グランパーム社製品の修理依頼が続いています。同社のアフターサービス体制が
十分ではないようで、ご依頼主の方々は「どこの電器店に頼んでも断られた」と
一様におっしゃいます。「GlamPalm+修理」で工房WEBがヒットするようです。
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今回は同社製アブソルートスタイリング
シリーズのひとつ、ヘアアイロンです。
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事前に連絡を頂戴しており、通電したりしなかったりを
繰り返し、電源コードの断線が疑われるとのことです。
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ドライヤーと同様にプロ仕様のようで、美容師さんたちの
手に馴染むデザイン・・緻密な実装が施されています。
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アームの回転軸を外側から覆うカバーを
外します。精密に成形されたパーツです。
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電源コードが引き込まれている先にある
ので、この中に接続部分があるはずです。
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カバーの内側に回転軸になるネジが現れました。
同時に上下のアームカバーを連結しています。
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このネジは非常に固く締め付けられており、
ドライバーを使用するだけでは緩みません。
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止むを得ずインパクトドライバーを
使用します。予めバイスに固定します。
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ハンマーで数回叩いて
ネジの固着を解放します。
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シャフト側とキャップ側に分かれた特殊な固定ネジです。
使用中に緩まないよう、強く締め込まれていたようです。
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回転軸周りに、アームを開いた位置に
戻すスプリングが組み込まれています。
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電源コードの引き込み部カバーです。
非常に丁寧な設計がなされています。
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カバーを取り除くと電源コードが簡単に外れてきました。コードの先端はボール
形状のプラグ式になっており、自在に回転することで業務使用時にもコードが
捩れません。プラグによる特殊な接続構造のため、完全に修理するには製造元
から補修部品を取り寄せる必要があり、結果多大な費用と時間がかかることで
しょう(ほぼ不可能です)。この構造を残したままで修理する必要があります。
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ボールの端子とプラグ間で導通を確認
します。この状態で導通がありません。
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しかし、本体側のコードの根元を少し
動かすと一瞬導通してすぐに切れます。
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コード根元の保護材に覆われた
辺りに断線個所がありそうです。
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ボール状の接続プラグを再利用しなければなり
ません。保護材の部分を慎重に切り離します。
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保護材を引き抜きます。コードの外側被覆も
同時に抜け、白・黒2本の芯線が見えています。
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2本の芯線とも、途中で折れ曲がる部分が
あります。明らかにここが断線個所です。
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プラグを再利用するため、僅かに残っている
芯線を使い接続し直さなければなりません。
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抜けていたコード外側被覆も再利用
します。元通り2本の芯線を通します。
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接続部分を避けるため、被覆の
長さを短めに調整しておきます。
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電源プラグ側のコードに保護材を
通し、コード端を処理します。
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金属芯線同士を捩じり合わせます。接続
金具等の本来の方法では接続できません。
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コード外側被覆がボール状プラグ根元に
接する部分に瞬間接着剤を入れ固定します。
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金属芯線を捩じり合わせた部分を
半田付けにより固定します。
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捩じり合わせただけでは強度的にも電気的にも不安です。
半田部分が膨らまないよう慎重に半田を溶かし付けます。
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捩じり合わせ部の余分をぎりぎりのところで切り落とします。
芯線が接続箇所の前後で直線性が保たれるよう調整します。
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薄手のビニルテープにより接続部分を絶縁・保護
します。外側被覆の外径を超えないようにします。
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ビニルテープの巻き付け端、外側被覆との
接続端に瞬間接着剤を入れて補強します。
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接続部分は外側被覆に覆われていない分、
引っ張りに対して強度が低下しています。
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コード根元の保護材と一体化することで
低下した強度を補うことができます。
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ボール状端子との接合部分には
エポキシ樹脂接着剤を入れます。
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保護材に可撓性を持たせるスリットから瞬間接着剤を
入れて、内側でコードと保護材を接着・固定します。
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おそらく製品の初期状態よりも強度が向上していると思われます。
ただし、再度断線が生じた場合、再修理はまず不可能です。
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