市内の戸建住宅で玄関屋根の補修に挑みます。夏の盛りにご依頼いただいたのが、
猛暑を避け台風を避け業務をやり繰りしているうち、こんな時期になってしまいました。
限られた面積ですが、上塗りの劣化が進みトタン板の表面全体に錆が広がっています。
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この屋根は、トタン板の再塗装以外に
より深刻な問題を抱えています。
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なぜか右側支柱の高さが不足し、
屋根が明らかに傾いています。
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軒に水準器を当てると、右側に
傾いていることが確認できます。
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支柱の基礎部分で高さ調整用でもある鉄丸棒が、
腐食によりコンクリートの土台から離れています。
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腐食により基礎の鉄丸棒が折れ、さらに年月を経て長さ(高さ)が短くなって
いったようです。雨樋はこの通り、排水溝の反対側に雨水が溜まっています。
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まず支柱の高さを修正します。鉄丸棒を交換
することは困難なので、塩ビ管を代用します。
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100mm径のジョイントは肉厚があり丈夫
です。バンドソーで縦方向に2分割します。
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ひと回り系の大きい塩ビ管を用意します。ホームセンターで
内径がジョイントの外径とほぼ同じであることを確認済みです。
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ジョイントと同じ長さに切り出し、
同じように縦に2分割します。
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縦方向に2分割するのは、基礎部分に
嵌め込む(通す)方法がないからです。
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2分割しておくことで、左右外側から
合体させ取り付けることが出来ます。
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ジョイントによるインナーと塩ビ管によるアウターを重ねることで、屋根の
重力に耐え得る強度を確保します。また、半円同士の接合部を互いに
90度ずらして接着し、接合部に応力が加わり分離することを防止します。
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ジャッキを使い屋根の傾きを修正します。
支柱と平行に2m弱の支え材をいれます。
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支え材を介して下がっている側の
屋根を持ち上げていきます。
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面積も小さくトタン葺きの屋根ですが、相当の
重量があり、建屋本体に強く固定されています。
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支柱の基礎部分が浮き上がってきました。
軒が完全に水平になるまで持ち上げます。
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水準器を当てながらジャッキを微妙に調整
します。ほぼ水平状態に到達したようです。
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雨樋は排水溝に向かい傾斜を付けて取り付け
られています。溜まっていた雨水が流れ出ました。
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支柱の構造は、鉄丸棒の上に鉄管、その上に磨き柱が取り
付けられています。鉄管の内側に空間があるので採寸します。
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鉄管下部の地上高に空間部分の高さを加え、
塩ビ管の仕上げ高さを割り出します。
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インナー・アウター4個の部品に正確に高さをけがきます。
現場現物合わせするつもりで、長めに加工してあります。
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工房ならばスライドソーで一瞬で切断でき
ますが、現場なので塩ビ用鋸を使用します。
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この塩ビ管専用鋸、初めて現場に持ち出しますが、
非常に切れ味が良く、手作業でも正確に切断できます。
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基礎部分の鉄丸棒を挟み、分割された
塩ビ管を接着剤で左右から合体させます。
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インナーの表面にも接着剤を塗り、接合部位置を
90度ずらしてアウターを被せ合体させます。
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接着剤が固化するまでガムテープで
補強し、ひと晩放置することにします。
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作業2日目から、トタン板表面の再塗装作業に入ります。上塗りの劣化が
進み、広範囲に錆が浮き出ているので、サンディングが不可欠です。
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電動のサンダーを用意します。
とても手作業では対応できません。
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研磨パッドは、錆落とし専用の化繊を
スポンジ状に加工したものを使用します。
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40分ほどでサンディング作業終了です。電源コードを
引きながらで、写真を撮る余裕がありませんでした。
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続いて下塗り作業に入ります。油性の錆止めを使用
します。近年の製品は性能が向上し頼りになります。
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蚊取り線香の空き缶がとても便利です。
吊り下げ紐も付いており作業が捗ります。
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原液状態で使うか、もし刷毛運びが
悪ければ若干のシンナーを入れます。
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錆を抑え付け塗装膜の下支えが役割なので、
塗膜を厚めに、塗り残しなく丁寧に塗り付けます。
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天気が良くて気温も高く、また油性塗料なので
間もなく乾燥してきます。が、ひと晩置くことにします。
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長く時間を置くことで、乾燥するだけでなく塗装膜が
安定してきます。3日目は上塗りを行います。
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ご依頼主のご希望で、塗装色は以前と同じ銀色
です。十分に攪拌しメタリック材を母材に混合します。
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塗料が良く伸びて作業が順調に進みます。
最近の塗料製品の性能向上を実感します。
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手作業による刷毛塗りで、これだけの光沢が得られ
ます。トタンの重なり部分にも丁寧に塗料を入れます。
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吹き付け塗装時のような周囲の養生や
マスキングは特に必要ありません。
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脚立を架け替え、左側けらばの周囲を塗ります。
トタン板が巧みに折り曲げ加工されています。
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その奥側に降りていく小屋根も仕上げます。壁面との
境界(コーキング)には塗料を乗せないようにします。
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この日も天気が良く、日中気温が上昇したため、作業が終了し道具を片付ける頃には
塗装膜がほぼ乾いてしまいました。乾燥後の塗膜状態まで確認することが出来ます。
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脚立から降りると、屋根全体を平面的に眺めることが出来ません。家屋から離れて地上高から
見上げるしかありません。しかし、浮き出た錆が一掃され輝きを取り戻した屋根は綺麗なものです。
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実を言うと、作業中に一度脚立から落下し、脛を思いきり打撲して未だに傷が痛みます。
ですが、それをはるかに上回る激痛が、脚立を繰り返し昇り降りしたことによる筋肉痛
です。塗装業者さんや建築業の方々の驚異的な身のこなしに、尊敬の念を抱きます。
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