
BOSE製PLS-1210の修理記事を初めてアップします。修理自体は
既に数台経験しております。この1台は、前面の液晶表示の不具合
(表示が暗い)修理で工房に届きましたが、実際に作業を始めてみると
あれこれ不具合個所が続出することに。総力戦で修理に挑みます。
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PLS-1210は、唯一チューナーを内蔵
しないCDプレーヤーのみのコンポです。
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PLS-1310、PLS-1410に比べ
背面端子の配置に余裕があります。
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外側カバーを開けます。筐体平面と
ほぼ同じサイズのメイン基板が現れます。
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銅メッキ鋼板をプレスしたシャシーです。
呆れるほど贅沢な材料使いであります。
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最初の問題は、電源が入りません。正確には
電源を入れると5Aのヒューズが飛びます。
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ヒューズを交換しても同じように切れます。
パワーデバイスが破損・短絡しているようです。
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パワートランジスタの表側にも銅板製のカバーが取り
付けられています。放熱用?それとも化粧でしょうか。
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破損しているパワートランジスタを探し出し、
補修用部品に交換しなければなりません。
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メイン基板を取り外したいのですが、
何本ものケーブルが接続されています。
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本体右側面のサブ基板との
接続コネクタを抜きます。
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電源トランスからの接続コネクタを抜きます。電源
回路自体はメイン基板上に組み込まれています。
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前面の表示・操作パネルへの
接続コネクタを抜きます。
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後方の入出力端子基板への
接続コネクタを抜きます。
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スピーカー出力が短絡した際に電源を遮断する
ための信号線です。リレー基板に接続されます。
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ボリューム基板への接続コネクタです。アッテネータを
自動調整するための制御信号線が含まれます。
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コネクタを破損しないよう全てのケーブルを
慎重に引き抜き、メイン基板を取り外します。
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メイン基板の表側(部品側)です。実装状態では表裏が逆に取り付けられるので、
部品取り付け側で気流が滞る可能性があります。放熱条件が非常に悪く、電子
部品の経年劣化が早く進みそうです。実際、基板が部分的に変色しています。
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ほとんど黒変してしまったプリアンプの
ブロックです。各部品は大丈夫なのでしょうか。
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中央のAN7062は2チャンネルの高耐圧入力増幅回路
ICです。電源の定格は+74V、-16Vにも及びます。
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破損しているのは電流増幅段(パワーアンプ)の片チャンネル。
コンプリを成すC3180とA1263がCE間で短絡しています。
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国内に在庫は皆無です。海外から調達した
ところ10組ものセットが届きました。
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何らかの原因でスピーカー出力が短絡し、運悪くプロテクションが機能しなかった
ようです。ここまで作業したところで、ドライブ内に残されていたCDを取り除きます。
ローディング機構の故障により取り出せなくなっていたものです。修理を続けます。
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CDドライブを取り外します。PLS-1210・1310・
1410、それぞれ取り付け方法が少しずつ異なります。
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前方右側のシャシー面に
固定ネジがあります。
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反対側左側のシャシー面にも
固定ネジがあります。
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実際にはCDドライブを覆う金属製カバーの一部が
固定されています。柄の長いドライバーで緩めます。
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ドライブ後方の中央に、ドライブ本体を貫通
する構造で固定ネジがもう1本あります。
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この段階でもドライブを引き出せるですが、
右隣に残る放熱器が何かと邪魔します。
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手間ではありますが、点検も兼ねて放熱器を
取り外します。底部のネジを緩めます。
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金属板をプレスしただけの
意外と簡素な放熱器です。
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内部にCDが残されて取り出せないくらいですから、明らかにドライブの機構に
不具合があります。おそらくピックアップも劣化が進み、交換が必要でしょう。
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ローディングトレイを引き出します。
ゴロゴロ音をたてながらスライドしてきます。
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トレイを駆動するギヤセットとプーリです。
左側のモーターと連動しません。
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プーリを連結するゴムベルトが伸び切り、かつ固化して
回転が伝達されません。新しいものに交換します。
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ゴロゴロ音の原因は、クラックの入った駆動ギヤです。
経年により樹脂材料が収縮することで破断します。
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同規格のギヤが入手できれば良いのですが、
簡易的に修復します。シャフトの穴を僅かに広げます。
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接着剤を入れてクラック部分を
圧着すると隙間がなくなります。
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ピックアップの交換作業は、以前にもアップしているので省略します。パワートランジスタ
交換、ローディングベルト交換、ローディングギヤ修復、ピックアップ交換・・と作業を進めて
きて、最後に全体を組み上げ動作を確認してみると、何と液晶に「Err」と表示され操作を
一切受け付けません。確かオークション等で見かけるジャンク品に、この「Err」をジャンク
扱いの理由にしているものがあります。全く動作しないのですから止むを得ないところです。
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あれやこれや試行錯誤に突入します。しかし、
「修理以前には出ていなかった」とすると・・
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試行錯誤で数週間が過ぎた後、まさかと
思うような原因が突然分かりました。
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背面パネルのスピーカー端子を固定するネジを取り付けていませんでした。ネジを
締め込むと「Err」が消えて完璧に動作します。スピーカー端子自体ではなく、端子
取り付け基板のアースがシャシーに接続されているか否かの違いです。何を検知
してプロセッサが「Err」を表示するのか、見当も付きません。オークション出品にも
ネジがない・・とは思いませんが、ネジの締め込み不足などがあるかも知れません。
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