衣類乾燥機の修理はあまり気が進みません。過去に何度も修理してきましたが、
とにかく手も衣服も周囲もひどく汚れるからです。原因は衣類から大量の埃が発生
するからであり、乾燥機の機能上どこかに集積せざるを得ません。当然フィルターが
備わっているものの、神経質なくらい徹底的に掃除をしないとすぐに目詰まりし、埃は
内部のあらゆる隙間に入り込んでいきます。分解作業は大量の綿埃との戦いです。
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外観的にはさほど埃っぽくありません。
汚れもなくかつてなく綺麗な状態です。
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ともあれ床に置いていては作業が
辛いので作業台上に載せます。
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使用中に動作が停止する(エラー?)、
時に最初からスイッチが入らないそうです。
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三洋電機製の電気乾燥機CD-ST60、
2005年の発売でとうに生産終了しています。
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その後三洋は吸収されてパナソニックの
下にあります。取扱説明書もDL可能です。
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製品表示の隣にこのようなシールが貼られて
います。2014年に点検を受けているようです。
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2014年の点検まで最長で9年間、点検から
さらに4年間が経過していることになります。
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現在普及しているドラム型衣類乾燥機が
長期間トラブルなく動作するとは思えません。
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外観的な傷みの少なさを不思議に
思いながら、裏カバーを取り外します。
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固定ネジを全て緩めると、金属製
裏カバーが外れてきます。
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やはり内部は埃の集積が進み
一様に汚れが付着しています。
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送風ファン中心部のベルトプーリーです。
一面に綿埃がこびりついています。
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ファンブレードの周囲部分、隙間
(溝内)に綿埃が入り込んでいます。
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圧縮されて固まりになっており、
指で引っかくと丸ごと取れてきます。
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掃除機を当てて全周を
一挙に吸い取ります。
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スポスポと面白いように
固まりが取れてきます。
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「スッキリ」・・しました、長年にわたる埃の集積はすごいものです。
しかし、この部分の埃は機能や性能にあまり影響を与えないで
しょう。乾燥送風時の風量が多少低下する程度かと思います。
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ここで乾燥ドラム内のフィルターセットを
点検します。簡単に取り外せます。
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フィルターセットの外側には専用フェルト製の
円形フィルターが入れられています。
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フェルト内にかなりの埃を吸い込んでいるようですが、
日常的に清掃されているようで比較的綺麗です。
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フィルターセットは2重構造になっており、
内側はナイロン製の細かいメッシュです。
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メッシュを取り付けているリングは外されたことが
ないようです。綿埃が詰まりに詰まっています。
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送風がほとんどブロックされていたと思われます。本来の
通風経路を失い、綿埃は乾燥機内を右往左往したはずです。
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掃除機で徹底的に清掃します。これで乾燥機
(ドラム)内は本来の熱平衡状態に戻るはずです。
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熱風の循環が阻害され熱平衡が崩れると、各所が
ダメージを受けいずれ正常に動作しなくなりますが、
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その前にセンサーが機能して動作を停止させるで
しょう。つまり「エラー」状態に遷移するわけです。
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部品の劣化や損傷を疑う前に、エラーの原因を除去する
必要があります。フェルト製フィルターも綺麗になりました。
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本体後ろ側に回り、分解を続けます。
ファンを回転させるベルトを外します。
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大型の送風ファンを留めている
スナップリングを抜きます。
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スナップリングの奥に樹脂製・金属製の
ワッシャが3枚入れられています。
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この際、乾燥ドラムも取り出し
さらに内部もメンテします。
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送風ファンの裏側です。表側同様に
ファンブレードの溝に埃が詰まっています。
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ドラムに面している側で空気中の水分量が多いので
しょう。水分が媒介してブレード表面に固着しています。
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ドライバーの先で1か所ずつ掻き出し、
その後掃除機で一挙に吸い取ります。
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こちら側もスッキリ綺麗になりました。ファン
全体の変形はないので、当分使用できるでしょう。
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本体側面にある点検口です。
取り外して内部を調べます。
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点検口というよりも、ドラムを回転させる
ベルトを指を入れて脱着するための窓です。
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点検口から内部を覗き込むと、衝撃的な光景が飛び込んできました。一瞬
「断熱材」かと思うほどの大量の綿埃です。もちろん衣類乾燥機に断熱材など
使用されているわけがありません。前面操作パネルのちょうど裏側あたりに
広がっています。これらが水分を含んだ状態を想像するとゾッとします。
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モーターからのシャフト、ベルトの
テンションプーリーあたりも埃まみれです。
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乾燥ドラムを引き抜くためには
ベルトを解放する必要があります。
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引き抜く前にセンサーを
