自宅で使用している、一見華やかそうで実は安物の置時計です。その昔、職場の同僚の
結婚式に出席して引き出物でいただいてきたものです。かれこれ30年以上、故障もせず
電池切れ以外、非常に正確に動いてきました。今回はどうやら電池切れではありません。
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桂由美の意匠のようで、ぎっちり金メッキ
された樹脂製、〇ンキで売られているような・・
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結婚式の記念品とあって、そう
簡単に捨てるわけにも行きません。
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派手な本体と相まって、ムーブメントは
クォーツユニットの大量生産品です。
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正確に時を刻む装置としては素晴らしいのですが、
およそ置時計の価値を低下させたことも事実です。
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先に文字盤側から3針を
取り外しておきます。
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ガラスが入っていないためか、
文字盤が少し汚れています。
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ムーブメントを本体に固定して
いるネジ2本を緩めます。
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本体はマンハッタンのビル群をイメージしたワンプレス
成型品で、樹脂メッキはほとんど劣化がありません。
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ムーブメントを取り外しました。可能性は低いのですが、
チップやクリスタルに不具合があると即刻スクラップです。
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時刻合わせ用のツマミを引き抜きます。
アラーム機能がないので構造は簡単です。
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しかし、振り子が(装飾的に)付いており、
次に振り子駆動関係の部品を外します。
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前後2個の三角形の頂点で、極力
小さな抵抗で振り子を支える構造です。
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ほとんどのムーブメントが、上下2ピースの本体を
周囲4か所程度の爪で組み合わせています。
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歯車シャフトの軸受も本体壁面に
精密に成型加工されています。
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正確に時を刻む回路はこれだけです。中央の6260Cは
時計専用の分周ICでしょう(データは見つかりません)。
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裏側のプリント面です。3針駆動用、振り子
駆動用のコイルも基板上にまとめられています。
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チップを含めわずか数個の電子部品が、経年により劣化・故障する可能性はほとんど
ありません。考えられるのは部品の金属部分、基板の半田面の腐食ぐらいでしょう。
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半田付け個所を入念に点検します。乾電池ホルダーの
金属板を固定した部分に、わずかな変色が見られます。
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長年かかりフラックス剤が変質したもので、
導通を阻害しているかも知れません。
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修理と呼べるような修理ではありませんが、いったん古い半田を
除去し新たに半田付けし直します。半田の跡が綺麗になりました。
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駆動コイルの中でマグネット付き歯車が回り始め
ました。半田付けの劣化が原因・・ということです。
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腑に落ちない修理でしたが・・・
修理完了で元通り組み上げます。
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振り子が左右に揺れ、3針とも正常に動いています。時計は長く時を刻み続けますが、
時計を下さった方とは久しく音信が途絶えています。お元気で過ごされているでしょうか。
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おそらく5・6個の時計用クォーツムーブメントが、一般の家庭内で使われているでしょう。
ホームセンターでは汎用のムーブメントがユニットとして安価で販売されています。しかし、
これだけ多くのムーブメント間で、振り子、アラーム、秒針の有無などほとんど互換性が
ないのが現実です。ムーブメントの修理に失敗すると時計自体が再生できなくなります。
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