高齢者施設で利用されている車椅子です。携行や折りたたみの必要がないため、
スチール製の部品で組み立てられ、座面や背もたれにはしっかりしたクッションが取り
付けられています。かなり重量がありますが、走行安定性が高く座り心地も良好です。
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介助者が背面から操作するブレーキハンドルが、写真の通り破損し脱落して
います。ブレーキが使用できず、この車椅子は長い間使われずにいたそうです。
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本来ならばこのような位置関係で
ハンドルが取り付けられています。
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ハンドルの回転により、右端に取り付けられた
ワイヤーが引き上げられ、ブレーキを作動させます。
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しかし、ワイヤーの取り付け位置が不自然です。
背もたれの隙間を出ると大きく曲げられます。
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左端は取り付けに必要なネジ類が全て
紛失しており、保持しようがありません。
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施設内に同型の車椅子があると
聞き、見せてもらうことにしました。
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右端はこのように組み付けられています。ワイヤー
端のリングは固定ネジの右側にセットされています。
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補助プレートが2本のボルトで固定され、ハンドル
先端に埋め込まれた金属ピンを軸に回転します。
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左端の組み付け状況です。ボルトを延ばして回転軸に
しています。あり合わせのネジで修理されているようです。
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不足している部品を用意します。ハンドル左端の回転軸にするヘキサゴンボルト、袋ナット、
つば付きナット。右端の補助プレートを固定するヘキサゴンボルト、バネワッシャなどです。
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補助プレートを取り付けます。ワイヤーの引き込み
位置補正のため、本体ステー右側に変更します。
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紛失していたもう1本の
ヘキサゴンボルトを追加します。
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介護用品は安全性と堅牢性が極めて重要です。
六角レンチを入れて十分にトルクをかけます。
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ハンドル右端の回転軸となるピンが、
奥で折れたのか抜けてきます。
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現場対応ではスポット溶接などとても用意できない
ので、次善策としてエポキシ接着剤を使用します。
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ピンが埋め込まれていた穴に
奥まで接着剤を入れます。
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ハンドル左端で左右に動かない固定方法を
とるので、ピンを抜く方向に力は加わりません。
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実用強度に達するまで
接着剤の固化を待ちます。
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ハンドル左端の組み付けを修復します。
70mmのヘキサゴンボルトを通します。
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本体ステーに入る手前で、ステーに
向かってつば付きナットを入れます。
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ステーを左側に出る長さを
調整し、袋ナットを入れます。
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スパナと六角レンチで強烈に締め付けます。
ボルトの頭側も剛性的にステーと一体化します。
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接着剤が固化したので、続いて
ハンドル右端を組み付けます。
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こちらも袋ナットを強烈に締め込みます。ナットの
奥行き一杯に締めて、僅かに隙が残ります。
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市販部品を使ってほぼ原状通りに修復することができました。ネジを十分
締め付けるなど確実な作業を心掛けながらも、作業自体は簡単なものでした。
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簡単な作業でしたが、職員の方は大変喜んで下さいます。最近の車椅子は軽量で
高性能で折りたたむこともできますが、どっしりとして安定感のあるこのような
旧型が使い良いのだそうです。最後に可動部全体に注油して作業を終えます。
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