15.6インチLED液晶ディスプレイを装備した、Corei7搭載のパワフルな
ノートPC、東芝ダイナブックです。程度の良い中古品を購入されたそうで、
最近になり冷却ファンのエラーメッセージ(過熱)が出るとのことです。
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冷却ファン周りに埃がたまり効率が低下していると考えられ
ます。ご自身で排気口から埃を吸い出したこともあるそうです。
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本体裏カバーを開けて清掃するには不安があり、
工房に依頼下さいました。T552/58FWMです。
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2012年製、8GBのメモリに1TBのHDD、
型番末尾のMは特別仕様のようです。
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バッテリーパックを外します。公称5.2時間の
駆動時間を誇るリチウムイオンバッテリーです。
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HDDユニットやメモリのアクセスカバーを外します。
交換や増設がしやすいよう固定ネジは1本です。
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5400rpm・SerialATA対応のHDD、PC3-12800
(DDR3-1600)SDRAMはデュアルチャネル対応です 。
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裏カバーの取り外しにかかります。周囲のネジから順に
緩めます。ゴム足やシール内の隠しネジはないようです。
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アクセスカバーの内側にも数本の
ネジがあります。全て緩めます。
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HDDユニットを外すのを忘れていました。
いずれSSDへの換装をお勧めします。
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ネジを緩めるだけでカバーが外れてくることは
稀です。さらに突起や爪による篏合を解除します。
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組み立て時にカバーを嵌め込む工程は「パチン」の一瞬でしょう。しかし、逆の分解は
何か所もの篏合を少しずつ解除するしかなく、少しでも無理をするとカバーの周囲や
爪を破損してしまうので、カバーの作業浮き具合を確認しながら根気よく慎重にします。
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バッテリーパックの電極端子周囲も複雑な篏合
構造です。ドライバーの先で爪の位置を探ります。
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それでもノートPCの中では比較的
簡単な構造です。何とか開きました。
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裏カバーの内側表面は、電磁波対策のため
でしょうか、金属コーティングされています。
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ひと昔前のノートPCに比べると、基板の締める面積が
劇的に減少しています。右下に冷却ファンが見えます。
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冷却ファンの右側にヒートシンク、ヒートシンクから左上のCPUへ熱を導く
ヒートパイプが延びています。ファンの羽根に埃が張り付いています。
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このノートPCは裏カバーを開けることで直接
冷却ファンにアクセスできるので助かります。
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冷却空気の通り道ではない反対側に埃の塊が
あります。どのようにして紛れ込んだのか疑問です。
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冷却ファンを取り外します。ネジ2本による
簡単な固定です。同時にケーブルも抜きます。
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持ち上げると、冷却空気の吹き出し口部分
にもこのような埃の塊ができています。
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ファンの回転がスムーズでなかったり、べアリングに
劣化があれば交換ですが、その必要はなさそうです。
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吹き出し口から中を点検します。羽根の
表面に埃が一様に張り付いています。
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掃除機の先にブラシを取り付け、毛先を中に
入れて羽根表面の埃や汚れを丁寧に落とします。
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掃除機による吸引だけでほぼ
汚れが落ちて綺麗になりました。
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吹き出し口から覗いても、羽根表面の
汚れがほとんど落ちていることが分かります。
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可能ならばファン回転軸受をグリスアップしたい
ところですが、シール側ではないので諦めます。
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冷却効率の低下およびエラーメッセージ表示の原因は、ファン側の埃や汚れも
さることながら、むしろこちらではないかと思われます。ヒートシンク内の熱交換用
フィンに埃がまとわりつき、スリットが詰まりかけています。ヒートシンク内のメンテは
一般ユーザーの手の及ぶ範囲外です。予定されていたトラブルと言えましょう。
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難しい作業ではありませんが、ここまで分解
出来るのであれば清掃は簡単なものです。
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分解せずに排気口の外側から掃除機で吸引する
だけでは、この部分に蓄積した埃は取り切れません。
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熱交換用フィンの薄い金属板が作るスリットを通して、向こう側が良く見えます。
ヒートシンクは常にこの状態が保たれないと、本来の性能を発揮できません。
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冷却ファンを元通りに組み付けます。メーカーの
修理では冷却ファンを交換されているでしょう。
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このノートPC専用に設計されたユニットなので
汎用品は流用できず、高額な費用になるでしょう。
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本体裏カバーを元に戻しバッテリーパックを装着して動作確認を行います。
YouTubeのBGM動画を1昼夜連続で再生し、機能・動作に何ら支障が
なくエラーメッセージも表示されませんでした。ご依頼主様にお返しします。
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