日本製ノートPCの代表格、東芝dynabookです。起動しないとお聞きし、ブートセクターの
破損だろうくらいに思っておりました。実際には使用中に水をこぼし、浸水したとのことです。
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ACアダプターを接続するとバッテリーの充電ランプが点灯、
電源スイッチを押すと、電源ランプが一時的に点灯します。
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間もなく電源ランプが消え、再び一時的に点灯・・を繰り
返します。画面には何も表示されず起動出来ません。
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R731/36EBK、CORE i5(2.5GHz)を搭載する
まだまだいける13.3インチスリムコンパクトPCです。
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本体を分解し内部の状態を確認します。
ストレージは500GBのSSDです。
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加えて4GB×2で8GBのメモリ、購入時オプションか後で
増設されたものでしょう。SSD・メモリは問題ありません。
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本体底側のカバーを取り外します。
20本ものネジで固定されています。
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固定ネジを全て緩めると簡単にカバーが外れます。
マグネシウム合金製の軽量で強固なカバーです。
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CPUを含むメイン基板です。外観的には損傷はありませんが、
浸水による回路短絡で部品が破損している可能性があります。
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左上のディスプレイヒンジの周囲です。USB3.0、サウンド
関係のサブ基板にフラットケーブルが接続されています。
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右上のヒンジ周りです。メイン基板に電源が取り込まれ、バック
ライト用も含む各電圧を供給します。浸水の影響は致命的です。
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右下にクーリングファンが配置されています。
SATA、HDMI端子基板が周囲を取り囲みます。
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左下はSDカードスロット基板です。基板上で
DVDドライブの接続ケーブルが分岐しています。
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材料の機械的破損ではなく、浸水による電気的破壊が原因で起動不能に陥っています。
弱電流による電気的破壊は外観的に発見が困難で、しかも浸水は一挙に広範囲に
及びます。PCのように非常に複雑でLSIに依存するシステムは、故障部位の発見が
不可能、つまり修理は不可能です。代替策として、同型機からの移植を考えます。
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急遽手に入れた同型機です。動作保証のある中古品で、
実際電源を入れるとセットアップ直後のOSが起動します。
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安価に修理するため、多少難があっても低価格のものを
探し出しました。タッチパッド横の塗装が剥がれています。
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元の外装を再利用するので問題ありませんが、R731/36Eに
対して入手したのはR731/C、仕様上若干の違いがあります。
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DVDドライブの有無以外に、サウンド基板との接続ケーブルや
Expressカードスロットの仕様が異なっています。分解します。
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移植を受ける元のPC(右側)と、ドナーとなる同型中古PC(左側)です。
ドナーは問題なく動作しているPCなので、移植手術(作業)に失敗しな
ければ、元のSSDを再利用してセットアップ環境を再現できるはずです。
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SDカードスロット基板を外します。DVDドライブへの
分岐ケーブルは元のPCのものを付け替えて利用します。
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メイン基板からキーボード、タッチパッドへの
接続ケーブル(フラットケーブル)を抜きます。
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サウンド基板への接続ケーブルを抜きます。元の
PCでは2枚、ドナーは1枚に省略されています。
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メイン基板横のD-subコネクタの固定ネジを
緩めます。クーリングファンも取り外します。
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本体キーボード側カバーに、さらに2本の固定ネジが
あります。緩めると基板が浮き上がってきます。
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右上にディスプレイの接続コネクタがあります。
PC関係で恐らく最も細密なコネクタでしょう。
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SATA・HDMIサブ基板はケーブルが付いたままで取り
外します。ケーブルを固定している粘着テープが厄介です。
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メイン基板左辺下部に、LANコネクタへの配線と
バックアップ電池の配線があります。引き抜きます。
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これでメイン基板が完全に分離します。ケーブルも
含め絶対に損傷させないよう慎重に取り出します。
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そのまま元のPCに移動します。夏場で湿度が
高いので、静電気破壊は気にしていません。
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ケーブルやサブ基板を引きずりながら、
ドナーのメイン基板を元のPCに収めます。
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USB3.0、サウンド基板も、浸水
した可能性があるので交換します。
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元のPCで2枚の接続ケーブルが、ドナーでは1枚仕様に
変更されています。影響が出る可能性があります。
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メイン・サブ両基板をよると、もう1枚のケーブル用にコネクタが
付いています。ドライバーの変更で対処しているのでしょうか。
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ケーブルを全て接続しDVDドライブを収めて底側カバーを
被せると、オーディオ端子周りの形状が微妙に合いません。
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止むを得ず、USB3.0、サウンド基板を元のものに戻し
ます。浸水とケーブル数の影響が無いことを祈ります。
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全てのケーブル接続を再度確認し、基板のネジ固定も確認します。1点だけ、底側カバーに
取り付けられているExpressカードスロットはDVDドライブの有無により形状・取り付け位置・
接続ケーブルなど仕様が異なります。DVDドライブとの共存と、ケーブル接続の可否が排他
的関係にあるため、DVDドライブを優先しExpressカードスロットは接続しないことにします。
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一般的な利用でExpressカードスロットの出番はまず無い
でしょう。ここでバッテリーを仮接続し、電源を入れてみます。
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起動時のクレジットが表示されています、取りあえず移植
作業成功のようです。本体底側カバーを取り付けます。
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元のSSDを組み込み、起動後に無事デスクトップが表示されました。デバイスマネージャーにも
トラブルはありません。また、メイン基板を交換していますがWindowsはライセンス認証済みで
再アクチベーションの必要はありません。 実は、ご依頼主は工房においでになる前、購入店の
○○デポに修理を依頼されたそうです。○○デポ経由で東芝に連絡が行き戻ってきた修理見積
金額が(○○デポの手数料も含め)17万円!。同店のメンテナンス保障(月額約8千円)に加入
されていたものの、免責金額が10万円で差額7万円の請求(2年前に同店で7万円ほどで購入
されたPCです)。修理を断り解約を申し込んだところ、WiFi契約の途中解約金を合わせ6万円
近くを請求されたとのことです。最近、PC修理店が急に増えてきて、料金がかなり高いように
思っていましたが、ここまで凄まじい状況になっているとは・・。 どうか、守谷工房にもご一報を。
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