守谷工房のリペア4へ                守谷工房Topへ

セラミックヒーター遠回りの修理(2020.3.21)

 
お得意様のコーヒー焙煎店からのご依頼です。この時季、冷え込む店舗内で
暖を取るためのセラミックヒーターが故障しています。スイッチが入らないそう
です。営業に支障があるといけませんので、持ち帰り大急ぎで修理します。
 

YAMAZEN(山善)は産業用ロボットや工作機械で
有名です。住宅設備や家電事業部も併せ持つ企業です。

 

DSF-VL083は人感センサー付きの800Wセラミックファン
ヒーター、2017年製はさほど古い製品ではありません。

 

Amazon、ビックカメラ、ヨドバシなど
一連のショップで既に販売を終えています。

 

コードを接続しスイッチを押してみますが確かに電源が
入りません。基板上のタクトスイッチの劣化でしょうか。

 

それにしても全体的にひどい汚れ方です。
背面の空気フィルターもこの状態です。

 

フィルターがほぼ目詰まりしているせいでしょうか、
カバーを外すと内部にまで埃が入り込んでいます。

 

修理を始める前に大方の
埃を吸取っておきます。

 

背面側の本体カバーを開けなければなり
ません。周囲にネジ穴が並んでいます。

 

10本ほどの固定ネジを全て緩めます。先日
購入した小型の電動ドライバーが便利です。

 

背面側ではなく前面の白色
樹脂製カバーが外れてきます。

 

中央部に大型の遠心ファンが内蔵されています。空気フィルターを介して背面から吸い
込んだ空気がダクトに導かれ、ヒーターユニットのある本体下部方向に吹き出します。

 

電源が入らない原因を順に調べて行きます。
最初にヒーター真上のサーモスイッチです。

 

サーモスイッチ(バイメタル)の故障も少なくありません。
回路計を当てると常温の状態で導通があります。

 

次にヒーター(電熱線)の導通を調べます。
 100オームほどの抵抗があり正常です。
 

本体上部の制御回路に移ります。この奥にある
タクトスイッチの劣化が原因だと思うのですが・・

 

手前のドーム状部品は、人感センサーが内蔵されています。
LEDのように見えるので取説に「点灯しません」とあります。

 

簡単なセラミックヒーターですが、なかなか
高度に実装された電子制御回路を備えます。

 

制御回路基板とヒーターの接続を調べるため
温風吹き出し口のカバーを取り外します。

 

背面側の固定ネジを緩めてあるので、
嵌め込みを強く引き離すだけです。

 

吹き出し口カバー(グリル)ではなくその下の
化粧カバーが外れ、内部に配線が見えます。

 

念のため、電源コードの差し込みプラグと内部引き
込み線間の接続も調べます。片側は導通があります。

 

あらま・・、他方の端子に導通がありません。
配線のどこかに断線があるようです。

 

引き込み線を辿るも、特に断線などありません。
まさか、もしかすると、差し込みプラグに問題が・・?

 

間抜けなトラブルシューティングを進めてしまったようです。差し込みプラグを手に取り良く
観察すると、コードの根元に僅かに膨らみがあります。内部断線の可能性があります。
そうだとすると、ここまでの分解作業は何だったのでしょうか。本当に基本が大事です。

 

差し込みプラグを切り離し、あらためて導通を
確認します。やはり片側が切れています。

 

市販の交換用差し込みプラグを用意します。
元のプラグと同等の125V・15A仕様です。

 

本製品は電熱器具なので、電源コードの接続は
特に安全・確実に行わなければなりません。

 

接続には圧着端子を使用します。
作業手順はこちらが参考になります。

 

工房の圧着工具はシングルアクションなので
とにかく目一杯力を入れて端子を潰します。

 

根元に保護チューブを入れたいところですが
差し込みプラグに収まらなくなるので止めます。

 

差し込みプラグ内に丁寧に収め
ネジを確実に締め込みます。

 

カバーを元に戻して
プラグの交換完了です。

 

あっさりと直ってしまいました、各機能とも問題なく動作します。
随分と遠回りをしたものです、最初からプラグを調べていれば・・

 

遠心ファンが快調に回転し
ヒーターから温風が吹き出します。

 

あっけなく修理が完了してしまったので、
内外のクリーニングに時間をかけられます。

 

内部に入り込んでいた埃を完全に
取り除き、本体カバーを元に戻します。

 

汚れている電源コードを
洗剤を付けて拭き取ります。

 

前面の樹脂製カバーをクリーニングします。
洗剤と部分的にクレンザーを使用します。

 

背面側のカバーも
汚れを丁寧に落とします。

 

空気フィルターを戻します。こびり
付いていた埃は完全に落ちています。

 

上面の操作パネル部分です。
油のような汚れも付着しています。

 

細い溝に汚れが入り込んでいるので
ブラシと洗剤を使って掻き出します。

 

洗剤が褐色に変色しブラシの毛に汚れが
付いてきます。徹底的に掻き出します。

 

綺麗になりました・・と言うよりも、スッキリした新品のような風合いに
戻りました。購入してまだ3・4年ですから、ほとんど傷がありません。

 

前面カバーにもほとんど傷が無いので、汚れを落としてみるとやはり新品に近い風合いが
蘇ります。電源が入らない不具合の修理よりも、外観リフレッシュの成果の方が大きい
ような気がします。上部にある目玉のようなものは、どう見ても動作中に点灯しそうですが、
LEDではなく人感センサーです。取扱説明書に「点灯しません」とわざわざ書かれています。

 
守谷工房のリペア4へ                守谷工房Topへ