家庭用電気掃除機(クリーナー)のホースが壊れている、との
連絡をいただきました。スイッチ周りのトラブル(スイッチが入ら
ない等の故障がよく起こります)かと思いながら伺ってみると・・
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掃除機本体側の接続部近くで、ホースの外皮が切れ始めています。
ホースを引くことで掃除機本体が左右に移動するたび、この部分を
折り曲げる力が集中的に加わります。保護ブーツの外で切れています。
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このままでは破断が進むばかりです。ビニルテープなどで
補修されているのを見かけますが、ほとんど無意味です。
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接着剤に依存する補修方法は、接着強度の不足と
接着部分の美観的問題があり避けたいものです。
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本体との接続部近くでの破断なので、ホースの一部を切り
詰めて補修することにします。保護ブーツを取り外します。
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保護ブーツは左右のピースが爪に
よりしっかり篏合する構造です。
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保護用のビニルテープを剥すと、手元スイッチへの配線が
露出します。3条巻きの鋼線が配線を兼ねています。
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配線をいったん切り離します。鋼線側を
切るためワイヤカッターを使います。
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ビニル線側を切ると配線長が足りなくなります。配線は
電源と制御線です。色の並びを記録しておきます。
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掃除機本体側接続部からホースを切り離します。
破断部から遡るようにビニル外皮を切り込みます。
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シールを兼ねた特殊な接着剤で固定されています。
ビニル外皮を切り込みながら引き剥がします。
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接続部に差し込まれていた
部分を完全に分離します。
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残っていた接着剤を丁寧に取り除きます。接続口は鋼線の3条巻きに
合わせて螺旋状の突起が成形されています。ホースをねじ込める構造です。
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切れていた位置に合わせて、手前の引き剥がした部分を
切り取ります。これ以上破断が進まないよう留意します。
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鋼線を後でビニル線に接続する
ため、この程度を残しておきます。
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カッターナイフでビニル外皮を切り
取り、内部の鋼線を露出させます。
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鋼鉄線の表面に銅メッキが
施されているようです。
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樹脂製の接続口とビニル製ホースは
ゴム系接着剤で固定することにします。
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接続口の表面全体に接着剤を塗り付け、
突起に沿ってホースを一気にねじ込みます。
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鋼線の張力が強烈なので、終端部分を
2本のバークランプで強く固定します。
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実は、終端部分の内側にはまだ接着剤を
入れていません。配線を終えてからにします。
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ビニル線端の半田を溶かし、
芯線を露出させ整えます。
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芯線を鋼線に絡げます。記録を
確認し色を正しく配置します。
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銅メッキがされていますが、半田の
付着を促すためフラックスを使用します。
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鋼線の熱容量が大きいので、120Wの
半田ごてで一挙に半田付けします。
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芯線の周りに半田が十分流れ込んでいます。3本の配線は樹脂突起の溝内に
収まるので、接触・短絡の心配はありません。従って特に絶縁保護はしません。
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接続を終えた時点で終端部分の内側に接着剤を追加
します。元通り保護用にビニルテープを試用します。
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鋼線が露出している部分にはビニル
テープを重ねて巻き付けます。
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また、終端部分から外皮の破断が成長して
こないよう、手前に向かい多めに巻き付けます。
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元通りに保護ブーツを取り付け
ます。片側を先に嵌め込みます。
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接続口をひねり突起部の干渉を避け
ながら他方のブーツを嵌め込みます。
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強く押さえ付けると内部でツメが
噛み合いしっかり固定されます。
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新品時と同等の状態に補修出来ました。ホースの総延長が5cmほど短くなり
ましたが、使用時にほとんど支障はないでしょう。願わくば、製造元には耐久
試験を繰り返し実施し、保護ブーツ部分のデザインを改善してもらいたいもの
です。長さと形状を少し変更することでホースの耐久性が向上するはずです。
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