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老朽化した雨樋の交換(2019.6.3)


昨年の内にご相談があり、下準備をしながらご用命をお待ちしておりました。
施設を囲むデッキに設置された廂(ひさし)に雨樋が取り付けられています。
その縦樋が劣化しているので補修して欲しいとのことです。部材を交換します。

 

北西方向から南東方向に
伸びる駐車場側のデッキです。

 

9本ある支柱のうち7本に
縦樋が取り付けられています。

 

北東から南西に伸びる道路側のデッキ
です。支柱8本のうち7本に縦樋があります。

 

樋が受けた雨水をオフセット位置の縦樋に
導くため、蛇腹呼樋が使われています。

 

この蛇腹呼樋から雨水が垂れてくるそうです。経年劣化により材料が
変質し、近くから見ると蛇腹が所々割れています。ビニルテープで
修復されたものもあります。新しいものに交換するしかありません。

 

蛇腹呼樋と縦樋(42mm丸)の連結部です。
蛇腹を固定するキャップが白化し始めています。

 

縦樋にも材質の劣化が見られますが
割れが生ずるほどではありません。

 

支柱に縦樋を固定するサドルが
何か所か破損・紛失しています。

 

縦樋最下部はエルボを介して横方向に雨水を
排出します。出口部分も横を向いています。

 

縦樋周りの部材を全て交換することにします。42mm丸縦樋(2000mm長)、
42mm蛇腹呼樋、42mm丸アタッチメント、42mm丸サドル・バンド受けセット、
42mm90度エルボなどを必要数分、さらに塩ビ用接着剤などを調達します。

 

縦樋の長さは1800mm強ですが、下部で
横方向に導くため120mm程度延長します。

 

2000mm長の縦樋を切断し
余りを延長分に利用します。

 

ネット通販の製品は格安ですが1800mm長なので、
ホームセンター扱いの2000mm長を使用します。

 

横方向に向きを変えるため
42mm90度エルボを使います。

 

縦樋の端(外周部)に塩ビ用
接着剤を塗り付けます。
 

縦樋を受ける方にはメス側を使用
します。内周部に接着剤を塗ります。

 

塩ビ用接着剤は意外と速乾性で、2・3分で
動かなくなります。手早く位置を決めます。

 

6本(駐車場側)+7本(道路側)=13本の
縦樋に、90度エルボを接着しました。

 

エルボの先に横方向の
延長部を取り付けます。

 

丸樋側は内周部に
接着剤を塗ります。

 

エルボはオス側を使用するので
外周部に接着剤を塗ります。

 

縦樋の切断とエルボ・延長部の取り付け
まで、事前に工房で済ませておきます。

 

交換作業の当日です。工房テクニカルパートナーの方2名の協力を得て作業を
進めます。工房で縦樋の加工を終えているので、新旧を交換するだけの作業です。

 

最初に元の部材を全て撤去します。傷みの
少ない材料も、再利用は考えません。

 

丸アタッチメントの固定ネジが錆で固着しています。
上向き垂直方向なのでドライバーの扱いが大変です。

 

古いアタッチメントを外し、代わりに
新しいアタッチメントを取り付けます。

 

蛇腹呼樋のジョイント部はアタッチメントに
合わせてあり、嵌め込むだけでロックします。

 

並行して、支柱の古いサドルを取り
去り、新しいものをネジ固定します。

 

蛇腹呼樋はフリーサイズで長さに余裕が
あります。縦樋キャップを上に移動させます。

 

縦樋に蛇腹を通します。蛇腹の余分は
切り詰めず、縦樋に入れたままにします。

 

縦樋キャップを下げて縦樋に嵌め込みます。
かなりきつく嵌まるので接着剤は使用しません。

 

縦樋の取り付け位置を確認します。
エルボが床面から僅かに浮くようにします。

 

縦樋にバンドを掛け、支柱の
サドルに押し込みます。

 

押し込むだけで「カチッ」と音が
してしっかり固定されます。

 

サドルは支柱1本に3個取り付けられています。
上段・中断・下段にバンドを掛けていきます。

  

3本のバンドで十分強く固定されます。
縦樋を上下方向に動かすことも出来ません。

 

蛇腹呼樋の収まりを
再度確認・調整します。

 

取り付け作業は「嵌め込む」だけ
なので一挙に作業が進みます。

 

横方向延長部の出口は、エルボをもう1個追加し
垂直方向に雨水が排出されるようにしました。

 

出口部エルボは、延長部の長さに変更が生ずる可能性が
あったため、現場で接着・取り付けることにしました。

 

テクニカルパートナーの方が分業体制で能率良く
作業を進めた結果、計画の半分の時間で完了です。

 

新品の部材に交換され、
光沢を放ち見栄えがします。

 

延長部出口が下方を向いているので、豪雨時に
道路方向に雨水が吹き出る心配がありません。

 

交換する部品が全て、元の部材と同等規格の製品なので、現場で部材同士の
接合按配や寸法調整など一切必要ありませんでした。工業規格品の有難さを
実感させられる作業になりました。ネットショップを利用することで部材を安く
調達すれば、3名分の作業料と若干の利益を載せても格安で受注できます。

 
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