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廃棄寸前の中型電子レンジ(2018.6.3)


ご依頼主もダメモトで問い合わせて下さったようです。既に新しい電子レンジを購入し
使用されています。新しいものは出力500Wの小型で、以前に使用していた中型
900Wのものがやはり便利とのことです。また使えるようになると嬉しい・・そうです。

 

SHARP製RE-SV27-H、2004年8月の発売
です。900Wを出力するために1400Wを消費します。

 

現在もネットから取扱説明書を
ダウンロードすることができます。

 

使用中に「バチッ」という音がして、それ
以来うんともすんともいわないそうです。

 

外側の金属カバーを外して各部分をざっと
確認します。特に損傷は見当たりません。

  

一度ドアを開いて閉じるとLCDに「0」が現れ、制御系が
スタンバイ状態になります(誤操作防止対策でしょう)。

 

「あたためスタート」ボタンを押してみます。間もなく
エラーコード「U01」が表示され停止してしまいます。

 

エラーコードが表示されるケースは状況として悪くありません。SHARPのWEBサイトに
故障診断ナビがあります。庫内に丸皿をセットしないと、重量センサーにより検知されて
「U01」が表示されます。もしくは重量センサーの再調整を要求しています。実際、丸皿が
セットされていません・・ということは、特に故障などしていないということでしょうか。

 

重量センサーの再調整には、まず「とりけし」ボタンを押し
ます。しかし全く反応しません。ボタンに不具合があります。

 

「とりけし」ボタンが機能しないとは、かなり深刻な
状況です。同時に、ありがちな故障でもあります。

 

「バチッ」という音は、食品と一緒に何か金属が紛れ
込み、瞬間的に高圧電流が生じたためでしょう。

 

操作パネルに組み込まれているスイッチを
修理するため、操作部をひたすら分解します。

 

WEB記事にするため写真を撮影しているので、
コネクタ類は躊躇なく引き抜いてしまいます。

 

操作スイッチとLCD表示の制御基板を取り外します。
基板の裏側がスイッチの接点部になっているはずです。

 
 
その前に、LCDに信号を送るフラット
ケーブルをコネクタから引き抜きます。

 
  
基板を引き上げてみると・・、
何と
スイッチ部がありません。

 

樹脂成型されたスイッチパネル部のカバーです。LCDへの配線がスリットを
通り表側に出ています。スイッチ部は樹脂製パネルの表側にあるようです。

 

表側に張り付けられているフィルムシートです。
この下にスイッチが組み込まれているはずです。

 

僅かでもフィルムを折ると、傷が残り外観を著しく損ないます。
両面テープの粘着力に逆らいながら徐々に剥がします。

 

フィルム側にスイッチの接点があります。
樹脂パネル側は導電性プレートです。

 

「とりけし」のスイッチを短絡しているプレートを
探します。導通不良を起こしているはずです。

 

カーボンペンで導電性プレートを修復します。
テレビやエアコンのリモコン修理と同じ要領です。
 

ついでに他にも動作の怪しいボタンを
いくつか修復しておきます。

 

フィルムシートを元に戻し、操作部パネルを元通りに組み上げます。
「とりけし」ボタンをはじめ、全ての操作ボタンが確実に反応します。

 

故障発生以来、長く放置されていたこともあり全体的に
汚れています。食品のカスなども一緒にクリーニングします。

 

ハンドル部のメッキ光沢が蘇ると、もはや廃棄
寸前の老朽品ではありません。現役復帰です。

 
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