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BOSE AWMSⅡピックアップ交換(2020.2.16)

 
一連のBOSE製品が次々と舞い込み、既に10機種ほど修理してきました。
おかげでBOSE製品の進化を辿ることができ、非常に興味深いものです。
以前からその存在は知っていましたが、ついにAWMSのシリーズが工房に
やってきました。AWMSはAccustic Wave Music Systemの略です。

 

とにかくこの筐体のデカさです。スピーカーシステムには、「ウェーブガイドスピーカー
テクノロジー」とやらが採用されており、全長203cmにおよぶ「ウェーブガイド(音道)」が、
僅かな空気の振動を大きな音エネルギーに変換することで重低音を再生する・・そうです。
また、「アクティブ・エレクトロニクス・イコライゼーション」が小音量時の低域を補正し、
バランスの取れた豊かなサウンドを再生するとのことですが、これはいわゆるラウドネス
回路の強力版のようなものです。もちろん、音質はラウドネス回路の比ではありません。

 

この大きさで6.5kgだそうで、女性でも
持ち運べる軽さ(?)を売りにしています。

 

AWMSⅡということはAWMSⅠがあるはずで、
単にAWMSという機種が実際に存在します。

 

AWMSⅡはAM・FMラジオにCDプレーヤーが組み
合わされた機種で、WMSシリーズと歩調を揃えます。

 

ともあれ、実際にCDをかけてみます。
CDの再生不具合が修理の内容です。

 

上面パネル右側にCD再生関係の操作ボタンが並び
ます。リードインからTOCを読み出そうとしていますが・・

 

読み出しに失敗したか、読み出せなかったか、
「NO DISK」と表示されCDを再生できません。

 

おそらく・・ピックアップの劣化が原因でしょう。本体の
分解にかかります。左右側面に固定ネジがあります。

 

背面側上部にも固定ネジが2本あります。
この時点で組み立て構造はまだ不明です。

 

4本の固定ネジを緩めたところで、本体上部
3分の1ほどが分離できることに気付きました。

 

前面側は水平方向にスライドする
篏合により固定されています。

 

分かってしまうと単純・・ではなく、考え抜かれた合理的な構造をしています。
分離した上側3分の1ほどの部分に、メイン基板、2個の中高音用スピーカー、
中高音用アンプ、CDドライブ、操作パネルがひとまとまりになっています。

 

下部に内蔵されているであろう電源回路、低音用
アンプとは2本のコネクターで接続されています。

 

ケーブルを引き抜くと上部が完全に
分離独立します。作業に集中できます。

 

CDドライブは外側カバー(筐体)とメイン基板の間に
組み込まれています。基板を筐体から取り外します。

 

筐体まで届いている
数本のネジを緩めます。

 

前方はバックル式の金具により
左右2か所で固定されています。

 

簡単に外れてきます。非常に
メンテナンスしやすい構造です。

 

メイン基板等が固定されたフレームごと表裏を返します。操作パネルに対応するタクト
スイッチが基板上に並んでいます。CDドライブへのアクセスは簡単そのものです。

 

軟質ゴム製インシュレーターを介して
フレーム上に置かれているだけです。

 

CDドライブの裏側を点検します。見慣れ
ない小基板が1枚取り付けられています。

 

小基板を外してピックアップの型式を確認します。
SF-DA23に組み込まれているものと同型です。

 

小基板を取り除くと、ユニット全体が
SF-DA23そのものです。

 

工房に在庫のユニットが流用できそうですが、
残念ながらディスクの固定方式が異なります。

 

ならば、ピックアップ部のみを
移植交換することにします。

 

ピックアップの支持構造、シーク用
スクリューシャフトも全く同等です。

 

ユニットのスリットにピックアップ
レンズ部がフィットしています。

 

しかし、問題が残っています。元の
ピックアップには小基板が付属します。

 

SF-DA23との唯一の違いは、ピックアップ
から出るフレキシブルケーブルの形状です。

 

ネット情報は、AWMSⅡ用のピックアップはSF-DA23であると解説しています。
形状こそ異なりますが、両者ケーブルのピン数は同じで、SF-DA23のケーブルは
途中で向きを90度変えています。CDドライブの手前にコネクタが出ているので、
こちらの方がケーブルの取り回しが簡単そうです。実際、位置も寸法も合致します。
どうやら、元のピックアップの方が特殊な設計で、ストレートに出ているケーブルを中継
するために小基板が加えられたようです。ピンのアサインが同じであることを祈ります。

 

元通りに本体を組み上げ、
動作確認に臨みます。

 

カントリー曲が詰まった
工房のテスト用CDです。

 

トラック1がシークされました。新品の
ピックアップなのでキャッチが速いです。

 

音楽の再生が始まります。
快調そのものです。

 

結論としては、元のピックアップは中継用小基板を設けることで、ケーブルの
形状と、もしかするとピンアサインについてもSF-DA23と互換性を持たせて
いたようです(ピンアサインは確認していません)。製造中にSF-DA23の
供給不足があったのか、SF-DA23自体に何か設計変更があったのか。

 

フレキシブルケーブルの形状にこだわり、見たことのない特殊なピックアップ
だと思い込んでしまうと、「補修部品が無いので修理不能」としてご依頼主に
お返しするところでした。何とも間抜けなことに、「AWMSⅡ用のピックアップは
SF-DA23」を説明しているWEB記事がどこにあったのか、その後分からなく
なってしまいました。写真入りの解説を、数日前に確かに見たのですが・・。

 
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