既に何台も修理しているヘアアイロンです。今回は発熱機能には
不具合がないものの、本体外装のクロスが傷み部分的に剥がれて
出しています。守谷工房で何とか修復できないかとのご依頼です。
|
皮革のようなフェルトのような、材質は不明ですが
発熱部の外側を覆うクロスがかなり傷んでいます。
|
全体的に擦り切れかかり、変色も進んでいます。
元のクロスを全て取り除く必要があります。
|
既に接着剤が固化しており、手で剥がせる状態ではあり
ません。カッターナイフを使い削り取るように剥がします。
|
接着力が失われている部分は割と
大きな破片で剥がれてきますが・・、
|
どうしてもクロスの下地が残ります。プラスチック片を
スクレーパー代わりにして、少しずつ削り落とします。
|
クロス片を取り除いても、固着した
接着剤跡がまだ残っています。
|
ウェスに溶剤を含ませ、残った
接着剤を溶かしながら取り除きます。
|
あまり気は進みませんが、手っ取り早さで
アセトンを使います。みるみる落ちていきます。
|
綺麗になりました。本体の左右カバー間に隙間があります。固定ネジが
脱落し組み付けがずれたためです。補修作業の前に調整します。
|
補修用のクロスに何を使用すべきか、見当が付きません。
美観、肌触りに加え、かなりの耐熱性が要求されます。
|
発熱部表面の最高温度は180℃程度です。
入手可能な範囲から、天然皮革を試してみます。
|
天然皮革の耐熱温度は120℃ほど、ぎりぎりでしょうか。
接着剤にはそれ以上の耐熱性能が要求されます。
|
市販接着剤で耐熱性を謳っているのはセメダイン社スーパーX
です。本体とクロスの両方に薄く塗り付け、しばらく放置します。
|
指にべとつかない程度に乾燥させ、一挙に貼り付けます。
強い粘着力を生かし、本体の曲面形状に馴染ませます。
|
周囲にはみ出た部分を、カッター
ナイフと鋏で丁寧に切り取ります。
|
接着剤を完全に固化させるため1昼夜ほど放置します。その後、180℃で10分間
程度の通電テストを行ったところ、特に異常は見られませんでした。本体外装側の
到達温度は、180℃よりもかなり低いようです。ただし、長時間・長期間にわたる
実使用に耐えるかどうかは分かりません。美観・肌触り的には悪くないと思います。
|
ヒンジ部分の化粧キャップが、片側脱落しています。
外装修復のご依頼なので、ここも何とかします。
|
残っている側のキャップ形状を計測し、
CADでデータ化、3Dプリンターに送ります。
|
それらしい(無いよりもマシ程度)
形状のキャップが出力されました。
|
プラサフを吹いて成形痕をある程度
(無いよりもマシ程度)潰します。
|
艶消し黒を吹いてそれなりに
本体色に馴染ませます。
|
取り付けも両面テープで
簡単に接着しただけです。
|
もう一つ気になる点は、手元リモコンに
巻き付けられ劣化したセロハンテープです。
|
使用中に設定が動いてしまうためテープで固定して
いるそうです。取りあえず古いテープを除去します。
|
電源スイッチと温度調整ツマミを
固定するカバーをデザインします。
|
1mm厚のアクリル板から
パーツを切り出します。
|
電源スイッチ、温度調整ツマミとも
設定位置に切り抜きが一致します。
|
先日導入・使用開始したアクリル折り曲げ機です。
両側に飛び出た耳の部分を下方に折り曲げます。
|
内側に若干入り込むよう
やや鋭角に折り曲げます。
|
両側の耳を折り曲げたところで
リモコンに取り付けて確認します。
|
耳の先端近くをさらに内側に折りこみ、カバーが
自分でリモコンを抱きかかえるように調整します。
|
上手く嵌まりました、しかも脱着も
簡単です。保護シートを剥がします。
|
電源スイッチON、温度調整ツマミ180℃に固定するアクリルカバーの完成です。
本体外装のクロスに戻り、皮革による修復が有効か否かは、ご依頼主に実際に
使用してもらって判断をいただくしかありません。後日、耐熱フェルトやスパッタ
シートの市販品を見つけるも、厚みやあまりの価格に折り合いが付きません。
|
|
|