接続するコードも解放します。
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コネクターを抜き取ります。前面操作パネル
内部の制御基板に接続されています。
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最後の固定ネジを緩めます。水平に寝かせた方が作業しや
すいのですが、ドラムの重量を考慮し立てたままで進めます。
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本体外側カバーとの隙間がぎりぎり、
かなりタイト・シビアな筐体設計です。
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金属部品の端で手指を切る心配があるので
軍手をはめて作業します。ドラムが出てきました。
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先ほど点検口から覗き見た内部の全貌です。「フィルターが詰まる」→「循環空気が
通り道を失う」→「逃げ道を求めて乾燥機内部を右往左往する」→「あらぬところに
大量の綿埃が吹き溜まる」、このような流れで長年の間に形成されたのでしょう。
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ものすごい量です。もう少しすると、ドラムの
回転も止めていたのではないでしょうか。
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ひたすら掃除機で吸い取ります。紙フィルター式の
吸引力の強い掃除機でないと歯が立ちません。
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あっけなく紙フィルターが満杯です。
新しいものに交換し作業を続けます。
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最後は手で直接綿埃をわし掴みにして
取り出します。圧縮されて固くなっています。
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新品時同様の状態に戻りました。確認したわけでもないのに
既に不具合が解消してしまったかのような気分です。
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まだ清掃の残っている部分があります。
ファンからの送風をドラム内に導く通路です。
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ダクトを外すと、その陰にまだ埃が残っています。
この辺りにも綿埃が届いていた証拠です。
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三角の窓から空気が送り込まれ、ヒーターユニットを
通過して反転し、手前のパンチ穴から吹き出ます。
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中の奥まった部分に埃が集積している可能性が
あります。手前からエアを吹いて取り除きます。
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前面操作パネルも取り外してみます。
電気的制御機能が集中しています。
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この狭い隙間にまで埃が入り込んでいます。
水分を含むと電気回路に悪影響を及ぼします。
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掃除機で徹底的に吸い取ります。いよいよ、深刻な故障
ではなく、埃集積によるエラーの可能性が高まってきます。
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前面樹脂製カバーを外すため
裏側の固定ネジを緩めます。
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既に清掃済みではありますが、空気加熱用のヒーターユニットが見えて
います。ドラム内のフィルターが詰まり、埃を含む空気がファン側に抜けて
こないため、送風ダクト内およびヒーターユニット周りの埃は少な目です。
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カバーの隙間を通してヒーター
ユニットの状態を確認します。
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高圧エアを吹いたこともあり、熱変換用
フィンの隙間は非常に綺麗なものです。
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乾燥ドラムを戻す前に、フィルター奥側の樹脂製
リングを点検します。ネジ止めされています。
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ネジを緩め取り外してみると、
周囲に何かパッキンのようなものが・・
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パッキンなどではありません、ここにも綿埃がぎっしり集積
しています。ネジ固定されている内部にまで埃が入るとは。
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ネジを外さなければならないメンテなど、
およそ一般家庭向けの設計ではありません。
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取扱説明書にある最低限の手入れでは
いずれ確実にトラブルに至るということです。
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埃の大量発生が前提の家電製品なのに、
その埃のせいで確実に不具合を起こすとは・・
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送風ファン下部に溜まる水を抜くための
パイプだと思います。先に差し込んでおきます。
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乾燥ドラムを筐体内に収めます。最小限の
隙間を縫って徐々に押し込んでいきます。
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最後は(当然)所定の位置に正確にはまります。
各部のレイアウトに関しては実に巧妙な設計です。
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水抜きパイプを引き込み、ドラム
回転ベルトの下を通します。
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水抜きパイプを一時貯留タンクに接続し、モーターシャフトと
テンションプーリーにベルトをかけ、ドラムに当たる位置を合わせます。
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送風ファンを嵌め込みます。
軸受部に少量注油しておきます。
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ワッシャーを入れスナップリングをはめて
取付完了です。ファン回転ベルトも戻します。
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本体前面の洗濯物投入口の開閉カバーです。
洗濯物が擦れて傷が付き、内部が良く見えません。
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アクリル製なのでサンダーで
研磨し大きな傷を落とします。
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光沢面になるまで研磨するのは大変ですが、コンパウンドで
磨き込み、ある程度内部が透視できるようにします。
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さて、洗濯物を放り込み、工房内にて試運転してみます。容量上限近く洗濯物を
入れたわけではありませんが、取りあえず何も問題なく乾燥が終了します。大量に
集積した綿埃により、内部の熱循環が阻害され著しい温度上昇を招いたのだと
思います。そして、温度の監視センサーは正常に機能していたということです。
しかし・・、コンシューマ向け家電製品がこれでいいのでしょうか。使用者が多少
手入れを怠ることで、いずれこのような事態に直面させられる現状には納得でき
ません。いよいよ2014年に行われた「点検」が何だったのか、疑問が募ります。
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