ご依頼主の奥様が工房WEBをご覧になり問い合わせ下さいました。BOSE製
高級CDレシーバー修理のご依頼です。取り外しや梱包・発送ができないので
引き取りに来て欲しいとのこと、神奈川県厚木市まで伺いました。東名高速道路
厚木インターの近くにお住まいなので、苦にもならずドライブ気分で出かけます。
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工房に持ち帰ってきた修理依頼品です。シンプルなデザインながらトヨタクラウンを
想像させるような重量感と存在感が漂います。「うんともすんとも言わない」とだけ
説明をいただき、故障状況も何も工房で調べることにしてお預かりしてきました。
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BOSE製PLS-1410CDレシーバーです。
手前のパネルは10mm厚のアルミ板だそうです。
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背面の型番表示でもPLS-1410が確認
できます。韓国で組み立てられています。
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BOSE社WEBに製品説明はありません。
オーディオ系サイトに製品が紹介されています。
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両サイドはメイプル柄の豪華化粧パネルが取り
付けられています。標準価格119,000円!
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光デジタル端子を装備する一方で、PHONO
端子を備えます。つまりレコードを聴けるわけです。
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不具合個所の確認から始めます。電源を
入れると「Welcome・・」の表示が出ます。
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CDトレイの開閉ボタンを押してみます。「OPEN」と表示
されモーター音が聞こえますが、トレイは出てきません。
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トレイに手を添えると、そろそろと出てきます。
ローディング機構に問題があるようです。
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と言っても、ほとんどがベルトの劣化ですが。
一応、CDをセットして再生してみます。
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PLAY(再生)ボタンを押します。
引き込み時の動作はいくらかマシです。
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補助なしで何とか引き込まれ、
トラック「1」の表示が出ています。
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が、間もなく表示が「OPEN」に変わり、
トレイが出てきました。再生不能です。
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ベルトが劣化しローディング機構が正しく動作しないと、
CDをピックアップ位置にセットできないことがあります。
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そうするとTOC読み取り開始前に
再生を中止してしまいます。
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両サイドの化粧パネルを外すと
一転、測定器のような金属製筐体です。
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頑丈なスチール製で、
磁気シールドも厳重です。
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側面・背面の固定ネジを緩めます。
筐体上面には通気スリットが並びます。
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筐体上面側(カバー)を取り外します。
手の込んでいそうな内部が見えてきます。
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レシーバー内部の全貌です。技術的にも「贅沢」で品のある造りです。
底側の筐体は何と惜しげもなく銅板を加工して作られたものです。
手前の放熱器に埃が集積しているくらいで全体的に状態は良好です。
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先に、入り込んだ埃を
クリーナーで吸い取ります。
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2枚の回路基板が上下に重ねて配置されています。
上側の1枚はCDデッキのコントローラーを含むようです。
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ネジと樹脂製ポストで固定されています。
ポストの先をすぼめて穴を通します。
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コネクタを引き抜きます。CD
デッキの電力供給用でしょうか。
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下層のCDデッキから延びる
フラットケーブルを引き抜きます。
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太めのアース線がコネクタで
接続されています。引き抜きます。
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上側の回路基板を分離します。
下側の大きな基板が見えます。
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固定ネジを緩めます。奥の放熱器は
パワーアンプの出力デバイス用です。
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下のCDデッキ筐体の一部に
ねじ込まれているようです。
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左側は電源供給部が構成されています。
3本のヒューズは電源とLR出力段用でしょうか。
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左手前に垂直に取り付けられた
小型基板との接続コネクタを抜きます。
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基板上のコネクタを
全て引き抜きます。
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コネクタ横にピンの機能が印字されています。
サービスマニュアルなしでは解読できません。
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CDデッキからのフラットケーブルは基板に
開けられたスリットをくぐり抜けています。
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幅の広いフラットケーブルを引き抜き
ます。奥に埃が入り込んでいます。
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本体右側にも基板が垂直に取り付けられています。
2組の特殊なコネクタで接続されています。
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6角ネジスペーサーを緩めます。手前は
上側基板と信号接続用のコネクタです。
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見える範囲のコネクタをひたすら引き抜き、
下側の大型基板がようやく分離してきます。
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基板を動かすとまだ残っているコネクタが
見つかります。電源トランスからの配線です。
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大型の回路基板を取り出します。
本当の修理はここからです。
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上2枚の回路基板が取り除かれ、ようやくCDデッキ部が姿を
現しました。このデッキが「うんともすんとも言わない」わけです。
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デッキ部の取り出しにかかります。その
固定方法を探り当てなければなりません。
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トレイを引き出し、フロント
ベゼルを外しておきます。
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CDトレイが前方に移動すると
下に2本の固定ネジが見えます。
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銅板製筐体に金属部品を介して
固定ポストが取り付けられています。
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ポストに高さがあるので
長ネジが使われています。
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手前側2本の固定ネジは、トレイの引き
出し時に一致する穴を通して緩めます。
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本体内部に余裕がある割には
何とも凝った固定方法です。
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CDデッキ部を取り出します。が、
まだケーブルを引きずっています。
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デッキ裏面を確認します。先ほど上側基板
まで延びていたケーブルです。引き抜きます。
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CDデッキ部を完全に取り出しました。
ここまでの作業に大半の時間が費やされます。
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トレイが出し入れ出来ない原因があっけなく判明します。トレイの切り欠き
から、簡単にローディングベルトを点検できます。経年劣化により伸びた
状態で固化しています。プーリーの周囲で空回りしていたはずです。
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切り欠き部分からベルトを
交換することもできます。
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同等の新品ベルトを
選び掛け替えます。
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CDデッキを元に戻しフロントベゼルを
取り付けて動作を確認します。
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電源を入れCDトレイ開閉
ボタンを押してみます。
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程良い速度で静かにトレイが出てきます。CDデッキ全体の精度が
高いのか、ガタツキもなくCDを大切に出し入れする印象です。
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トレイを閉めてみます。やはり程良い速度で動作し静粛その
ものです。やはり車でいうとトヨタクラウンのテイストです。
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トレイが本来通りに動作しCDがピックアップ位置に正しくローディングされることで、何の
問題もなくCDが再生されるようになりました。ピックアップユニットにはまだ劣化はない
ようです。念のため丁寧にレンズクリーニングを施し、再び厚木まで納品に出かけます。
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