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切れたLED電球の修理(2019.7.13)


かつての白熱電球は、フィラメントが焼き切れるかガラス球が割れることでその寿命を
終えていました。省電力・長寿命のLED電球ですが、我が家のLEDは既に何度か
切れています。1・2年で切れたのではとても長寿命とは言えませんしいくら省電力
でもその価格に見合いません。切れた電球の修理にダメモト守谷工房が挑戦します。

 

一度はメーカーに掛け合い新品に交換して
もらいましたが、数年後にまた切れました。

 

完全に切れたわけではなく、照度が低下したり点滅する
こともあります。まずガラス球を外さなければなりません。

 

LED電球はガラス球ではなく、キャップ形の
半透明樹脂製部品が使用されています。

 

樹脂製なので金切り鋸で切断可能です。
ガラス球と本体の合わせ目に鋸を入れます。

 

強固に接着されているため、力を加えて取り外すのは
無理です。合わせ目に沿って切り込みを入れて行きます。

 

ガラス球の内部構造が分からないので
破損しないよう慎重に切り込んで行きます。

 

全周に切り込みが入り
ガラス球が分離してきます。

 

ガラス球が外れると、内部はいたって簡単な構造で、
LEDの発光チップが貼り付いているだけです。

 

四角形の高輝度LEDチップが8個配置されています。チップが取り付けられている
ベースは、各チップへの配線と放熱を担っているようです。12.15Vとの表記が見られ
ますが、チップ1個あたり1.52VとなりパワーLEDのVFとしてはかなり低いようです。

 

ガラス球の次は、取りあえずベースを
固定しているネジを緩めてみます。

 

何かが外れてくるような
気配はありません。

 

ベースの周囲に所々隙間が確認でき
ます。本体に嵌め込んであるようです。

 

ベースの周囲はシリコンゴムの
ような材料でシールされています。

 

内部に埃塵を入れない処置のようです。
慎重にカッターナイフを入れて除去します。

 

中央部に突き出ている2本のツメは
LEDアレイに電力を供給する端子です。

 

吸い取り器を使い
半田を除去します。

 

シールが除去された隙間にドライバーの先を
入れ、LEDのベースを強引に引き出します。

 

結局、LEDベースと本体の接合は2本の固定
ネジ・シール材・端子半田付けによるものでした。

 

先にLEDチップに問題がないか確認します。表面の
塗装膜を少し剥がし、下の配線用銅箔を露出させます。

 

最初の1個目のLEDの順方向
導通と逆方向絶縁を調べます。

 

2個目と3個目のLED2個分を調べます。
順方向電圧降下分だけ抵抗値が増えます。

 

4個目と5個目を調べます。ダイオード1個分の順方向電圧降下を0.5Vとすると、2個分で
1V、3個分で1.5Vです。対して、回路形の内蔵乾電池は1.5Vなので、ダイオード3個以上は
指針が反応せず、同時に確認できるのは2個までです。8個のLEDチップは全て正常です。

 

LEDチップに問題がないので、点灯回路に矛先が
向きます。本体は2つのピースに分離します。

 

内部に点灯回路が見えます。折角の長寿命LEDなのに、
点灯回路が先に故障するとはバランスの悪い製品です。

 

口金に接続されている配線を切り
離します。口金の半田盛りを溶かし、

 

吸い取り器で一挙に除去します。
点灯回路に接続される配線が見えます。

 

他方の接続も切り離します。
口金横の半田を溶かしたまま、

 

点灯回路基板を
強く引き出します。

  

ヒューズも含め16点(配線側に7個)からなる点灯回路です。
整流回路と簡単なスイッチング、チョークコイルによる安定化回路を
経て、直流12.15V(負荷接続時)を供給しているようです(多分)。

 

配線側の部品配置です。写真右端の
部品が整流用ダイオードブリッジです。

 

なかなか荒っぽい回路の様で、
電解コンデンサの劣化が心配です。
 

1次側に入れられている
10µFを取り外して調べます。

 

測定値9.69µFなので
問題ありません。

 

出力最終段の2.2µF電解
コンデンサを調べます。
 

測定値2.26µFでこれも
問題ないようです。

 

もう1個、IC横の電解
コンデンサを調べます。

 

2.2µF、耐圧50Vのケミカルコンデンサです。
小容量なので滅多に故障を見かけません。

 

測定値2.07µFでやはり問題なし・・・と思いきや、よく見るとESR値(複素インピー
ダンスの実抵抗成分、要するに内部抵抗)の単位が、いつの間にかkΩ表示に変わって
います。0.15kΩ=150Ω、先の2個が2.5Ωと10Ωですからやけに大きい値です。
さらにVloss(誘電体吸収による電圧損失)が13%(先の2個は0.9%)と異常に大きく
なっています。詳しいことは分かりませんが、電源回路のような厳しい動作条件では
コンデンサ劣化の影響は小さくないはずです。これは交換してみる価値がありそうです。

 

同等の電解コンデンサを用意します。
元のコンデンサよりも小型です。

 

元の部品位置に取り付けます。回路図を
起こしてみたいところですが面倒なのでパス。

 

口金の電極から点灯回路基板への配線を
復旧させます。口金横に穴を開けます。

 

口金横からの配線を通すには
少し大きめの穴が必要です。

 

穴から本体内部へ
ビニル線を通します。

 

配線を引き出し点灯回路
基板に接続します。

 

ビニル線の端を口金の外に出したままに
しておきます。抜いてしまうと振り出しです。

 

ビニル線を外に引き戻しながら
基板を本体内部に差し込みます。

 

上手く入ったように見えますが、ここまで
来るのに10回以上やり直しています。

 

なぜなら、ヒューズ側の配線が
口金の穴を通る必要があるからです。

 

元取り半田を盛って
配線を固定します。

 

口金横に出ているビニル線を
切り詰め、芯線を出しておきます。

 

芯線を口金横に
半田付けします。

 

2つに分離していた
本体を合体させます。

 

回路基板の端が本体正面の
スリットを通る位置に合わせます。

 

LEDベースを嵌め込みます。再修理に
備えて周囲のシールは見合わせます。

 

2本の固定ネジを締め込みます。
ベースが本体に固定されます。

 

回路基板の端とLEDベースの
電源端子を半田付けします。

 

ここで動作確認してみます。全8個の
パワーLEDが眩い光を放ちます。

 

ガラス球(樹脂製キャップ)を被せ、
周囲数か所を瞬間接着剤で固定します。

 

LED電球の修理に成功してしまいました。成功のポイントは、①ガラス球が「ガラス製」
ではないので切断可能、②LEDチップ自体は長寿命、③動作条件の厳しい電源回路は
故障しやすい、④分解さえできれば部品交換は難しくない、あたりでしょうか。家の内外
には毎日夜通しで10年近く点灯している製品もあります。本当にLEDチップが破損しても
秋月電子通商(http://akizukidenshi.com/catalog/c/cpwrled)で何とかなりそうです。

 
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