シャッターの修理を頼まれました。雨戸代わりに使用される防犯性の高い
住宅用シャッターです。開閉がしにくいそうで、もし巻き上げ機構の分解
整備になると大仕事になります。もちろんシャッターの修理など初めてです。
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現場に到着するとテクニカルパートナーの
S氏が既に作業を開始しています。
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室外からシャッターの開閉を確認します。20年近く
使用されてなかったそうで、上下動が重くなっています。
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それでも力を入れれば何とか開閉できます。
問題は別にありました。シャッターを閉じます。
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シャッターが閉じていったんロックがかかると、どのように
操作しても開けられなくなります・・力づくで開けます。
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シャッター下辺の左右に、ブロック状の部品が取り
付けられています。この中にロック機構があるようです。
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外してみます。ブロック内部に突き
出るように金属製のツメがあります。
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ロック解除用の操作部は、シャッター下辺の中央にあるこの細長いツマミだけです。
左にスライドさせると「解錠」、右にスライドさせると「施錠」と印字されています。左右の
どちらにスライドさせても、手前に引いてみても、何をしてもロックが解除されません。
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左右ともブロックの内側にシャフトが出ています。ツマミの
左右スライドと連動しそうですが、実際には動きません。
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左側に見えるシャッターレールの中に、ロック機構が
隠れているはずです。取りあえず潤滑剤を吹いてみます。
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潤滑では状況は改善しません。ブロック内に
突き出ているツメを確認します。左右に動きます。
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ツメのスライドにより、ロックと
解除が切り替わるのでしょうか。
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そのようなはずはありません。ブロックを固定するネジに
より、ツメも固定されます。1か所でネジ穴が一致します。
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ブロック部品の内側を確認します。金属板が貼り付け
られており、その一部がバネの役を果たしています。
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試行錯誤の末、仕組みの解明に辿り着きました。シャッター
下辺にフラップ状の部品があり、丁番により回転します。
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フラップを手前に引き上げると、左右に延びたシャフトが
ツメを少し回転させます。ツメの回転がロックを解除します。
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側面から動作を説明します。ロック状態でフラップが下がって
います。フラップが起きないようバネがシャフトを押さえています。
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バネに逆らいながらフラップを手前に持ち上げると
ツメの角度が僅かに変化してロックを解除します。
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仕組みが分かったところで再度ブロック内を確認してみます。シャフトを押さえ付ける
バネを押し込むと、元に戻ってきません。ブロックの内壁にバネが引っ掛かって
いるからです。よく見ると、ブロックに対して金属板が僅かに傾いています。その結果、
ツメが収まる溝内に金属板の一部が出ており、明らかにツメの出入りを妨げています。
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金属板の貼り付け位置を色々修正してみるも、
改善に至りません。金属板を取り去ることにします。
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シャフトはバネで押さえ付けられなくなりますが、
フラップは勝手に回転するほど動作が軽くありません。
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シャッターを閉めると自動的にロックがかかり
ます。フラップに手をかけ手前に引き上げると・・
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簡単にロックが解除され、
シャッターが開きます。
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屋外天袋内に組み込まれているシャッター巻き
上げ機構は、今回は修理する必要はなさそうです。
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左右のシャッターレール内に、
オイルを吹き付けておきます。
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シャッターの開閉がかなり軽くなりました。「開閉のたびに腰が痛くなる」とご依頼主が
おっしゃっていました。冬季の夜間はシャッターによる断熱効果もある程度期待できます。
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