懐かしい平成初期のビデオカメラがやって来ました。当時、向かうところ敵無しの
SONYが、矢継ぎ早に投入し続けたハンディカムシリーズの1台です。Hi8規格の
テープが登場し、映像画質が目に見えて向上して行った頃を思い出します。
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![](CCD-TRV80/190705-173024.jpg)
そうは言いましても、まだアナログ信号を磁気テープに記録する方式です。
極薄のテープを駆動し小型の回転ヘッドが信号を記録するには、恐ろしく
細密で複雑なメカニズムを伴います。修理にはそれなりの覚悟が必要です。
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![](CCD-TRV80/190705-173045.jpg)
型番はCCD-TRV80、ヤフオク、メルカリ、ジモティ
あたりでしか中古品も入手できなくなっています。
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![](CCD-TRV80/TRV80.JPG)
CCD-TRV80PKの取扱説明書が
SONYのWEBサイトに残っています。
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![](CCD-TRV80/190705-173236.jpg)
再生・録画とも出来なくなっている
そうです。まず録再ヘッドを疑います。
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![](CCD-TRV80/190705-173309.jpg)
テープ収納部のカバー取り付けネジを緩め
ます。が、1本が錆びて固着しています。
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![](CCD-TRV80/190705-174159.jpg)
潤滑剤を差し、溝を舐めないように
ドライバーを交換しながら緩めます。
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![](CCD-TRV80/190705-174237.jpg)
SONYハンディカムの精密
世界に足を踏み入れます。
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![](CCD-TRV80/190705-174255.jpg)
アナログ式ビデオのHi8は、それまでのビデオデッキ(VHS・Beta)と基本は
変わりませんが、一挙にヘッドを含めたテープ駆動機構の小型化が図られました。
超小型の回転ヘッドは、円周面に3個の録再ヘッド(ギャップ)を装備しています。
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![](CCD-TRV80/190705-174502.jpg)
ギャップ部は円周表面から僅かに凹んでいるため、
クリーニングテープでは汚れを除去し切れません。
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![](CCD-TRV80/190705-174716.jpg)
アルコールを染み込ませた綿棒で
ギャップ部を繰り返し掃除します。
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![](CCD-TRV80/190705-174723.jpg)
カバーが外れたままテープをセットしてます。
精巧なリンク動作により引き込まれて行きます。
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![](CCD-TRV80/190705-174742.jpg)
本体上部の再生ボタンを操作します。
付属リモコンによる操作も可能です。
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![](CCD-TRV80/190705-174641.jpg)
あっさり映像が出て来ました。ヘッドギャップの汚れによる映像再生不良です。
あまり頻繁にヘッドクリーニングをなさってこなかったのか、もしそうだとすれば
逆にヘッドの摩耗はさほど進んでいない可能性があり、まだ利用可能です。
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![](CCD-TRV80/190705-174851.jpg)
もう一つの不具合は、カメラ撮影時に電源が入りません。
おそらくスイッチの機械的な故障かと思いますが・・。
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![](CCD-TRV80/190705-174936.jpg)
電源切り替えスイッチは撮影レンズ部カバーの
外側にあり、カバーを分解しなければなりません。
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![](CCD-TRV80/190705-175047.jpg)
精密ドライバーを使い、本体カバーを
固定している小ネジを緩めて行きます。
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![](CCD-TRV80/190705-175122.jpg)
バッテリー装着部の内側にも
数本の固定ネジがあります。
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![](CCD-TRV80/190705-175003.jpg)
撮影レンズ部カバーを固定
している小ネジを緩めます。
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![](CCD-TRV80/190705-175336.jpg)
ビデオ信号入出力端子の
樹脂製カバーを外しておきます。
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![](CCD-TRV80/190705-175515.jpg)
先に撮影レンズ部上側の
化粧カバーが外れてきます。
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![](CCD-TRV80/190705-175525.jpg)
化粧カバーが外れた内側に
さらに固定ネジがあります。
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![](CCD-TRV80/190705-175606.jpg)
バッテリー装着部の脇に
もう1本小ネジがあります。
