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ヘアドライヤー糸半田ヒューズ(2019.4.8)


休業中に届いていた修理品の第2弾、家庭用のヘアドライヤーです。
ご依頼をいただく修理品のほとんどは、メーカーに問い合わせたけれど、
「既に生産を終了しており修理対応できない」と言われたものばかりです。

 

コンセントに電源コードを接続し、スイッチを
入れてみます。動作する気配もありません。

 

家庭用にしては珍しく、電源コードが
コネクタによる着脱式になっています。

 

差し込みプラグとコネクタ間でコードの
導通を確認します。問題ありません。

 

不具合はヘアドライヤー
内部にあります。分解します。

 

グリップ部に2本、フードの下部に1本
固定ネジがあります。緩めます。

 

モーターとヒーターによる単純な電熱器具のはず
ですが、内部は意外と複雑に配線されています。

 

3段階の風量切り替えに温風・冷風の
切り替えも加わるので、簡単ではありません。

 

本体から内部の装置を完全に
取り出して点検します。

 

送風部分は手前の送風ファンと
後方の加熱部に分かれます。

 

加熱用電熱線の周囲に数本のコードが
配線されていますが、よく見ると・・

 

1本が耐熱基板の接続端子から浮いています。端子に接触させた状態で
通電すると、ドライヤーが正常に動作します。不具合の原因はここです。

 

ところが、このコードは普通のビニルコードでは
ないようです。硬さや外観が明らかに異なります。

 

フードに覆われた状態では作業が
しにくいので、いったん取り外します。

 

あらためてコードを確認します。非常に
柔らかい金属線のようで被覆はありません。

 

融点の低い鉛合金のようです。
要するに糸半田のようなものです。

 

ドライヤー内部の温度が異常に上昇した際、
溶融・断線して電流を遮断する安全装置です。

 

間違っても電線で補修してはいけません。厳密には溶融
温度など規格があるでしょうが、太目の糸半田で代用します。

 

接続端子の穴に通し、半田ごてを
瞬間的に当てて固定します。

 

反対側も同様に作業します。半田ごてを長く
当てると途中で糸半田が切れてしまいます。

 

何とか接続できました。糸半田による
低コストの温度ヒューズのようなものです。

 

フード部分を元通りに組み付けます。
内部の空中配線が絡まないよう留意します。

 

グリップ部分を組み付けます。スイッチと
配線をグリップ内に正確に収めます。

 

スイッチの内部接点に接触不良は
ないようです。特に手は入れません。

 

ここで電源コードを接続し、動作確認を行います。
温風・冷風とも問題なく吹き出してきます。

 

温度ヒューズ代わりに糸半田を流用したことが気がかりですが、融点が200℃前後です
ので、事故につながるような問題とはならないでしょう。このヘアドライヤーには、吹き出し口
側にバイメタルによる温度スイッチも取り付けられており、2重の安全対策が施されています。

 
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