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集会所襖紙の張り替え(2017.7.4)

工房の業務に小さく「襖紙・障子紙の張り替え」と書き込んであります。
一応やります・・程度のつもりでしたが、本当にご依頼が舞い込んできました

 

市内にある町内会の集会所です。8畳間がふた間続く、計16畳間の襖を張り替えて
欲しいとのご要望です。通常の襖8枚と天袋用襖4枚で12枚の張り替えです。
*写真をクリックすると作業後の写真にジャンプします。

 

確か20年近く経過しているとおっしゃっていました。
襖紙が全体的に色褪せ、同時に変色が進行しています。



が外れない構造(戸襖)のため、紙の隅を中に
巻き込んでおらず、一部が剥がれかけています。

 

軽量化を図るため内部に組子を入れず、段ボール材が
使用されています。嵌め込み式引手を抜きます。

 

隅が剥がれかけているものは、古い襖紙を完全に
剥がす必要があります。霧を吹いて糊を緩めます。

 

糊が緩み始めるタイミングを見て、古い襖紙を剥がします。
時間を置くと母材に水が浸透し反りを引き起こします。

 

この襖紙を張った職人さんは良い仕事をされています。襖紙の
周囲にだけ糊を塗り、中の部分は張りを持たせているだけです。
 

一部に糊の強い部分もありますが、
霧を追加しながら丁寧に剥がします。

 

スクレーパを忘れてしまったため
カッティングメジャーを代用しました。

 

框が組まれたままで張り替えます。框全周に
マスキングテープを貼り、糊の付着を避けます。

 

マスキングテープを貼り終わりました。
ブルーシートの上で作業しています。

 

用意した襖紙です。無地をご希望でしたので
僅かに青みを含む明るいアイボリーを選びました。

 

糊を均一に塗るには経験が今ひとつ、シールを剥がす
素人仕事は避けたい、結果、水で濡らす再湿タイプを選択。

 

糊面に満遍なく霧を吹きます。強くかかっている
カールは、水が浸透するにつれ収まります。

 

3回ほど繰り返し全体に霧を吹き、
水を十分に含ませ糊を溶きます。

 

ここで数分寝かせて襖紙が水を吸って十分に伸びるのを待ちます。伸び
切らないまま張り付けると、表面にしわが生じ易く除去が難しくなります。

 

無地の襖紙にもかかわらず、天地方向が
示されています。念のため方向を合わせます。

 

一部の襖は、敷居や鴨居の変形のため取り外せ
ません。止むを得ず立てたままで作業します。

 

周囲の框にマスキングテープを貼ります。
表面に残った糊を拭き取る手間を省くためです。

 

襖の表面にも軽く霧を吹きます。襖紙側に吹いた
水分が移動し、調整前に固着するのを抑えます。

 

襖紙の端を持って両手で吊り下げ、鴨居側の框付近に仮止め
します。この位置合わせは、襖が立っている方が容易です。

 

押え刷毛により空気を追い出しながら襖紙を密着
させていきます。上→下、中→左右に刷毛を振ります。

 

4辺の隅近くでは、やや力を入れてしごくように刷毛を
振ります。框との境界部で完全な密着を目指します。
 

框との境界部では、刷毛を強めに
当てて襖紙を段差に馴染ませます。

 

1枚全体を張り終えましたが、急速に乾燥が進行し糊の
粘着性が失われていくので、急いで余分を切り離します。

 

カッティングメジャー(安物です)を強く当て、
框の段差内側に襖紙を十分押し込みます。

 

框側に乗っている紙を一部引きずり
下すようにすると紙が破れません。

 

四隅では紙に特に無理がかかるので
紙が伸びるのを待ちながら押し込みます。

 

隅部分(角)にも奥まで紙が入り込み
框の段差が浮き出ています。

 

框の上に載っている余分の襖紙を切り離します。
カッティングメジャーを当て0.2mmの薄刃で切ります。

 

濡れた紙を綺麗に切るのは難度が高く、
熟練を要します。守谷工房はまだまだです。

 

熟練した職人は躊躇せず一挙に紙を引き離します。
が、切り残しに備えカッター片手に慎重に離します。

 

続いてマスキングテープも剥がしてしまいます。框の
境界に再度カッティングメジャーを当て、紙を押さえます。

 

2・3枚目あたりから要領が固まり、1枚に
付き20~30分で作業が進行します。

 

しかし、補助作業員なしで襖紙張りに加え
襖の取り回し全てを作業するのはきついです。

 

引き手を取り付けると一挙に見栄えがしてきます。「明るいアイボリー」のはずが
「かなり白に近い」印象です。張り終えた後の印象を想像するのも職人の域です。

 

写真に写っていない左端の1枚は、張り付け直後から地のアクが浮き出て
きて、張り直しせざるを得なくなりました。また、その上の天袋襖は、鴨居の
変形で外すことができませんでした。襖紙を追加購入し、鴨居を押し上げる
ジャッキを用意して、後日、作業を完了させに再度伺うことにします。
*写真をクリックすると作業前の写真にジャンプします。


 
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