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高性能PC電源ユニット交換(2017.7.3)

ビデオ編集用の高性能タワー型デスクトップPCの修理です。中・高等学校の生徒視聴覚委員会で
利用されているPCで、大容量のHDDには学校行事を記録した貴重なビデオファイルが収められて
います。起動できない・・ようですが、状況を伝えるために以下のようなメモが添えられていました。
 

 ・立ち上げようとしても電源が付かない。真ん中のファンが動いていない。
 ・電源ボタンを押すと、点滅はするがすぐに消える。
 ・何十秒間か押すと、動かなかった真ん中のファンが動き出した。
 ・またすぐにファンが止まり、電源も止まった。

 ・ファンを取り換えると、電源はつくようになった。
 ・しかし、ディスプレイをつなげてみると信号なし・・・
 ・HDMIもVGAも、他のディスプレイも試したが「NO SIGNAL」

 ・マザーボードをずらしてしまった。
 ・ボタン電池も多分大丈夫
 ・グラフィックカードを取り外した。

 
 このようなメモを添えて下さると大変助かります。原因解明のヒントが
いくつも含まれているように思います。全体的にPC起動時の動作が
ひどく不安定です。何はともあれ、電源ユニットの動作が疑われます。
 

圧倒的に大型のタワー筐体に、これまた大型の電源ユニットが組み込まれて
います。全てのケーブルを抜き、電源ユニットを取り出します。埃まみれです。

 

ユニット内蔵クーリングファンも大型です。大量の埃が
入り込み、ファンブレードが埃を引きずっています。

 

手近にあったAT電源ユニットを用意します。電力容量が明らかに不足
していますが、マザーボードを最低限動作させる電力を供給します。

 

CPUファンを始め、前面・上面・背面の各内蔵ファンが全て
回り始めました。トラブルの原因は電源ユニットです・・が、

 

やはりディスプレイに表示が出ません(NO SIGNAL)。
PC自体のクレジットやBIOS画面も出ないということは、

 

CPUがBIOSを処理する段階から動作していない、ということであり、各デバイス・
チップ単位で点検が必要です。手始めに、チップの代表格CPUから点検します。
クーリングファンを外して清掃し、ソケットからCPUチップを抜き取ってみます。

 

ソケット内面に緻密に並ぶ端子群です。CPUチップ裏面の端子と電気的に
完全接触させるため、バネ構造に成形された微細な金メッキピンが、規則正しく
精密に植え込まれています・・、写真の中に不具合の原因が見えています。



数本のピンが欠損しています。正確には、何かの原因でピンが起き上がる方向に
曲がっています。拡大鏡下で極細先端のピンセットを使い、1本ずつ修正します。
 

PCのクレジットが表示されるようになりました。この先、HDDの読み書きが始まると
電源容量が追い付かなくなる恐れがあります。電源を落として修理を続けます。

 

組み込まれている電源ユニットは「hec WIN+3 700W」です。
高性能グラボや何台ものストレージを駆動する大容量電源です。

 

「電源ユニットの不具合=コンデンサのパンク」と期待しつつも、外見上
コンデンサには問題が見当たりません。放熱器付きパワートランジスタに
容疑がかかりますが、その点検や交換には多く時間と手間がかかります。

 

電源ユニットごと交換する方が賢明です。同等の製品を探します。
同型の「WIN+3」は品薄のようです。15000円ほどします。

 

似たような製品で「hec WIN+3s 700W」があります。「WIN
+3」の半額程度の価格です。互換性があれば良いのですが。

 
 
 守谷工房様

   お問い合わせいただき、誠にありがとうございます。
 Genkibuyサポートセンターでございます。

 お問い合わせいただきました
 「HEC WIN+ POWER 3s(700W)」と「HEC WIN+POWER 3(700W)」
 のコネクタにつきまして、基本的には同じ仕様となっておりますが、
 「HEC WIN+ POWER 3s(700W)」では一部のコネクタの数の変更が行われて
 います。

 主要な変更点としまして「HEC WIN+ POWER 3s(700W)」では
 ・ペリフェラルコネクターがx4→x3に変更
 ・PCI-Expressコネクターがすべて「6+2ピン」に変更
 となっております。

 詳しくは代理店製品ページをご確認ください。

 ■WIN+ POWER 3s製品ページ
 http://www.milestone-net.co.jp/product/hec/power_supply/win+power3s.html
 ■HEC WIN+POWER 3製品ページ
 http://www.milestone-net.co.jp/product/hec/power_supply/win+power3.html
 ※ページ内の「スペック」タブをクリックいただくと詳細なコネクタ数が確認い
 ただけます。

 ご参考になりましたら幸いでございます。 よろしくお願い申し上げます。
 
 取り扱いのあるPCショップに、両者の互換性を問い合わせてみました。
その日のうちに返信があり、上のような丁寧な回答を得ることができました。
 

「WIN+3」(元の電源ユニット)のケーブル・コネクタ一覧です。
このレベルの電源ユニットになると、すごいコネクタ数です。

  

ケーブル・コネクタの図式説明です。非常に
分かりやすく、コネクタ過不足の確認が簡単です。

  

「WIN+3s」(後継機種の電源ユニット)のケーブル・コネクタ一覧
です。旧型「WIN+3」に比べて、若干整理統合されています。

 

「WIN+3s」(後継機種の電源ユニット)のケーブル・コネクタの
図式説明です。結論は、互換性に何ら問題はありません。

 

PCショップからの回答通り、基本的に同じ仕様でした。残念ながら
いざ発注時に、半額近い価格での在庫はありませんでした。学校では
編集作業が中断しているので、発注を先延ばしするわけにはいきません。

 

ボックスの裏面にコネクタ一覧と入出力仕様が印刷されています。このビデオ編集用
PCは、グラボ1枚とストレージ2台しか搭載されていないので・・、ほとんど余ります。

 

内部クリーニング、ケーブルの配線し直し、一部誤配線の
修正を終え、新しい電源ユニットのもと電源を入れます。

 

HDDのブートセクターが読み込まれOSが起動します。
Windows7 Home ・・だったのですね。

 

HDDの時代は終わった感が漂います。SSDを
搭載したタブレットの方がよほど速く起動します。

 

ログインの画面まで辿り着きました。ここまで
来れば、他に問題はまず考えられないでしょう。

 

念のためパスワード不要の「Guest」アカウントでログインさせて
もらい、HDD内のビデオファイルを読み出せることを確認しました。

 
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