先日、この掃除機の延長ホースを補修部品として取り寄せ、納品したばかり
でした。幾日も経たないうちに再び連絡を頂戴し、掃除機が動かなくなったとの
ことです。前回はホースの交換のみでしたので、本体はお預かりしませんでした。
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写真に写っておりませんが、前回交換したのはフレキシブルホースとヘッドの
間に入るダクトホースです。今回はそのホース以外をお預かりしてきました。
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手元のスイッチを操作しても、確かに
掃除機は動作しません。電源が入りません。
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底面の型番シールを確認しますが
この通り擦れて読めなくなっています。
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上部カバーの刻印から東芝製
「VC-PY8F型」と分かります。
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平成21年あたりの製品で、既に生産を終了して
います。WEBにはまだ仕様等が残っています。
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以前に修理した掃除機はモーターのカーボンブラシが摩耗
していました。その可能性も含めてひと通り点検します。
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上部カバーが2重構造になっています。1枚目と
2枚目の間に隙間ノズルが収納されています。
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旧来の紙パック方式です。サイクロン式に比べて
すぐに吸引力が落ちる・・わけではないのですが。
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むしろゴミの収容量が大きく、扱いも手軽です。
紙パックの奥、吸引口の手前にフィルターがあります。
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フィルターを保持している樹脂製ホルダーです。
何故か爪がほとんど折れてしまっています。
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底面の自在ホイールもいったん外して
おきます。いずれクリーニングします。
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丸みを帯びた複雑な立体デザインが取り入れられるほど、本体の組み付け
構造は複雑を極めます。最小限のネジ固定で十分な強度を得るため、本体の
外装部品(カバー類)は複雑な篏合構造となり、容易に分解できません。
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頂上部のネジを1本緩めたところで、
先にハンドルを外しておくことにしました。
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左右両側から、軸穴に突起部が嵌まり込む
構造です。ドライバの先で広げながら外します。
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上面後ろ側のカバーは、後部にネジが1本、
前方部分で数本の爪が本体と噛み合っています。
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爪を開放位置に戻す方法がないため、爪を
折らないよう力を入れて慎重に引き上げます。
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1枚目の上部カバーを外します。ハンドルと
同じ構造で左右から軸穴に嵌め込まれています。
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2枚目の上部カバーを外します。これも
同じ構造で嵌め込まれています。
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カバーを取り除いたところで、上側
本体を固定しているネジを緩めます。
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底側本体との篏合も非常にタイトです。
一部上側から爪受けが伸びています。
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何とか上側本体が外れてきました。このあたりから
手指が猛烈に汚れ始めます。内部はゴミだらけです。
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モーターの排気口に当てられている特殊フィルター
です。取り出すとざらざらした砂埃が落ちてきます。
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モーターの上部、排気熱を避けた位置に
化繊のシートにくるまれた部分があります。
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モーター制御用の回路基板です。
全体が煤けて汚れています。
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電源コードの接続に問題がないか丁寧に点検
します。内部カバーの固定ネジを緩めます。
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モーターを覆う内部カバーを取り外します。
モーターまで電力が届いているでしょうか。
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内部に手を入れるほど大変な汚れ様です。別の
掃除機で埃を吸い取りながら作業を進めます。
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モーターの整流ブラシが見えてきました。摩耗の具合を
点検しなければなりません。必要ならば交換します。
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アセンブリごと抜き取ります。先端内部に
カーボン製ブラシが挿入されています。
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まだ大丈夫です。15mm程度残って
いるので交換の必要はないでしょう。
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反対側の整流ブラシも点検します。
こちらもまだカーボンが残っています。
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モーターへの電力供給途中に、バイメタル
(温度スイッチ)が直列に挿入されています。
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モーターの過熱防止用で、常温では導通
している必要があります。問題ありません。
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モーターへの電力供給系統は特に問題ないようです。
クリーニングの後、いったん内部カバーを閉じます。
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電源コードのが、最後まで巻き取られなくなって
います。リールを2回転ほど増し締めしておきます。
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次に、ホース差し込み口周りの点検に移ります。先に
本体内側から部品を固定しているネジを緩めます。
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本体外側から固定しているネジが
1本だけあります。緩めます。
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ここも強固な篏合構造になっています。
爪や爪受けを破損しないよう外します。
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ホース差し込み口部品の底部に、手元スイッチへの
配線を中継するための金具が取り付けられています。
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取り外して見ると変形が大きいように見えます。
ホース側の電極ピンに押されて曲がったようです。
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変形を修正します。直線状に戻し
バネとして弾力を持たせます。
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ピントの接触部分をペーパーで研磨し、導電性を改善します。
この時点で掃除機は、何もなかったかのように動き出しました。
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内部・外部ともにひどい汚れ様です。掃除機自体が
汚くてはシャレになりません。リフレッシュします。
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ホイールの表面部分です。長年の清掃活動で
細かく無数に傷つき、汚れが入り込んでいます。
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バンパーの役割を果たす軟質ビニル製サイド
プロテクターです。汚れ切って変色しています。
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家庭用中性洗剤に僅かに研磨剤
(クレンザー)を含ませて拭き取ります。
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脱着可能な樹脂製部品は、取り外して水洗いしま
した。内外ともすっかり綺麗かつ清潔になりました。
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電源コードを引き出してみるとこの通り
です。何度も踏まれて汚れています。
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力を入れて汚れを擦りとります。被覆にほとんど傷が
付いていないため、見違えるように綺麗になります。
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最も目に付きやすい上部カバーですが、無数の傷に
加え表面に印刷された文字が消えかかっています。
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樹脂用コンパウンドで、光沢を
復活させる程度にしておきます。
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この掃除機はまだ大丈夫ですが、モーターの吸い込みファン周りに
汚れが蓄積すると特有の異臭が消えなくなります。最後はモーターの
分解清掃にも、工房では対応しております。諦めずにご相談下さい。
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