
守谷市で有名なコーヒー豆焙煎・挽き売り店で使われている
業務用のコーヒーグラインダーです。特に不具合はないそう
ですが、クリーニングも含めて点検して欲しいとのことです。
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さすが業務用だけあり、重量があり
全体的に堅牢な構造をしています。
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コーヒー豆を貯留するホッパー部です。
蓋を上に開けて豆を投入します。
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コーヒー豆が粉砕され、コーヒー粉として手前に
取り出されます。クリップで袋を固定します。
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本体最下部のダイヤルを回すことで
豆の挽き具合を調整します。
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コーヒー器具専門メーカーのカリタ製です。
1958年創業、60年以上の歴史があります。
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電動式はグラインダーに分類されますが
商品名は「ニューカットミル」です。
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工房に持ち込んだ時からコーヒーの芳醇な香りが
周囲に立ち込めています。分解にかかります。
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本体の構造は簡単なもので
周囲の固定ネジを順に外します。
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ホッパー左右側面の
固定ネジを緩めます。
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樹脂製のホッパーを取り出します。
ホッパー以外の本体は金属製です。
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内部に組み込まれているグラインダー本体が見えます。ホッパー
底面の穴からコーヒー豆が落下し、グラインダー中央の開口部へ
送り込まれます。こぼれたコーヒー粉がかなり溜まっています。
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ブレーカー復帰スイッチの固定
ネジも緩める必要があります。
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電源スイッチも配線に拘束されています。固定
ネジを緩めないと本体カバーを分離できません。
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本体カバーが浮き上がると、その隙間から
大量のコーヒー粉がこぼれて落ちてきます。
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電源コードの取り込み口も拘束されています。
簡単な構造の割に配線引き回しはタイトです。
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電源コードのプロテクターを
いったん外側に引き抜きます。
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プロテクターのロックを解除し
コードを内部に引き込みます。
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コーヒーの芳香が充満し、工房の作業室はほとんど
喫茶店状態です。ここから掃除機を使い本体内外に
残るコーヒー粉を徹底的に取り除いていきます。
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底面のダイキャスト製ベースの周囲に
大量のコーヒー粉が溜まっていました。
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手前のコーヒー粉取り出し口を分解します。
左右に2本の固定ネジがあります。
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袋を挟むクリップが付いたカバーが外れてきます。
取り出し口はその内側に作り込まれています。
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取り出し口は長さ50mmほどの
延長パイプにより下方向に導かれます。
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延長パイプは1本のネジで固定されている
だけです。内部もまたコーヒー粉塗れです。
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手前の化粧プレートを外すとダイキャスト成型
されたグラインダー全体が露になります。
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ひたすらコーヒー粉を取り除きながら、
いよいよグラインダー本体を分解します。
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リブ構造で補強された堅牢な
カバーを開け、内部を点検します。
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ブレード式、コニカル式などいくつか方式がある中で、こちらは
高速回転するディスクに付けられた刃がコーヒー豆を切り刻む
フラットカッティング式かと思います。写真を撮り忘れましたが
取り外したカバーの内側にも同様の刃が付けられているはず
です。中心のシャフトに刻まれたスクリュー溝は、コーヒー豆を
ディスクの隙間に連続的に押し込む役割を担います。ディスク
面に入り込んだコーヒー粉を、ドライバーの先で掻き出します。
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ほぼ内外のクリーニングを終えたところで
一応動作確認を行います。電源を入れます。
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ディスクが勢い良くかつ安定して回転します。写真左端の
穴から、粉末化したコーヒーが遠心力により取り出されます。
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さて、ひとつだけ不具合が。電源スイッチを入れた
瞬間にどこからか「カチッ」という金属音がします。
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起動トルクが大きいため、回転開始時にモーター自身の
振れを制限するアームが取り付けられています。
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アームは本体を構成するシャフトの1本に接続され、
その接続部にはゴムブッシュが嵌め込まれています。
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ゴムブッシュが破断して金属同士が
直接当たるため音が生じていました。
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アームとシャフトの隙間に新しい
ゴムシートを挟み込みます。
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ゴムシートが脱落しないように
瞬間接着剤で固定しておきます。
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起動時の金属音はほぼ解消しました。出力(消費電力)360Wの
モーターなので、静粛に動作しているようで大きな運動エネルギーが
生じています。ゴムブッシュが破断しても不思議ではありません。
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取り出し口周りも元通りに組み上げます。
細部に入り込んだコーヒー粉も除去済みです。
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ダイヤルを回転させるとモーターごとディスクが
上下し、隙間が調整される仕組みです。
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ホッパーも取り付けて作業完了です。内部から夥しい量のコーヒー粉が
出てきましたが、結局、ゴムブッシュ以外に不具合は見当たりません
でした。単純で堅牢な構造こそ業務用機器としての要件でしょうか。
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掃除機に吸い込まれてしまっては測る由もありませんが、
それだけで何杯か分の美味しいコーヒーを淹れられたかも
知れません。それでは、納品ついでに焙煎したての極上
コーヒーを手に入れてくることにしましょう。ご馳走様です。
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