固定回線用電話機に留守録機能が付いています。マイクロカセット・・新しく登場した
デバイス名ではありません。その昔、超小型に設計された磁気記録テープに音声を
録音する方式です。音質的にオーディオ用には不向きで、会議録音用レコーダー等に
よく使われていました。この電話機の留守録もマイクロカセットで・・、故障しています。
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電話機上部のカバーを開くと、内部にマイクロカセットのユニットが
組み込まれており、テープをセットするホルダー部が見えています。
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底面のネジ固定を緩め、本体上側カバーを外します。
プッシュボタンとスピーカーが取り付けられています。
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2か所のツメを解除すると、簡単に
プッシュボタン部が外れてきます。
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プッシュボタンに対応するスイッチボードです。耐久性を
持たせるため、金属接点がシールで密閉されています。
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スイッチボードはコネクタにより
底面の回路基板に接続されています。
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スピーカーコードの接続
コネクタを抜きます。
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ブッシュボタンとスピーカーを載せる
マウントプレートを取り外します。
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マウントプレートが外れると、ようやくマイクロカセットのユニットに手が届きます。
不具合は、写真のようにピンチローラーがキャプスタン軸に接触した状態で停止し、
一切の操作ができないことです。そもそもテープをセットすることができません。
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ユニットを取り出します。
ネジ2本で固定されています。
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マイクロカセットのユニットとしては
大きい方でしょう。修理しやすそうです。
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裏側の基板プリント配線面からも点検します。
キャプスタン軸の駆動プーリーが見えます。
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側面からモーターの駆動プーリーを点検します。
何か黒い塊のようなものがまとわりついています。
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駆動用のゴムベルトはどこへ・・? この塊こそゴムベルトのなれの果て、
またもや経年によるゴムの変質です。ドロドロに溶けながら、回転し続ける
モーター軸に綿飴機のようにまとわりついた結果です。ベルトの破片が
見当たらないことから、ゴムベルトの大部分がこの塊と化したようです。
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先日のパイオニア製カセットデッキと同じ不具合です。
プーリーに手を入れるため、一時基板を外します。
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キャプスタン軸の大プーリーです。
周囲の溝部分が黒光りしています。
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よく見ると、溶けたゴムが
溝に入り込んでいます。
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カーボンを含んでいるので始末が大変です。ティッシュを
ちぎってアルコールを含ませ、ひたすら拭き取ります。
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モーター軸のプーリーも清掃したところで
交換用の新しいゴムベルトを選びます。
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汎用のゴムベルトで十分間に合います。
ベルトの張り(長さ)もほどほどに合わせます。
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基板を元に戻します。新しいゴムベルトが
モーターとキャプスタンを連結しています。
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モーター軸を手で回すと、ピンチローラー
(ヘッドベース)の位置が元に戻ります。
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ユニットを元の位置に戻します。2か所の
ソケットで基板と接続が完了します。
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念のため液晶表示器との接続ケーブルも外しておき
ました。金属箔を傷めないよう慎重に差し込みます。
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電源を接続してみると、マイクロカセットユニットのモーターが通電し、駆動メカが
リセットされて初期位置に戻ります。ゴムベルトが機能して、モーターの動力が
各部に伝達されています。テープが添えられていなかったことと、工房には固定
電話回線がないため、残念ながら実際に留守録機能を確認できていません。
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