かつての白熱電球は、フィラメントが焼き切れるかガラス球が割れることでその寿命を
終えていました。省電力・長寿命のLED電球ですが、我が家のLEDは既に何度か
切れています。1・2年で切れたのではとても長寿命とは言えませんしいくら省電力
でもその価格に見合いません。切れた電球の修理にダメモト守谷工房が挑戦します。
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一度はメーカーに掛け合い新品に交換して
もらいましたが、数年後にまた切れました。
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完全に切れたわけではなく、照度が低下したり点滅する
こともあります。まずガラス球を外さなければなりません。
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LED電球はガラス球ではなく、キャップ形の
半透明樹脂製部品が使用されています。
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樹脂製なので金切り鋸で切断可能です。
ガラス球と本体の合わせ目に鋸を入れます。
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強固に接着されているため、力を加えて取り外すのは
無理です。合わせ目に沿って切り込みを入れて行きます。
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ガラス球の内部構造が分からないので
破損しないよう慎重に切り込んで行きます。
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全周に切り込みが入り
ガラス球が分離してきます。
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ガラス球が外れると、内部はいたって簡単な構造で、
LEDの発光チップが貼り付いているだけです。
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四角形の高輝度LEDチップが8個配置されています。チップが取り付けられている
ベースは、各チップへの配線と放熱を担っているようです。12.15Vとの表記が見られ
ますが、チップ1個あたり1.52VとなりパワーLEDのVFとしてはかなり低いようです。
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ガラス球の次は、取りあえずベースを
固定しているネジを緩めてみます。
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何かが外れてくるような
気配はありません。
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ベースの周囲に所々隙間が確認でき
ます。本体に嵌め込んであるようです。
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ベースの周囲はシリコンゴムの
ような材料でシールされています。
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内部に埃塵を入れない処置のようです。
慎重にカッターナイフを入れて除去します。
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中央部に突き出ている2本のツメは
LEDアレイに電力を供給する端子です。
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吸い取り器を使い
半田を除去します。
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シールが除去された隙間にドライバーの先を
入れ、LEDのベースを強引に引き出します。
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結局、LEDベースと本体の接合は2本の固定
ネジ・シール材・端子半田付けによるものでした。
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先にLEDチップに問題がないか確認します。表面の
塗装膜を少し剥がし、下の配線用銅箔を露出させます。
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最初の1個目のLEDの順方向
導通と逆方向絶縁を調べます。
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2個目と3個目のLED2個分を調べます。
順方向電圧降下分だけ抵抗値が増えます。
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4個目と5個目を調べます。ダイオード1個分の順方向電圧降下を0.5Vとすると、2個分で
1V、3個分で1.5Vです。対して、回路形の内蔵乾電池は1.5Vなので、ダイオード3個以上は
指針が反応せず、同時に確認できるのは2個までです。8個のLEDチップは全て正常です。
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LEDチップに問題がないので、点灯回路に矛先が
向きます。本体は2つのピースに分離します。
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内部に点灯回路が見えます。折角の長寿命LEDなのに、
点灯回路が先に故障するとはバランスの悪い製品です。
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口金に接続されている配線を切り
離します。口金の半田盛りを溶かし、
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吸い取り器で一挙に除去します。
点灯回路に接続される配線が見えます。
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他方の接続も切り離します。
口金横の半田を溶かしたまま、
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点灯回路基板を
強く引き出します。
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ヒューズも含め16点(配線側に7個)からなる点灯回路です。
整流回路と簡単なスイッチング、チョークコイルによる安定化回路を
経て、直流12.15V(負荷接続時)を供給しているようです(多分)。
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配線側の部品配置です。写真右端の
部品が整流用ダイオードブリッジです。
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なかなか荒っぽい回路の様で、
電解コンデンサの劣化が心配です。
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1次側に入れられている
10µFを取り外して調べます。
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測定値9.69µFなので
問題ありません。
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出力最終段の2.2µF電解
コンデンサを調べます。
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測定値2.26µFでこれも
問題ないようです。
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もう1個、IC横の電解
コンデンサを調べます。
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2.2µF、耐圧50Vのケミカルコンデンサです。
小容量なので滅多に故障を見かけません。
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測定値2.07µFでやはり問題なし・・・と思いきや、よく見るとESR値(複素インピー
ダンスの実抵抗成分、要するに内部抵抗)の単位が、いつの間にかkΩ表示に変わって
います。0.15kΩ=150Ω、先の2個が2.5Ωと10Ωですからやけに大きい値です。
さらにVloss(誘電体吸収による電圧損失)が13%(先の2個は0.9%)と異常に大きく
なっています。詳しいことは分かりませんが、電源回路のような厳しい動作条件では
コンデンサ劣化の影響は小さくないはずです。これは交換してみる価値がありそうです。
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同等の電解コンデンサを用意します。
元のコンデンサよりも小型です。
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元の部品位置に取り付けます。回路図を
起こしてみたいところですが面倒なのでパス。
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口金の電極から点灯回路基板への配線を
復旧させます。口金横に穴を開けます。
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口金横からの配線を通すには
少し大きめの穴が必要です。
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穴から本体内部へ
ビニル線を通します。
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配線を引き出し点灯回路
基板に接続します。
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ビニル線の端を口金の外に出したままに
しておきます。抜いてしまうと振り出しです。
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ビニル線を外に引き戻しながら
基板を本体内部に差し込みます。
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上手く入ったように見えますが、ここまで
来るのに10回以上やり直しています。
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なぜなら、ヒューズ側の配線が
口金の穴を通る必要があるからです。
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元取り半田を盛って
配線を固定します。
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口金横に出ているビニル線を
切り詰め、芯線を出しておきます。
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芯線を口金横に
半田付けします。
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2つに分離していた
本体を合体させます。
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回路基板の端が本体正面の
スリットを通る位置に合わせます。
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LEDベースを嵌め込みます。再修理に
備えて周囲のシールは見合わせます。
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2本の固定ネジを締め込みます。
ベースが本体に固定されます。
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回路基板の端とLEDベースの
電源端子を半田付けします。
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ここで動作確認してみます。全8個の
パワーLEDが眩い光を放ちます。
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ガラス球(樹脂製キャップ)を被せ、
周囲数か所を瞬間接着剤で固定します。
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LED電球の修理に成功してしまいました。成功のポイントは、①ガラス球が「ガラス製」
ではないので切断可能、②LEDチップ自体は長寿命、③動作条件の厳しい電源回路は
故障しやすい、④分解さえできれば部品交換は難しくない、あたりでしょうか。家の内外
には毎日夜通しで10年近く点灯している製品もあります。本当にLEDチップが破損しても
秋月電子通商(http://akizukidenshi.com/catalog/c/cpwrled)で何とかなりそうです。
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