テレビのスイッチの調子が悪い・・との連絡をいただきました。スイッチが
入らないのか、切れないのか、現状を確認してみないことには分かりません。
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薄型テレビはほとんどリモコンで操作しますが、
本体にも必要最小限のスイッチが備わっています。
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本体右側側面に幅3mmほどの縦に並んだ
スイッチがあります。一番上が電源です。
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操作しようと指を触れた瞬間、問題が分かりました。電源スイッチの押し
ボタンがぐらついています。注意深く操作するとON・OFFは機能します。
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電気回路的な故障ではなく、小さなスイッチ部品の破損の
ようです。それでも裏カバーを開けなければなりません。
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カバー脱着に必要なネジは、このような矢印マークが
付いています。無駄にネジを緩めなくて済みます。
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周囲のネジをひと通り外しました。
が、まだカバーは外れてきません。
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電源コードを差し込むソケットの近くに
1本ネジが締め込まれています。
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外部端子パネルの中ほどにも
1本ネジがあります。緩めます。
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裏カバーが外れてきました。一瞬ですが、台所
用品のような安物感が漂うのは何故でしょう?
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内蔵されている回路基板の統合がさらに進んでいるように思います。
写真左側のデジタルチューナ部、右側の画面表示ドライブ部の2枚だけです。
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不具合はそのような高度な部分ではなく
電源スイッチの押しボタンに生じています。
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押しボタンの状態を詳しく
確認しようとつまんでみると・・
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樹脂製の押しボタンが脱落して
きます。根元で折れているようです。
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メニュー切り替えや音量・チャンネルなど
一連のスイッチが一体成形されています。
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スイッチ部をアセンブリごと本体から取り
外します。やはり根元で折れています。
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作業しやすくするため、タクトスイッチの
付いた回路基板を分離しておきます。
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赤矢印の示す2点が、押しボタンが付いていた元の位置です。外側フレームから
延びる爪のような部分は、押しボタンに弾力を与えるためのバネの役割を果たして
います。押しボタンに衝撃的な力が加わり、瞬間的に折れたように思われます。
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補修パーツを探す・・暇はないので、
折損した部分を接着で修復します。
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しかし、接合部の面積が非常に小さい
ため、接着には工夫が必要です。
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まず、樹脂用(アクリル用)接着剤で
破断面を溶融し、互いに融合させます。
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接着面積がある程度確保されていれば、
これだけで十分な接着強度が得られますが・・
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押しボタンがレバーのように動き、小さな接着面に
力が集中するのでとても耐えられません。
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そこで、接着部の周囲にエポキシ接着剤で
肉盛りして、力を分散し強度を上げます。
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接着部の根元に慎重に適量を盛ります。隣接する部材と
ブリッジしてしまうと押しボタンが「押せなく」なります。
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エポキシ接着剤は固化するまで強度が出ません。
樹脂用接着剤により辛うじて付いている状態です。
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押しボタンの位置を他のスイッチのラインに
合わせ、しばらくテープで固定しておきます。
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エポキシ接着剤が固化し、ようやく強度が出てきました。
もう少し固さを加えるため、表面を瞬間接着剤で覆います。
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テレビ本体の元の位置に戻します。
他のスイッチよりも強いはずです。
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押しボタンのクリック感を確かめます。エポキシ樹脂の
硬化が進むことで、もう少し固くなると思われます。
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裏カバーを元に戻します。
ネジを全て締め付けます。
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クリック感が同じであれば、違和感なく元の通りに操作
できます。また、外観的にも修理したことは分かりません。
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何も梱包せず、設置場所から裸のままで運んできました。
輸送中に事故があってはいけないので(特に液晶パネルの
損傷)、パネル面に段ボール板を当て簡易包装して納品します。
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