BOSE社プレーヤーの修理件数が増えています。これまでリモコン操作の不良も含め
ほとんどの修理に成功しております。今回は一体型の中でも初期の頃のモデルです。
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このモデルは本体上面に操作ボタンがあります。操作ボタンと付属リモコンのどちらでも操作
できます。ボタンが省かれた中期以降のモデルは、リモコンなしでは操作できなくなりました。
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操作ボタンの付いたパネルはCD
プレーヤーの上蓋でもあります。
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底面のシールで型式を確認します。
MODEL AWRC/0Pです。
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不具合の状況を確認します。
上蓋を開けてCDをセットします。
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取りあえず再生します・・が、間もなく音飛びが
出ます。ご依頼主から伺っていた通りです。
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ピックアップユニットの劣化が原因です。
交換作業のため本体を分解します。
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本体上面後方に2本、CDプレーヤーの
上蓋を開けた中に1本固定ネジがあります。
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このモデルの分解のコツは、上面の固定ネジを緩めた後、本体上側カバーと
底面側カバーの篏合を解除しながら分離することです。隙間からドライバーの
先を入れ、本体左右のツメによる篏合部を押し広げてカバーを引き上げます。
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表示パネルの防塵シールを
避けながら引き抜きます。
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表示パネル背面の基板から操作ボタンへ
延びるフラットケーブルを引き抜きます。
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ケーブルを抜かずに作業することも可能ですが、
作業性・安全性を考えカバーを完全に外します。
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ピックアップユニットは本体最上部に取り付け
られています。手入れのし易さ抜群です。
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そして、ピックアップユニットはインシュレーターを介して本体構造体に
載せられているだけです。固定ネジを一切使用しないフローティング
方式で取り付けられています。持ち上げると簡単に外れてきます。
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信号伝送用のフラットケーブルと
モーター制御用のケーブルを抜きます。
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ピックアップレンズ部を確認します。日常的に
クリーニングされているようで特に汚れていません。
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レンズクリーニングにより音飛びが改善しない場合、
補修部品があればピックアップユニットを交換します。
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シールの刻印は製造番号のようで、
該当するユニットは見つかりません。
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海外サイトで該当品を探します。ピックアップ部の
型番はSF-P100、13ピン仕様でなければなりません。
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何と7.99US$(1000円以下)です。
しかも送料無料、念のため2個購入します。
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新品なのでレンズのトラッキング性能や
レーザー出力など問題ないでしょう。
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製品に貼り付けられているシールは
やはり製造番号のようです。
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元のピックアップを取り外します。
ガイドシャフトの固定ネジを緩めます。
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ガイドシャフトを取り出します・・が、それ
だけではピックアップが外れてきません。
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ピックアップ移動用の平ギヤも
外します。固定ネジを緩めます。
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平ギヤと同軸のピニオンギヤが、ピック
アップのラックギヤと噛み合います。
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ピックアップが外れてきます。ユニット全体の
交換ではないので、安価に済みそうです。
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入手したピックアップにはラックギヤが
付属しないので、元の部品を再利用します。
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2本の小ネジで固定されています。中間に残って
いるネジは、レンズ部フレームの固定用です。
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新しいピックアップをユニットに取り
付けます。問題なく収まります。
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再利用する元のラック
ギヤ部を取り付けます。
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ガイドシャフト端をネジで固定し、平ギヤも取り
付けます。シャフトに少量のグリスを入れます。
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簡単かつ低価格で作業を終えられそうです。が、
ユニットを本体に収めようとすると・・収まりません。
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ピックアップに付属する小さな基板が
ユニットが収まる溝の底に干渉します。
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あらためて新旧のピックアップを比較してみると・・、この通りです。基板部分の上下
サイズが異なっています。新しく入手した製品(写真上)は上下長が長くなっています。
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販売サイトの写真では、サイズの違いを確認
できませんでした。ピックアップを探し直します。
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あらためて入手したSF-P100(13PIN)です。
ラックギヤ付きですが80US$(9000円)もします。
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基板上の「FAS」は同じで、明らかにサイズが小さく
なっています。製品にバリエーションがあるようです。
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あらためて(気を取り直して)
ピックアップを交換します。
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ピックアップ移動用シャフトや駆動
ギヤの取り付けも問題ありません。
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念のため新旧両ピックアップを比較して
みます。基板のサイズも同等です。
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ケーブルを差し込みユニットを
プレーヤー本体に組み込みます。
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実際にCDをセットし動作確認します。
上蓋を開ける方式も悪くありません。
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問題なくCDが再生され工房到着時の音飛びも解消されています。2日間にわたりCDを交換
したり連続再生を繰り返し、十分に動作を確認してからご依頼主にお返しします。ところが、
ご依頼元に届くや、CDが再生できないとの連絡が入り、急遽工房に送り返してもらい再修理と
なりました。結果は、ピックアップユニットの取り付けが微妙にずれて、ケーブルの接続がやや
甘くなっていただけです。組み直しにより問題は解消しました。配送中に加わった衝撃が原因と
考えられます。フローティング方式で取り付けられているため、強い衝撃によりユニットが暴れて
しまいます。荷物を「精密機器」や「こわれもの」に指定し、配達員の方がどれだけ丁寧に扱って
下さっても、配送センターのコンベア上は別次元です。あの超高速搬送からして、荷物に加わる
加速度は想定を超えるでしょう。減速時(停止時)のそれは、ほとんど「衝撃」だろうと思います。
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