高齢者施設内食堂ホールの大きな掃き出し窓に取り付けられている縦型ブラインド
です。スマートなデザインで見栄えがよろしいのですが、常に円滑な動作を保つには
定期的な保守点検が不可欠です。また、補修用部品の入手が簡単ではありません。
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状態を点検してみます。チルトコードを操作してルーバーを回転させると、ルーバーにより
回転状態がばらばらです。最後の1枚が開き切る、あるいは閉じ切るまで何度もコードを
操作しなければなりません。チルトロッドがランナーを正確に回転させていないようです。
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次に、開閉コードを操作してルーバーを中央から左右に収納し、再び中央に寄せて
みます。数か所でルーバーが取り残され、外光を遮蔽できない部分があります。
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注意しながらチルトコードや開閉コードを操作すると
所々でコードが引っ掛かり重くなる部分があります。
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チルトロッド、開閉ロッドともに、金属表面の
汚れや腐食、潤滑油切れがあるようです。
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ヘッドレールを外さないと点検も修理も
出来ないので、天井高から床に下ろします。
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片側だけで20枚近くあるルーバーを全て取り外しました。
今回はパートナーの方に作業の補助をお願いしています。
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ルーバーの先端には、このような
金属製フックが取り付けられています。
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フックはランナーから出ている金属製ハンガーに吊り下げ
られます。ハンガーはチルト機構により約180度回転します。
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ネジ固定されているヘッドレールを取り外し、床面に下しました。
ランナーが取り残される原因を、この状態で調べます。
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隣り合ったランナー間を連結しているのは、この樹脂製の部品です。
スペーサーリンクと呼ばれています。取り残される原因が間もなく判明
しました。スペーサーリンクが外れ、後続のランナーを牽引していません。
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ヘッドレール内には2本のロッドが組み込まれて
おり、1本はルーバーを回転させるチルトロッド、
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もう1本はランナーを移動させるスクリューロッド
です。ヘッドレールから引き出す必要があります。
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ロッドは2本ともサイドカバーを突き出たところで、
内歯型歯付きワッシャーで固定されています。
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歯付きワッシャを引き抜き、
サイドカバーを外します。
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スクリューロッドはブラインドの左右でネジ切り方向が
異なるため、中央で2本が突き合わされています。
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アルミ製スリーブで連結され、周3か所で
6角止めネジにより強く固定されています。
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ランナーとともにロッドを引き出し、スペーサー
リンクが外れている部分を探し出します。
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手前のランナーに固定され、後続する次の
ランナーを一定間隔で牽引する仕組みです。
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被牽引側のランナーでは、スペーサーリンクはツメの間をすり抜けることが出来ます。
スペーサーリンク端のストッパーがツメに掛かると、一定間隔で牽引されて行きます。
スペーサーリンクに捻れた痕のような傷があるのは、かなり強い力が加わった結果と
見られます。ストッパーは強引にツメをすり抜けて外れたようです。強い力の原因は、
ロッド表面の酸化(腐食)が進んだことで摩擦が増大し、無理に開閉しようとしたため
でしょう。スペーサーリンクを元の位置に戻し、ロッド全体に潤滑剤を吹き付けます。
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スペーサーリンクの修理を終え、ランナー・ロッドをヘッドレール
内に戻します。最後尾ランナーが移動しないよう固定します。
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2か所のブラインドの一方では、片側の
サイドカバーが脱落・紛失しています。
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補修部品の入手は困難なので、
ビニルテープを当てて処置します。
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ヘッドレールを元の位置(天井高)に戻し、
外しておいたルーバーを1枚ずつ取り付けます。
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試しに開閉してみます。ロッド表面の潤滑が
回復し、実にスムーズです。滑るように開閉します。
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縦型ブラインドの欠点として、ルーバーの裾を連結するボトム
コードが簡単に切れます。パートナーの方に交換してもらいます。
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ボトムコードは床面近くに取り付けられているので、近付いた際に足で
踏みつけがちです。ボトムコードが略されたタイプも市販されていますが、
やはり取り付けられていた方が裾が安定し、開閉動作もスムーズです。
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外観や操作性に優れた縦型ブラインドですが、水平型ブラインドに比べると製品価格、
設置費用ともに高価です。また、ひとたび不具合が生じると修理費用や補修部品も
高くつくようです。天井高での作業は危険も伴います。ロッドの潤滑が保たれていれば
不具合を大幅に低減できるので、定期的に潤滑剤を吹き付けることをお勧めします。
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