カートリッジに封入された可燃ガスを熱源とするヘアアイロンです。どこかで聞いた
ことがありますが、初めて手にしました。製造元のBRAUN社には部品がないことを
理由に修理を断られたそうです。ダメモトを了解いただいた上で修理に挑みます。
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電気ではなく可燃ガスが熱源とは
少々恐ろしい雰囲気がします。
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コーム部キャップ、ガスカート
リッジカバーを外します。
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本体グリップ内にガス
カートリッジを装填します。
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カートリッジカバーを元に
戻せば準備完了です。
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「0・1」の刻印があるレバーで
ガスの供給と停止を操作します。
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レバーを「1」にセットし、
燃焼室にガスを供給します。
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隣のスライドレバーを引くと、途中で
「カチッ」と音がして点火されます。
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扱い方はまるで100円ライターです。多少
恐怖感が和らぎました・・が、暖まりません。
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点火されないのか、そもそも
ガスが供給されていないのか・・
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コーム(櫛)部を引き抜くと
そこから先は「分解」です。
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表面に小さな穴が開けられた
パイプがネジで固定されています。
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ネジを緩めパイプを抜きます。
内部は燃焼室のようです。
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パイプ内でライターのようにガスが燃焼し、
穴から高温の燃焼ガスが出てくるようです。
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グリップ部の上面にガスの噴出ノズルが
見えます。いよいよ100円ライターです。
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ノズルの横に点火装置が組み込まれています。
レバーを下げると圧電素子が高圧を発生させます。
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点火装置の反対側から電極を
引き出すための金属部品です。
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ピンク色のレバーはガスを供給・停止します。
内部に開閉機構が組み込まれているようです。
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グリップ上面に見える
部分を分解します。
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どこぞの100円ライターとは様相が異なります。精密に加工された金属
プレートが、小ネジで堅牢に固定されています。精密ドライバーが必要です。
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プレート面に何やら長く伸びる金属棒が取り付け
られています。下端はプレート下に突き出ています。
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ネジを緩めていくとプレートが持ち上がって
きます。バネで押し上げられているようです。
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プレートが外れました。その下にも
何か精密な部品が覗いています。
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プレート下部の構造です。クリップのような部品が、
スプリングで押さえ付けられながらも上下します。
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プレートの下部はダイキャスト製のベース(台座)が支えており、
その中心にガスが吹き出すノズルが組み込まれています。
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ノズルはスプリングを介して真鍮製の
スリーブ内に差し込まれているだけです。
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ガスの供給系統を把握するため、
ダイキャスト製台座も外してみます。
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グリップ部をカートリッジ装填側から見ると
ガスを取り込む細いパイプが出ています。
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台座の下に小さな空間があります。ここに
燃焼前のガスを一時的に貯留するようです。
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ノズルの根元にはゴム製シールが嵌め込まれ、
スプリングによりノズルが上下する構造です。
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ノズルが押し込まれるとゴムシールがスリーブの外に
出て、ノズル周囲を通ってガスが噴出するのでしょう。
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真鍮製スリーブは、気密性の維持やゴムシールとの
摩擦低減のため、台座とは別に作り込まれたようです。
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台座下部の貯留室との気密性を保つため、台座から
突き出た部分にもゴムシールが嵌められています。
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貯留室を覗くと、ガスを取り込むパイプの上端が見え
ます。通路の中心線は僅かにオフセットされています。
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ガスを確実に導くには通路のクリーニングが有効
です。0.45mmのステンレス線を用意します。
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ガスを取り入れる細いパイプから
本体内にステンレス線を通します。
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貯留室内にステンレス線が出て
います。この状態で数往復させます。
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台座のスリーブにもステンレス線を通します。
数往復させて通路壁面の汚れを落とします。
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ノズル下端に加工された小さな穴にも通します。
ノズルの正確な構造は今一つよく分かりません。
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ノズルの先端は、ガスが噴き出すべく穴が開いているわけではありません。
逆にガラス質のような材料で塞がれています。単に想像ですが、ノズルの
中心ではなく、ノズル周囲の壁面を伝ってくるのではないかと思います・・。
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手が入る範囲をひと通りクリーニングしま
した。部品を元通りに組み付けていきます。
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隙間にゴミなどを挟まないよう
注意深くノズルを差し込みます。
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上部プレートを取り付けます。クリップの
ような仕組みは、ノズルの開閉機構です。
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スプリングを押さえ付けながら
固定ネジを締め込みます。
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長く突き出ている金属棒の役割もよく分かりません。
異常な高温に達した際、ノズルを戻すのでしょうか?
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ノズル開閉用、つまりガス供給・
停止用のレバーを取り付けます。
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点火装置を組み込みます。
先に電極板を入れます。
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点火レバーを取り付けます。レバーを操作して
みると、間違いなくスパークが飛んでいます。
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燃焼室となるパイプを取り付けます。
小型のトーチランプのような構造です。
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根元をネジで固定します。以前に修理が試みられ
たのでしょうか、ネジ山が壊れかかっています。
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あらためて動作確認を行います。
グリップ内にカートリッジを装填します。
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100円ライターと同じような燃料でしょうが、
BRAUNの純正カートリッジしか使用できません。
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ノズルを開けます。かすかに「シュー」という
音が聞こえ、ガスが出ていることが分かります。
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点火してみます。パイプの温度が上昇し触っていられなく
なります。放射温度計の表示が100℃を超えています。
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可燃ガスを導いて点火するだけなので、構造は単純そのものです。しかし、ガスを
安定して通過させるには、高精度の部品と組み立てにより導通と密閉性を同時に
達成する必要があります。精度が高いだけに、僅かな汚れやゴミが燃焼を妨げる
ことになるのでしょう。定期的なメンテ(分解+クリーニング)が不可欠のようです。
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