御祖父様からいただいたラジオだそうです。ミッキーマウスがデザインされた
愛らしい子供用の製品で、ご依頼主が小さい頃に買ってもらったものでしょう。
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ナショナル(現パナソニック)製R-81、昭和50年代の製品で
オークションではアンティーク品として出品されています。
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予め不具合状況を伺っておりましたが、
乾電池を入れて動作確認を行います。
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ミッキーの両耳に違和感なく
ダイヤルが配置されています。
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右耳は電源スイッチと音量調整です。
電源を入れると、瞬間両目が点灯します。
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間もなく左目の点灯が消えて右目のみ
点灯します。LEDが内蔵されているようです。
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左耳は同調(選局)用ダイヤルです。回してみると所々で
チューニングが合うのか、ミッキーの左目が点灯します。
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伺っていた通りの不具合で、チューニングが
合っても放送の音声が聞こえてきません。
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おそらく音声出力系の問題だろうと思い
ながら、ネジを緩めて裏カバーを外します。
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無駄なく綺麗に部品が詰め込まれ、
内部空間が有効に利用されています。
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分解途中、このラジオにはイヤホン端子が付属している
ことに気づきました。ヘッドホンを差してみると・・、鳴ります。
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これは回路基板の配線パターン側も点検する
必要があります。両耳のダイヤルを抜きます。
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配線パターン側です。当時はまだ片面基板
ですが、SONYのようなこってり感は薄いです。
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イヤホンジャックの裏側部分です。イヤホンに
信号が出ているので、この辺りの接触不良でしょう。
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スピーカーの接続を調べます。
スピーカー自体はまだ元気です。
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イヤホンを差し込んでいない状態では、ジャック内の
接点を通り出力がスピーカーへ接続されるはずです。
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何度か確認するも、接続に問題はありません。
そのはずです、電源を入れるとラジオが鳴ります。
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イヤホンジャック内の接点で接触不良が起こっていたようです。先ほど
ヘッドホンを差し込んだ際に、接触が回復したと考えられます。おそらく
イヤホンをお使いになる機会がなく、接点部分で金属の酸化が進んだ
ことが接触不良に至る原因だと思います。ジャックの中を洗浄します。
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写真にはありませんが、周囲を十分
養生してから洗浄剤を吹き込みます。
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イヤホンのプラグを何度も抜き差しして
接点を擦り合わせ、接触を復活させます。
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音量調整の際に、スピーカーからガリガリと雑音が
出ます。可変抵抗器の接触も回復を図ります。
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洗浄剤を入れた後は、基板上に残って
いる分を高圧エアで吹き飛ばします。
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元通りに組み上げます。ほとんど
修理にはならない簡単な作業でした。
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スピーカーからしっかり音声が聞こえてきます。
やはり一流メーカー品、上質なものづくりが光ります。
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昨今のポ〇モンだかワ〇ピースだか訳の分からないキャラクターと異なり、大人が子供に
対して責任を持って与えることができた、古き良き玩具的製品のひとつです。子供の心や
夢を育むどころか、破壊・暴力・いじめ・殺人の場面が多くを占めるTVアニメのキャラクター、
それらが100円ショップの粗悪な買い捨て商品と結びついて大量に供給・使い捨てされる
現在の社会です。御祖父様の大人の優しさとともに、ラジオを長く大事になさって下さい。
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