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| ・お酒の熟成器（２０１９．１．１２） |
お正月早々に面白い電気製品が送られてきました。「お酒の熟成器」です。 自分はお酒を嗜まないこともあり、このような製品の存在すら知りません でした。超音波を照射することで短時間でお酒の熟成度を上げるそうです。 「たった３日で２年分の熟成が可能」とはネットで見かけた広告です。 |
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 外観はお酒が２合ほど入る結構な徳利です。 ここにお酒が入ることぐらいは分かります。 |
 座りの良い台座部分に、何やら 電気的な仕掛けがあります。 |
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 底部は乾電池ホルダーです。ＵＭ－３が ４本入ります。底カバーはありません。 |
 乾電池４本用にしては 何か違和感があります。 |
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 取りあえず分解して 内部を確認します。 |
 固定ネジを緩めると乾電池 ホルダーごと外れてきます。 |
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 内部は簡単なものです。徳利の底部に超音波発振子が 取り付けられ、高周波発生回路に接続されています。 |
 高周波発生回路といってもこれだけです。 ＳＮ７４０４はインバーターが６組入ったＴＴＬです。 |
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 ご依頼主は乾電池が液漏れしたとおっしゃっていましたが、事態はそれどころでは ありません。おそらく電源系統と思われる配線が、２本完全に外れた状態です。 |
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 乾電池ホルダー内で乾電池の＋側を受ける金具が 欠損しています。最初に感じた違和感はこれです。 |
 反対側の金具は問題ありません。こちらは 隣り合った乾電池を接続するだけの金具です。 |
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 ホルダーの本体内部側には、金具を通し 折り曲げてあった跡が残っています。 |
 外れていた配線はここに接続されていたようです。 液漏れにより金具が腐食し切ってしまったのでしょう。 |
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 修理の前に乾電池ホルダー周りの 配線図を確認してみます。 |
 よく見ると、反対側の金具は 左右に２分割されています。 |
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 正確な配線図はこれです。乾電池が直列に ２本ずつ接続され、２組の３Ｖを供給しています。 |
 欠損しているホルダー金具を修復しなければ なりません。０．５ｍｍ厚の真鍮板を用意します。 |
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 金具を差し込む溝の幅を測定します。 溝の内側で１２ｍｍあります。 |
 真鍮板を１２ｍｍ幅に 正確に切り出します。 |
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 アクリルカッターで溝を刻んでから折り 曲げます。金切鋏を使うと板が歪みます。 |
 数回折り曲げを繰り返すと 綺麗に切り離れます。 |
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 溝に正確にはまる ことを確認します。 |
 乾電池の＋極に接触し、かつ乾電池を 支えるようバネ状に折り曲げます。 |
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 ホルダーのスリットを内部側に 通り抜ける部分を加工します。 |
 ４ｍｍ幅に狭める必要があります。 切り欠き位置に印を付けます。 |
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 ここは金切鋏を使わざるを得ません。 材料が大きく歪まないよう留意します。 |
 左右からも切り込んで ４ｍｍ幅に仕上げます。 |
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 ペンチで歪みを修正します。元はステンレス板が使われていたと思われ ますが、加工のしやすさを考えて真鍮板あるいは銅板を使用します。 |
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 角を落としてから欠損部分に 差し込んでみます。 |
 電極を受ける部分の金具幅が大きいようですが、 実際に乾電池を入れると特に干渉はありません。 |
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 本体内側を確認します。金具の先端が スリットを通り抜けて飛び出ています。 |
 金具を２個とも取り付けました。ここにカバーが付かないのは 不可解ですが、乾電池が重みで落下する心配はありません。 |
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 外れていた２本の配線を接続します。電源スイッチの端子で １本になる配線なので、どちらの金具に接続しても同じです。 |
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 乾電池をセットします。しかし、 動作確認の方法がわかりません。 |
 電源スイッチを入れます。すると基板 中央に取り付けられている赤色ＬＥＤが、 |
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 ゆっくりと点滅を始めました。点滅を もって動作確認とするしかありません。 |
 お酒を嗜まないので、熟成されたか 否か判断のしようがありません。 |
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 ご要望が「電池液漏れで壊れた物の修理」でしたので、液漏れによる 損傷である金具の欠損修復をもって修理完了とさせていただきます。 |
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 「熟成されたか否かのテストなら私が・・」と思われた方、次回はお願い しますので「守谷工房テクニカルパートナーシップ」にご参加下さい。 |
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