工作教室に備えられている教卓を修繕します。教室や校舎自体も老朽化して
いますが、この教卓の壊れ方は半端ではありません。元々別の施設から譲り
受けてきたもので、想像するに50年以上経過していると思われます。分厚い
天板に太い角材が組み合わされた堅牢な構造なので、現時点でも骨組みは
何とか保たれています。が、手前の破れた側板が生徒側から丸見えです。
*写真をクリックすると修繕後の写真にジャンプします。
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何故か床面近くに打ち抜かれた
ような穴が並んでいます。
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備品としての耐用年数はとうに過ぎているので新調されても
良いのですが、これだけ頑丈な木製教卓は非常に高価です。
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前面の側板を全て交換することにします。框に
加工された溝に合板が嵌め込まれています。
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力づくで引き剥がしてしまいますが、
製作当時の丁寧な仕事が分かります。
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縦方向の框を介して側板が5枚並び、左右の両袖に引き出し、中央の
3ブロックには棚板が取り付けられています。中央部には補強となりうる
支柱がなく、無垢材の天板に梁としての強度を求める剛健な設計です。
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骨組みを分解しない限り元の溝を再利用する
ことは困難です。別の方法を採用します。
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側板が嵌め込まれていた溝の奥側に
新しい合板を固定する桟を取り付けます。
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内枠に合わせて長さを取ります。全体が
変形しているので現物合わせです。
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合板が固定できれば良いので
ラフな採寸で問題ありません。
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桟を固定する釘を、取り付け
前に打ち付けておきます。
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材料を取り付け場所に当てた状態では、
この細いほぞ釘を打ち付けるのは困難です。
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桟に接着剤を塗ります。接合を
担うのは釘ではなく接着剤です。
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しかし、接着剤は乾燥固化するまでに
時間がかかるので釘を併用します。
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内枠に合わせて桟を
取り付けていきます。
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周囲を囲む桟が新しい
合板を受け止めます。
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5ブロック全てに桟を取り付けました。框の一部で、側板が嵌まり
込んでいた溝が割れて框の外側まで及んでいます。接着剤を入れて
補修し、乾燥固化するまでマスキングテープで仮固定しておきます。
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側板に使用する新しい合板です。明るい
色合いの木目調化粧合板を使用します。
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薄板なのでカッターナイフでカットします。右利き
ですが写真撮影の都合で左手で作業しています。
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先に縦方向の長さを合わせ
木目も縦方向に取ります。
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横方向は枠に当てながら
現物合わせで取ります。
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枠の溝に嵌め込まないので、元の
側板よりもひと回り小さくなります。
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全体が不均一に歪んでいるのでぴったり
には入りませんが、後の化粧で隠れます。
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合板にも先に釘を(途中まで)打ち付けておき
ます。ほぞ釘を4辺に各4本ずつ打ちます。
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合板固定用の桟と同じく、材料を
当ててから釘を入れるのは面倒です。
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合板を切断しているうちに桟を固定している接着剤が
効いてきました。合板を固定する接着剤を入れます。
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内枠全てに接着剤を入れます。桟自体の
接着は釘打ちに耐える強度に達しています。
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合板を当てます。元の溝に落ちない
よう位置を決めなければなりません。
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予め打ち付けてあるほぞ釘の先が出ているので
軽く押し付けておけば位置はずれません。
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釘を打ち込みます。桟を確実に捉えるため
やや外向きに傾けて打つようにします。
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釘の頭が飛び出ないように
最後まで打ち込みます。
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合板5枚分の取り付けを終えました。なんかこう、すっきりして
いい感じです・・、というのも元が酷かったからでしょうか。
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化粧打ちなど要らないのではないかと
思いますが、予定通りに仕事します。
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さらに細い桟を用意します。隅を45度の留めに
加工するためスライドソーを使用します。
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工作教室の備品があることを知っていたので、
工房のスライドソーを持参しませんでした(確信犯)。
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現物合わせとはいえ、化粧打ち
なので正確に長さを取ります。
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仮固定用のほぞ釘を2・3本
打ち付け、接着剤を塗ります。
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化粧打ちなので、釘は途中まで打って
接着剤の乾燥後に抜いてしまいます。
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45度の留め継ぎにしながら
周囲に化粧打ちします。
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接着剤のはみ出しは、乾燥後に
半透明化して目立たなくなります。
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やはり化粧打ちを端折らなくて正解です。合板を打ち付けた隙間が
隠れるばかりでなく、周囲が引き締まり品が違います。接着剤が
ある程度効いてくるのを待って、仮固定のほぞ釘を抜き取ります。
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作業完了です。写真をクリックすると修繕前にジャンプしますので
比べてみて下さい。工作教室の周囲の雰囲気まで違ってきそうな
変わり様です。重量がある教卓を定位置から動かすこともできず、
床面近くの低い姿勢で作業を続けたため、かなり腰にきています。
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