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軒天井補修(2017.10.24)


夏の盛りにご依頼をいただいた軒天井の補修です。破風板側の軒裏が傷んで
おり、見栄えも悪いので何とかならないかとのことです。真夏では熱中症の危険が
あり、涼しくなってからは長雨や台風の影響もあって大変長くお待たせしました。

 

10月に入りようやく下見に伺いました。
軒天井の白い塗装が劣化しています。

 

塗装膜が剥がれかかっており、
全体的にひびが広がっています。

 

近づいて見ると、塗装膜の劣化は
かなり深刻のようです。さらに、

 

これは塗装の劣化では済みません。
打ち付けた合板自体が傷んでいます。

 

増築部分の一段低い屋根が足場となり、手が届くところまで近づくことができます。
築30年以上とおっしゃっていましたので、当時の耐水性の低い合板のようです。
塗装膜がひどく荒れているところでは、合板の表皮がめらめらと剥がれてきます。

 

本来ならば軒天井を全て引き剥がし
新しい材料で再施工するべきでしょう。

 

しかし、脆くなっている合板を綺麗に取り除くことはかなり
大変です。大量の廃材を処分しなければなりません。

 

ご依頼主と相談の結果、古い材料はそのままに上から新しい
材料を張ることにします。撤去費用を見込まなくて済みます。

 

浴室にも適用できる外部施工用の
完全耐水合板を使用します。

 

足場の悪い現場での部材加工は避け、工房で
準備します。下見の際に必要寸法を計測済みです。

 

築年数が古いので軒天井の両端でかなり
寸法が異なり、単純な長方形ではありません。

 

3mm合板はカッターナイフで切断できます。
長編1800mmの部材を2枚切り出します。

 

屋根手前の軒下に跨るもう1枚の部材です。
最終的な寸法調整は現場にて行います。

 

表面(軒天井下面)の塗装も
工房内で作業していきます。

 

木材に使用できる外部用途の
ペイント(白・艶消し)を使用します。

 

2回重ね塗りした時点で合板の
木地はほぼ塗り潰れています。

 

ムラの残る部分を中心に若干の
塗り重ねを行って塗装完了です。

 

長雨や台風で作業が延び延びになった後、ようやく晴れた日に
材料を携えて現場に赴きました。塗装も終えた部材を運び上げます。

 

足場は確保できているものの、部材は
仰向け状態で取り付けることになります。

 

正確に採寸したはずですが、建物の歪みが
それを上回ります。現場にて微調整します。

 

固定のためこの状態で釘を1本ずつ
打つのは非常に厳しい作業になります。

 

そこでハンドタッカーを使用します。下向きに打つならば
ハンマー式ですが、逆向きなのでレバー式を選びます。

 

10mmの針を10~15cmおきに打ちます。
連続で作業すると手首がかなり応えます。

 

最後の1枚を仮止めにして、
現物合わせで長さを揃えます。

 

計3枚の部材で損傷範囲を覆いました。作業により表面が一部汚れてしまい、
また、タッカーの針が剥き出しなのでこの上からもう一度塗装を重ねます。

 

作業翌日は再び雨天となり、数日をやり過ごした後、最後の重ね塗りと手前別棟の
軒天井補修(塗装のみ)のため再度現場に出向きました。建築関係の方(大工さん)
泣かせのと、その雨の中で黙々と作業される方々のご苦労を思い知らされます。

 
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