
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温度によるバイメタル自身の変形ではなく、このキャップの
形状がバイメタルを押し上げ、スイッチを切っているようです。
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バイメタルが十分に変形できるよう、
余地を残しておかなければなりません。
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小型ドライバーの柄尻の丸みを利用して
キャップの平板部分に膨らみを与えます。
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膨らみと言うよりも、やや凹んでいたものが
元に戻って平らになったようなものです。
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キャップを軽く押した程度では切れません。表面が凹むほど
強く押すと切れるので、スイッチは正常に機能しています。
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再度キャップの形状を整えてから、サーモスタットを元の位置に戻します。
バネ状のブラケットで固定されていることも、誤動作を招く原因だったようです。
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取り付け後にもサーモスタットの
導通を確認します。問題ありません。
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電源プラグの両極間で導通を確認します。
発熱体相当の抵抗値が測定されています。
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コンセントに接続し通電してみます。オレンジ
色のパイロットランプが点灯しています。
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放射温度計でアイロンかけ面の温度変化を
確認します。一挙に上昇し100℃を超えます。
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本体の所々に汚れが付いています。
グリップ部の溝にも埃が溜まっています。
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機能が復活したスチームアイロン、
外観も新品に近くリフレッシュします。
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しばらく様子を見ていただくことにします。再度サーモスタットが
不具合を起こすようでしたら、汎用品を使って部品交換します。
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