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![](CCD-TRV80/190705-175641.jpg)
これでようやく本体が
左右に分離します。
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![](CCD-TRV80/190705-175730.jpg)
本体左側半分にLCDディスプレイとファインダースコープ。撮影レンズ、テープ収納部、
テープ駆動部、信号処理基板、バッテリー部など主要な機能が右半分に組み込まれ
ています。左右はフラットケーブル1枚と数本のビニルコード束で接続されています。
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![](CCD-TRV80/190705-175806.jpg)
CCD-TRV80PKの発売が2000年3月、末尾にPKの付かないCCD-TRV80は
前年1999年の発売ではないかと思います。家電品の中で20年前に既に到達していた
この細密な実装技術に驚きます。メイン基板右上は信号処理用のカスタムLSIでしょう。
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![](CCD-TRV80/190705-175831.jpg)
最後に撮影レンズ部を覆うカバーを外さないと
電源切り替えスイッチにアクセス出来ません。
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![](CCD-TRV80/190705-175850.jpg)
ようやくカバーが外れました。電源切り替え
スイッチはこのカバーの内側にあるはずです。
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![](CCD-TRV80/190705-175923.jpg)
カバーの内側にも小型基板が取り付けられています。
基板の縁2か所に実装用リミットスイッチがあります。
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![](CCD-TRV80/190705-175950.jpg)
電源スイッチをスライドさせるとレンズ部内側にある
リングが回転し、突起がリミットスイッチをONにします。
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![](CCD-TRV80/190705-180001.jpg)
電源スイッチをビデオ撮影
(カメラ)側に切り替えてみます。
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![](CCD-TRV80/190705-180012.jpg)
リングが回転し突起がカメラ側の
スイッチに当たり押し込みます。
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![](CCD-TRV80/190705-180505.jpg)
正常であればこれで電源が
入らなければなりません。
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![](CCD-TRV80/190705-180617.jpg)
ドライバーの先でスイッチを
もう少し押し込んでみると・・
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![](CCD-TRV80/190705-180628.jpg)
・・電源が入ります。接点の接触劣化によるスイッチの動作不良、
リング突起によるスイッチの押し込み量不足が考えられます。
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![](CCD-TRV80/190705-180757.jpg)
接点の接触劣化を改善する
ため潤滑剤を入れてみます。
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![](CCD-TRV80/190705-180837.jpg)
直接吹きかけると内部を汚すので
ピンセットの先に取り隙間に入れます。
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![](CCD-TRV80/190705-181227.jpg)
スイッチの押し込み量不足も改善を図ります。
瞬間接着剤をピンの先に少量取り分け、
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![](CCD-TRV80/190705-181212.jpg)
リング突起の頂上部に盛り付けます。
突起の高さ=押し込み量を増やします。
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![](CCD-TRV80/190705-181405.jpg)
硬化促進剤を吹き付けます。瞬間接着剤が
必要のない部分に流れると面倒です。
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![](CCD-TRV80/190705-181306.jpg)
機械的にスイッチを押し込んでいるので
長年の間に摩耗が生じたのかも知れません。
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![](CCD-TRV80/190705-181516.jpg)
スイッチの修復を終えた時点で
本体はここまでバラバラです。
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![](CCD-TRV80/190705-181725.jpg)
分解作業時以上に注意を払い、
慎重に組み立てて行きます。
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![](CCD-TRV80/190705-183046.jpg)
バラバラの段階で一度動作確認済みですが、組み立てを終えてあらためて念入りに確認
します。電源切り替えスイッチのみならず再生・撮影に関する基本機能を一通り確認します。
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![](CCD-TRV80/190705-183057.jpg)
ディスプレイパネル部外側の液晶表示も正常です。強いて言えば、付属の
リチウムイオンバッテリーが既に寿命で、充電しても復活しません。最後に、
レンズ表面がひどく汚れているのでクリーニングを施して作業を終了します。
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