9月7日(木)にお預かりしたパナソニック製VHSビデオデッキです。もちろん故障していて
テープ再生はできません。それどころか中にテープが取り込まれて、イジェクトできなくなって
います。その昔、VHSがまだ主流だった頃、何度かデッキを修理したことがあります。しかし、
一度調子を崩したデッキは、どのように修理しても完全には元に戻らないことを覚えています。
|
背面の製品シールで型番を確認します。NV-HC1、1994年製、20年以上も前の製品です。
松下電器がVHSデッキ「マックロード」を発売したのは、そこからさらに20年近く以前です。
|
パナソニックのWEBに、かろうじて
製品情報(製品名のみ)が残っています。
|
面白いことに取扱説明書をダウンロードできます。
画質の悪いアナログコピーをPDF化しています。
|
各社VHSデッキの製品開発が進み、操作が
簡略化され、サイズは小型化されています。
|
実にシンプルな構成で、映像端子は
コンポジットのみ、S端子がありません。
|
トレイカバーを押し開けて見ると
中にテープが入ったままです。
|
修理の前に、中のテープを
取り出すことにします。
|
外側に露出しているネジを
片端から緩めていきます。
|
左右側面のネジを緩めれば、全体を覆うカバーが
大概外れてくるのですが、そうではないようです。
|
普通は前面パネルの固定にしか使われない
爪による篏合が、背面パネルにも使われています。
|
背面パネルを先に外す仕様です。
固定ネジの使用本数が多めです。
|
ようやくカバーが外れてきました。4kg
近い重量で、大きさの割に重く感じます。
|
ここでも電源を入れて見ますが、
テープが動く様子は全くありません。
|
テープのローディング機構が誤作動により膠着
しており、テープがメカに噛み込まれています。
|
膠着部分を解除し何とかカセットをイジェクトさせ
ます。テープがローディングピンに掛ったままです。
|
左右のローディングピンの動作にも
問題があるのかも知れません。
|
ローディング機構の不具合のせいで
デリケートなビデオテープもこの有様です。
|
コンパクトサイズのデッキである故に、内部スペースに余裕がなくカバーやパネルを
外さないと分解が先に進みません。前面パネルは爪による篏合のみの固定です。
|
前面パネル上の操作ボタンや液晶表示と
信号をやり取りするフラットケーブルです。
|
装置全体を底部で支える金属製シャシーが
見えてきました。分離する必要があります。
|
テープトレイの真下に2本、ヘッドの奥に1本、計3本の
4mmネジでテープメカごとメイン基板が固定されています。
|
回路基板とのショートを防止するため、
樹脂製のスペーサが取り付けられています。
|
回路基板のアースがシャシーの一部に
接続(接地)されています。外します。
|
コンパクトな電源ユニットからメイン基板に
フラットケーブルで電力が供給されます。
|
コネクタの配線固定具が少し壊れかけてい
ます。交換は困難なので慎重に扱います。
|
電源ユニットも後方で1か所シャシーにネジ
固定されています。扱いやすい設計です。
|
金属製のシャシーが、上側カバー、前後のパネルと組み合わされて全体の
構造と強度を維持しています。電気的シールドも兼ねた合理的な設計です。
|
裏返しにしたメイン基板です。この基板に
デッキメカがネジ止めされています。
|
シャシーへの固定ネジはデッキメカ部を通ります。
正確には、デッキに基板が取り付けられています。
|
テープデッキの動作位置を検知する
ロータリースイッチとその接続端子です。
|
ヘッドシリンダ、音声ヘッド、消去ヘッド、
サーボ系の配線ケーブルを抜きます。
|
テープデッキメカとメイン基板が分離しました。ここまでで既に1週間ほど時間を要して
います。組み立て構造を探りながら、各部の機能や動作を理解しながら作業を進めている
ので長い時間がかかります。適切な修理には正確な原因把握が必要です。そして、故障
原因の把握には、構造の完全な理解が不可欠です。時間がかかるのは止むを得ません。
|
|
|