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GlamPalmヘアアイロン電源コード内部断線(2017.7.31)

グランパーム社製品の修理依頼が続いています。同社のアフターサービス体制が
十分ではないようで、ご依頼主の方々は「どこの電器店に頼んでも断られた」と
一様におっしゃいます。「GlamPalm+修理」で工房WEBがヒットするようです。

 

今回は同社製アブソルートスタイリング
シリーズのひとつ、ヘアアイロンです。



事前に連絡を頂戴しており、通電したりしなかったりを
繰り返し、電源コードの断線が疑われるとのことです。

 

ドライヤーと同様にプロ仕様のようで、美容師さんたちの
手に馴染むデザイン・・緻密な実装が施されています。

 

アームの回転軸を外側から覆うカバーを
外します。精密に成形されたパーツです。

 

電源コードが引き込まれている先にある
ので、この中に接続部分があるはずです。

 

カバーの内側に回転軸になるネジが現れました。
同時に上下のアームカバーを連結しています。

 

このネジは非常に固く締め付けられており、
ドライバーを使用するだけでは緩みません。

 

止むを得ずインパクトドライバーを
使用します。予めバイスに固定します。

 

ハンマーで数回叩いて
ネジの固着を解放します。

 

シャフト側とキャップ側に分かれた特殊な固定ネジです。
使用中に緩まないよう、強く締め込まれていたようです。

 

回転軸周りに、アームを開いた位置に
戻すスプリングが組み込まれています。

 

電源コードの引き込み部カバーです。
非常に丁寧な設計がなされています。

 

カバーを取り除くと電源コードが簡単に外れてきました。コードの先端はボール
形状のプラグ式になっており、自在に回転することで業務使用時にもコードが
捩れません。プラグによる特殊な接続構造のため、完全に修理するには製造元
から補修部品を取り寄せる必要があり、結果多大な費用と時間がかかることで
しょう(ほぼ不可能です)。この構造を残したままで修理する必要があります。

 

ボールの端子とプラグ間で導通を確認
します。この状態で導通がありません。

 

しかし、本体側のコードの根元を少し
動かすと一瞬導通してすぐに切れます。

 

コード根元の保護材に覆われた
辺りに断線個所がありそうです。

 

ボール状の接続プラグを再利用しなければなり
ません。保護材の部分を慎重に切り離します。

 

保護材を引き抜きます。コードの外側被覆も
同時に抜け、白・黒2本の芯線が見えています。

 

2本の芯線とも、途中で折れ曲がる部分が
あります。明らかにここが断線個所です。

 

プラグを再利用するため、僅かに残っている
芯線を使い接続し直さなければなりません。

 

抜けていたコード外側被覆も再利用
します。元通り2本の芯線を通します。

 

接続部分を避けるため、被覆の
長さを短めに調整しておきます。

 

電源プラグ側のコードに保護材を
通し、コード端を処理します。

 

金属芯線同士を捩じり合わせます。接続
金具等の本来の方法では接続できません。

 

コード外側被覆がボール状プラグ根元に
接する部分に瞬間接着剤を入れ固定します。

 

金属芯線を捩じり合わせた部分を
半田付けにより固定します。

 

捩じり合わせただけでは強度的にも電気的にも不安です。
半田部分が膨らまないよう慎重に半田を溶かし付けます。

 

捩じり合わせ部の余分をぎりぎりのところで切り落とします。
芯線が接続箇所の前後で直線性が保たれるよう調整します。

 

薄手のビニルテープにより接続部分を絶縁・保護
します。外側被覆の外径を超えないようにします。

 

ビニルテープの巻き付け端、外側被覆との
接続端に瞬間接着剤を入れて補強します。

 

接続部分は外側被覆に覆われていない分、
引っ張りに対して強度が低下しています。

 

コード根元の保護材と一体化することで
低下した強度を補うことができます。

 

ボール状端子との接合部分には
エポキシ樹脂接着剤を入れます。

 

保護材に可撓性を持たせるスリットから瞬間接着剤を
入れて、内側でコードと保護材を接着・固定します。

 

おそらく製品の初期状態よりも強度が向上していると思われます。
ただし、再度断線が生じた場合、再修理はまず不可能です。

 
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