以前にもご依頼をいただいた都内にある教育施設です。会議用テーブルの
具合が悪いとのことです。非常勤講師を務めている大学の近くなので、授業の
帰りに立ち寄ります。施設も設備も大変立派で、テーブルも安物ではありません。
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不具合のひとつは、テーブル
面を使用状態(水平)にすると、
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水平状態でロックがかからず、テーブル
面に手をかけると跳ね上がってしまいます。
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そうかと思うと、跳ね上がった状態でもロックが
かからず、テーブル面が勝手に倒れてきます。
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使用時・収納時いずれもロックがかからず、
従ってロックの解除レバーは意味をなしません。
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当てずっぽうに修理の真似事はできません。ロック機構は
左脚の上部、テーブル面の直下に組み込まれています。
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ロック機構を正確に把握します。樹脂製化粧
カバーを取り外します。元々外れかけていました。
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撮影してきた写真と記憶を頼りに機構を再現してみました。少ない部品で簡単な機構で
確実に動作し安価、耐久性と安全性に富む・・、近代工業製品の粋を見る気がします。
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テーブル面と、脚に取り付けられたステーの間に、樹脂製のボックス型
スライダーが入れられています。スライダーの中に組み込まれたピンに、
ステーに成形されたカギ部分がかかることでロックされる仕組みです。
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テーブル使用時(水平時)は、スライダがスプリングの
張力により左側(後方)に引き戻されてロックされます。
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レバーを操作するとスライダが右側(前方)に引かれ、
カギ部分からピンが外れてロックが解除されます。
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テーブル面が跳ね上がると、やはりスライダが
スプリングにより下方に引き下げられロックされます。
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レバーを操作するとスライダが上方に引き上げられて
ロックが解除され、テーブル面を倒すことが出来ます。
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ロックがかからない→ロック機構の作動が阻害されている→スライダの動きが悪い、
と考えたところで足元に目をやると、そこに不具合の原因がありました。左脚の取り
付け角度がおかしなことになっています。明らかに内側に向かって変形しています。
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変形に連動して脚に固定されているステーの位置も狂い、スライダーを
強く押さえ付けています。さて、現場には変形を修正するほどの工具が
ありません。かなり乱暴ではありますが、このような方法で変形を戻します。
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うまく行きました、見た目には変形は分かりません。脚の
修正と同時にステーの位置もほぼ元に戻っています。
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ステーの位置を、テーブル側金具の
できるだけ中央に来るよう調整します。
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スライダーは自由に動くようになりましたが、まだ自動的に
ロック位置に戻りません。スプリングを取り外してみると、
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シャフトにかかる側のカールが伸び、外れかけて
います。これではスプリングが機能しません。
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スライダが押さえ付けられたままレバーを強く引いたことが
原因でしょう。シャフトにかかるようカールを戻しました。
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厄介なことに、スプリングの取り付け場所はボックス型
スライダーの奥まったところです。直視出来ません。
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ラジオペンチの先でスプリングを掴み、
手探りでカール部をシャフトにかけます。
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ロック機構が機能するようになりました。
テーブル面は跳ね上がりません。
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レバーを操作するとロックが解除され
テーブル面が起き上がっていきます。
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跳ね上がり切ったところで
再びロック機構が働きます。
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レバーの操作でテーブル面を倒すことが
出来ます。非常にスムーズです。
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それにしてもなぜ左脚が変形したのでしょう。職員の方と話しをしていて
分かりました。テーブルを移動させる際に、エレベータ内で縦方向に立てた
そうです。片持ち梁状態の脚にテーブル全体の重量が加わったためです。
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上質の会議用テーブルはデザインも重視される結果、脚周りに最低限の
補強材しか配置されていません。脚部の変形がロック機構の不具合を
引き起こす可能性まで、設計段階で読み取ることは・・難しいでしょう。
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