ノートPCの表示がおかしいとの連絡です。電話でのやり取りでは不具合状況が
よく把握できず、取りあえず映っているからバックライト故障の可能性ははなし、
ディスプレイ用ドライバの不具合か・・。とにかくお預かりすることにしました。
|
実は以前にHDDのSSD化、システムの再インストール、
Win10へアップグレード作業を依頼いただいたPCです。
|
富士通製LIFEBOOK、AH53/M、元は
Win7機です。大事に使われており綺麗です。
|
CPUはCORE i7、パワフルな
64ビット機でまだまだ現役です。
|
電源をONにするとディスプレイ
表示がこのような状態です。
|
R・G・Bの各信号が同期していません。ずれた位置にゴースト画像が現れ、
重なる部分も正しい表示色が再現されません。原因としてグラフィックチップや
ドライバーの不具合は考えにくく、ほぼLCDパネルの故障によるものです。
|
作業机上のPC画面です。
正常に表示されています。
|
LCDパネルの交換が必要です。ディスプレイ部分を
分解し、故障したパネルを取り出さなければなりません。
|
ノートPCのLCDパネル交換手順は、ネット上に
(AM53/Mも含め)事例が掲載されています。
|
ディスプレイを閉じた時に緩衝材となるゴム
部品です。外した中に固定ネジがあります。
|
固定ネジを緩めます。作業中に
ゴム部品を紛失しないよう留意します。
|
固定ネジはディスプレイ左右上端の2本
のみで、他は全てツメによる篏合です。
|
ディスプレイ部分は本体上面側カバーと内側
フレームがLCDパネルを挟み込む構造です。
|
コンパクト化のため内側フレームは非常に華奢な
造りです。破損しないよう慎重に分離します。
|
篏合面周囲に傷を付けないよう、樹脂製ピックを
隙間に滑り込ませるようにして篏合を解除します。
|
ディスプレイのヒンジ金具を覆う化粧カバーが
一体成型されています。折らないよう引き抜きます。
|
左側の化粧カバーは、本体キーボード面のカバー
固定ネジを一部緩めないと外れてきません。
|
ディスプレイ部内側フレームが外れてきました。
ほとんど強度のない装飾目的の部品です。
|
LCDパネルを固定しているネジを緩めます(4隅に
各1本ずつ)。交換作業自体は難しくありません。
|
脱着時にLCDパネル(特に新しいパネル)
表面や周囲を傷付けないように気を付けます。
|
古いパネルが外れてきました。厚み数mmの高精細、高輝度LCD
パネルです。故障しているとはいえ、驚くべき精密技術の結晶です。
|
LCDパネルの底辺中央部分、ディスプレイ信号を
送り込むケーブルがコネクタ接続されています。
|
脱落防止用に透明ビニルテープが
貼り付けられ、接続を補強しています。
|
PC側コネクタにビニルテープを残し
手前を剥がします。後で再利用します。
|
PC側コネクタを引き抜きます。微細に加工された
左右端に、「カチッ」と嵌まるロック機構があります。
|
交換用新品のLCDパネルです。Amazonを始めネット通販で、PCの型番から簡単に
検索・購入することが出来ます。1万円以下から2万円以上のものまで様々な製品が
出回っていますが、あまりに安い製品は品質検査が十分でないなど、避けた方が良い
ようです。高価格の製品が安心というわけでもないのですが・・。メーカーサポートの
修理よりマシでしょうが、PC修理店の価格にはかなりの上乗せがあるようです。
|
入手できるLCDパネルはほとんどが中国製です。
純正部品とて中国製ですので比べようがありません。
|
コネクタを接続します。左右端の
ロック機構を確実に機能させます。
|
残しておいたビニルテープを
元に戻し、接続を補強します。
|
LCDパネルを本体にセットし
固定ネジを仮り締めにします。
|
ここでいったん動作確認を行います。コネクタの接続が甘いと、表示が乱れ
たり全く表示されないこともあります。綺麗に表示されており問題ありません。
|
固定ネジを完全に締め込み、パネル
表面保護用のシートを剥がします。
|
保護シートを剥すと、いよいよ美しい画面表示が
確認できます。元のパネルよりも高精彩のようです。
|
内側フレームを取り付け、左右の固定ネジを締めます。作業中に
付着した手指の油などを、少量のアルコールで清掃します。
|
最後に本体全体をクリーニングしてご依頼主にお返しします。ネット上にあるパネル交換に
関する記事には、分解の仕方が異なるものが含まれています。ノートPCの型番を取り
違えているためだと思われます。その通りに作業すると、PCを損傷する危険があります。
参照される際は掲載写真をよく見比べ、同型機であることを確認するようお勧めします。
|
|
|