休業中に届いていた修理品の第2弾、家庭用のヘアドライヤーです。
ご依頼をいただく修理品のほとんどは、メーカーに問い合わせたけれど、
「既に生産を終了しており修理対応できない」と言われたものばかりです。
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コンセントに電源コードを接続し、スイッチを
入れてみます。動作する気配もありません。
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家庭用にしては珍しく、電源コードが
コネクタによる着脱式になっています。
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差し込みプラグとコネクタ間でコードの
導通を確認します。問題ありません。
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不具合はヘアドライヤー
内部にあります。分解します。
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グリップ部に2本、フードの下部に1本
固定ネジがあります。緩めます。
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モーターとヒーターによる単純な電熱器具のはず
ですが、内部は意外と複雑に配線されています。
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3段階の風量切り替えに温風・冷風の
切り替えも加わるので、簡単ではありません。
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本体から内部の装置を完全に
取り出して点検します。
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送風部分は手前の送風ファンと
後方の加熱部に分かれます。
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加熱用電熱線の周囲に数本のコードが
配線されていますが、よく見ると・・
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1本が耐熱基板の接続端子から浮いています。端子に接触させた状態で
通電すると、ドライヤーが正常に動作します。不具合の原因はここです。
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ところが、このコードは普通のビニルコードでは
ないようです。硬さや外観が明らかに異なります。
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フードに覆われた状態では作業が
しにくいので、いったん取り外します。
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あらためてコードを確認します。非常に
柔らかい金属線のようで被覆はありません。
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融点の低い鉛合金のようです。
要するに糸半田のようなものです。
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ドライヤー内部の温度が異常に上昇した際、
溶融・断線して電流を遮断する安全装置です。
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間違っても電線で補修してはいけません。厳密には溶融
温度など規格があるでしょうが、太目の糸半田で代用します。
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接続端子の穴に通し、半田ごてを
瞬間的に当てて固定します。
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反対側も同様に作業します。半田ごてを長く
当てると途中で糸半田が切れてしまいます。
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何とか接続できました。糸半田による
低コストの温度ヒューズのようなものです。
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フード部分を元通りに組み付けます。
内部の空中配線が絡まないよう留意します。
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グリップ部分を組み付けます。スイッチと
配線をグリップ内に正確に収めます。
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スイッチの内部接点に接触不良は
ないようです。特に手は入れません。
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ここで電源コードを接続し、動作確認を行います。
温風・冷風とも問題なく吹き出してきます。
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温度ヒューズ代わりに糸半田を流用したことが気がかりですが、融点が200℃前後です
ので、事故につながるような問題とはならないでしょう。このヘアドライヤーには、吹き出し口
側にバイメタルによる温度スイッチも取り付けられており、2重の安全対策が施されています。
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