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東芝製掃除機VC-PY8F点検修理(2017.6.23)

先日、この掃除機の延長ホースを補修部品として取り寄せ、納品したばかり
でした。幾日も経たないうちに再び連絡を頂戴し、掃除機が動かなくなったとの
ことです。前回はホースの交換のみでしたので、本体はお預かりしませんでした。

 

写真に写っておりませんが、前回交換したのはフレキシブルホースとヘッドの
間に入るダクトホースです。今回はそのホース以外をお預かりしてきました。

 

手元のスイッチを操作しても、確かに
掃除機は動作しません。電源が入りません。



底面の型番シールを確認しますが
この通り擦れて読めなくなっています。

 

上部カバーの刻印から東芝製
「VC-PY8F型」と分かります。

 

平成21年あたりの製品で、既に生産を終了して
います。WEBにはまだ仕様等が残っています。

 

以前に修理した掃除機はモーターのカーボンブラシが摩耗
していました。その可能性も含めてひと通り点検します。

 

上部カバーが2重構造になっています。1枚目と
2枚目の間に隙間ノズルが収納されています。

 

旧来の紙パック方式です。サイクロン式に比べて
すぐに吸引力が落ちる・・わけではないのですが。

 

むしろゴミの収容量が大きく、扱いも手軽です。
紙パックの奥、吸引口の手前にフィルターがあります。

 

フィルターを保持している樹脂製ホルダーです。
何故か爪がほとんど折れてしまっています。

 

底面の自在ホイールもいったん外して
おきます。いずれクリーニングします。

 

丸みを帯びた複雑な立体デザインが取り入れられるほど、本体の組み付け
構造は複雑を極めます。最小限のネジ固定で十分な強度を得るため、本体の
外装部品(カバー類)は複雑な篏合構造となり、容易に分解できません。

 

頂上部のネジを1本緩めたところで、
先にハンドルを外しておくことにしました。

 

左右両側から、軸穴に突起部が嵌まり込む
構造です。ドライバの先で広げながら外します。

 

上面後ろ側のカバーは、後部にネジが1本、
前方部分で数本の爪が本体と噛み合っています。

 

爪を開放位置に戻す方法がないため、爪を
折らないよう力を入れて慎重に引き上げます。

 

1枚目の上部カバーを外します。ハンドルと
同じ構造で左右から軸穴に嵌め込まれています。

 

2枚目の上部カバーを外します。これも
同じ構造で嵌め込まれています。

 

カバーを取り除いたところで、上側
本体を固定しているネジを緩めます。

 

底側本体との篏合も非常にタイトです。
一部上側から爪受けが伸びています。

 

何とか上側本体が外れてきました。このあたりから
手指が猛烈に汚れ始めます。内部はゴミだらけです。

 

モーターの排気口に当てられている特殊フィルター
です。取り出すとざらざらした砂埃が落ちてきます。

 

モーターの上部、排気熱を避けた位置に
化繊のシートにくるまれた部分があります。

 

モーター制御用の回路基板です。
全体が煤けて汚れています。

 

電源コードの接続に問題がないか丁寧に点検
します。内部カバーの固定ネジを緩めます。

 

モーターを覆う内部カバーを取り外します。
モーターまで電力が届いているでしょうか。

 

内部に手を入れるほど大変な汚れ様です。別の
掃除機で埃を吸い取りながら作業を進めます。

 

モーターの整流ブラシが見えてきました。摩耗の具合を
点検しなければなりません。必要ならば交換します。
 

アセンブリごと抜き取ります。先端内部に
カーボン製ブラシが挿入されています。

 

まだ大丈夫です。15mm程度残って
いるので交換の必要はないでしょう。

 

反対側の整流ブラシも点検します。
こちらもまだカーボンが残っています。

 

モーターへの電力供給途中に、バイメタル
(温度スイッチ)が直列に挿入されています。

 

モーターの過熱防止用で、常温では導通
している必要があります。問題ありません。

 

モーターへの電力供給系統は特に問題ないようです。
クリーニングの後、いったん内部カバーを閉じます。

 

電源コードのが、最後まで巻き取られなくなって
います。リールを2回転ほど増し締めしておきます。

 

次に、ホース差し込み口周りの点検に移ります。先に
本体内側から部品を固定しているネジを緩めます。

 

本体外側から固定しているネジが
1本だけあります。緩めます。

 

ここも強固な篏合構造になっています。
爪や爪受けを破損しないよう外します。

 

ホース差し込み口部品の底部に、手元スイッチへの
配線を中継するための金具が取り付けられています。

 

取り外して見ると変形が大きいように見えます。
ホース側の電極ピンに押されて曲がったようです。

 

変形を修正します。直線状に戻し
バネとして弾力を持たせます。

 

ピントの接触部分をペーパーで研磨し、導電性を改善します。
この時点で掃除機は、何もなかったかのように動き出しました。

 

内部・外部ともにひどい汚れ様です。掃除機自体が
汚くてはシャレになりません。リフレッシュします。

 

ホイールの表面部分です。長年の清掃活動
細かく無数に傷つき、汚れが入り込んでいます。

 

バンパーの役割を果たす軟質ビニル製サイド
プロテクターです。汚れ切って変色しています。

 

家庭用中性洗剤に僅かに研磨剤
(クレンザー)を含ませて拭き取ります。

 

脱着可能な樹脂製部品は、取り外して水洗いしま
した。内外ともすっかり綺麗かつ清潔になりました。

 

電源コードを引き出してみるとこの通り
です。何度も踏まれて汚れています。

 

力を入れて汚れを擦りとります。被覆にほとんど傷が
付いていないため、見違えるように綺麗になります。

 

最も目に付きやすい上部カバーですが、無数の傷に
加え表面に印刷された文字が消えかかっています。

 

樹脂用コンパウンドで、光沢を
復活させる程度にしておきます。

 

この掃除機はまだ大丈夫ですが、モーターの吸い込みファン周りに
汚れが蓄積すると特有の異臭が消えなくなります。最後はモーターの
分解清掃にも、工房では対応しております。諦めずにご相談下さい。

 
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