旧来の灯油ヒータ(石油ストーブ)のメンテナンスです。燃焼時の臭いが強く、燃焼芯の
劣化が疑われて交換を依頼されました。ファンヒータよりも機構がはるかに簡単で、
臭いの元になる不完全燃焼の原因は、燃焼芯の劣化以外には考えにくいところです。
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コロナ社製、RX-221型です。一般的に反射型と呼ばれますが
裏面シールには「自然通気形開放式石油ストーブ」とあります。
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手前の危険防止ガードを外します。
その奥に反射板が見えます。
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燃焼筒を確認します。内側に金属製の
炎筒グリル、外側は耐熱ガラス製ホヤです。
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燃焼筒を持ち上げると穴の開いた小型の筒があります。
本体下部から供給される1次空気の出口でしょう。
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現状を確認するため一度点火してみます。
点火や火力調整は正常に機能しています。
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点火直後、加熱された灯油が生ガス状態で立ち上ります。
かなりの異臭ですが、点火・消火時は止むを得ません。
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燃焼が安定し、灯油ヒータらしく周囲に熱気を放出します。
が、確かに鼻を突くような刺激臭が立ち込めてきます。
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ご指摘の通り燃焼芯が劣化しているので
しょうか。分解して内部を点検します。
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本体両サイドに2本ずつあるネジを緩めます。
放熱部を兼ねた本体上部は簡単な構造です。
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本体上部を取り外します。年数がかなり経過
している割には、反射板がとても綺麗です。
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本体下部、燃焼装置が露出しました。灯油タンクをベースにして
その上部に燃焼に必要な機構を全て直接取り付けています。
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交換用替え芯を購入すると、分解手順を記載した説明書が
付属してきます。手順に従い、まず案内筒リングを外します。
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3か所で爪が芯案内筒に掛かるので、
1本のネジだけで固定されています。
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芯案内筒そのものを取り外す必要があります。
周囲3か所を6角ナットにより固定しています。
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芯上下(火力調整)機構の一部に、上下レバーの
連結を解除する仕組みが組み込まれています。
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連結が解除されれば、芯案内筒を
簡単に引き抜くことが出来ます。
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燃焼芯の裾は灯油タンク内に放射状に
浸され、灯油を効率よく吸い上げます。
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周囲3か所の穴に嵌まる金具を解除し
燃焼芯から芯保持筒を抜き取ります。
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交換用の替え芯を入手します。
通販等で簡単に購入できます。
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適応する機種範囲が広く、このSX-2270が
数十~数百の機種で共通に使用できます。
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燃焼芯はガラス繊維製のようです。
手触り感では綿芯とあまり変わりません。
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取り外した古い芯と新しい芯を比較してみます。古いものは先端が黒く変色していますが、
ガラス繊維なので炭化であれば空焚きで除去できるはずです。灯油に含まれる微量の
不純物が燃焼し、生成されたタールが不完全燃焼および異臭の原因ではないでしょうか。
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新しい芯を芯保持筒に通します。3か所の
金具が側面の穴に嵌まる位置まで入れます。
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芯保持筒の内側に、中心方向に向って爪が
出ています。この爪が芯に刺さり固定されます。
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灯油タンク内に芯の裾を差し入れ浸します。
分割されているので周囲に満遍なく広がります。
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芯の上下機構と再び連結させます。付属の説明書は
代表的な機種で解説しており、にわかに理解できません。
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芯の上下機構が正しく機能するか、ここで確認します。点火装置および乾電池を
取り外してあるので、火が付く心配はありません。スムーズに上下します。
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内部を分解したついでに、積年の汚れ(さほどひどく
ありません)や錆を出来るだけ取り除きます。
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分解と逆手順で芯案内筒を取り
付け、点火装置も復旧します。
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燃焼芯の交換を終え、試運転してみます。当初の鼻を突くような異臭こそしませんが、
全く無臭かというとそうでもありません。近年はFF暖房やエアコンが普及し、暖房
器具により室内の空気が汚染されることもなく、臭いがしないことに慣れてしまって
います。久しぶりに灯油ヒータに再会し、臭いに敏感になっていたのかも知れません。
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燃焼筒の温度が上昇し、内部の炎筒グリルが赤熱し、外側のホヤが赤熱を
反射して周囲をがんがん温めます。灯油臭の混じるこの旧来の暖房器具には、
エアコンでは味わうことのできない、真冬を乗り切る心強い温かさがあるようです。
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