夏前の6月末に栃木県壬生町までガレージシャッターの修理に
出かけました。記事のアップが遅れましたが、折角写真も撮って
きましたのでその顛末をレポートします。3連の大きなガレージで
シャッターの1枚目は正常、2枚目はリモコンが反応せずかつ
昇降が重く、そして3枚目はリモコンの反応が安定しません。
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壬生町は工房から車で約80km、1時間40分ほどの
道のりです。現地近くのコンビニに立ち寄ります。
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トミーテックやバンダイナムコクラフトが立地する
工業団地を有し、おもちゃのまちで有名です。
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コンビニの店頭に防犯カメラが設置されて
いますが、6月は燕の繁殖の季節で・・
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カメラの上に段ボールの巣箱が置かれて
いて、その中で燕が子育て中です。
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ご依頼主のお宅に到着し、早速シャッターの
動作を確認します。まず左端の1枚目です。
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リモコン操作によりシャッターが上昇し
始めます。この1枚は問題ないそうです。
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金属が擦れる耳障りな音がします。
上昇がやや重いように感じます。
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上端位置まで上昇して自動的に
停止します。まぁ、正常です。
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ガレージ内に外光が射し込みます。2枚目の
シャッターはリモコンが全く反応しません。
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ガレージ内の手動スイッチを操作します。リモコンも
手動スイッチもシャッターごとに用意されています。
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モーター音が聞こえシャッターが
ゆっくり上昇し始めます。
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途中まで上昇したところで
停止してしまいます。
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伺っていた通り手で押し上げると再び
上昇し始めます。動きがかなり重いです。
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何とか上端まで到達しました。油切れや汚れの
付着により各部で摩擦が増大しているようです。
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3枚目右端のシャッターをリモコン操作
します。反応しません、伺っていた通りです。
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手動スイッチで上昇させます。動きは
鈍いものの何とか上端まで移動します。
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1枚目シャッターの内側、天井方向にリモコンを
向けると3枚目は反応することに気づきました。
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その先にリモコンの受信ユニットが設置
されています。シャッター3枚分で3台です。
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最も状態の悪い2枚目中央のシャッターから修理を始めます。
設置30年が経過するガレージで、製造元の文化シャッターは
ガレージごと一式交換するしかないと回答しているそうです。
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シャッター上端の巻き上げ機構部です。
ボックスカバーがないので確認が容易です。
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左右両端に1m近い長さのコイルスプリングが組み込ま
れています。巻き上げトルクを低減する役割があります。
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中央部分にモーターを含む巻き
上げ装置が組み込まれています。
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かなりシリンダー長のあるギヤードモーター
です。外観的な状態は悪くありません。
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シャッター両側を挟み上下にスライドさせるスリット
です。多くの場合、この部分で摩擦が増大します。
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スリットの内側には、摩擦を低減するため
テフロン製のライナーが貼り付けられています。
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そのライナーも長年にわたるシャッターの
往復で、表面が荒れ汚れが集積しています。
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少々乱暴ですが、ハンドグラインダーにサンダー
ディスクを取り付けライナーを研磨します。
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ライナー表面がひと皮剥けて白く
新しいテフロン面が現れます。
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スリット奥の突き当りは金属面なので
スプレーグリスを吹き付けておきます。
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シャッター両側の摺動がかなり改善されたようで、この状態で
シャッターは上端まで巻き上げられるようになりました。しかし、
昇降時に上部の巻き上げ機構から耳障りな金属音が聞こえて
きます。詳しく機構を確認すると、鋼鉄製で頑丈に固定された
センターシャフトの周りを、金属リングがギヤードモーターの
動力で回転する仕組みです。このリングにシャッター上端が
固定されているので、回転により巻き上げられるわけです。
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リングの内周にギヤが刻まれています。センターシャフトに固定
されたディスク上で3か所の位置(0度、120度、240度)に
ピニオンギヤが取り付けられ、リングを介してシャッターを支え
内周のギヤと噛み合ってリングを回転させ巻き上げます。
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油切れを起こして全体的に錆が広がり、
どこから金属音が出てもおかしくない状態です。
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手が届く限りあらゆる可動部・摺動部に
グリスまたはオイルを吹き付けます。
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シャッターの上端を中央でリングに固定している部分です。
内側に挟み込まれているプレートが少しはみ出ています。
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横方向から確認すると、中央付近が
突き出て全体的に湾曲しているようです。
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シャッター上端(中央)を固定
しているボルトを緩めます。
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プレートのはみ出ている部分を叩いて
シャッター上端ラインに揃えます。
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固定ボルトを締め込みますがまだ
湾曲は改善されていないようです。
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中央あたりを手で押し込んでみますが、
それで修正できるものではないようです。
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注油は他2枚のシャッターにも作業します。
次はリモコンが反応しない不具合です。
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3枚のシャッター各々にリモコンと受信機が用意
され、それぞれペアリングする必要があります。
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受信機側は正常に動作していると仮定し、
反応しないリモコン2個を分解してみます。
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ガレージの内外から操作するので、赤外線ではなく電波を
使った仕様です。ボタン電池を入れても操作できません。
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リモコンの内蔵基板を注意深く観察すると、クリスタル
発振子端子の片方で半田が取れています。SMDが
多く並びリフローで半田付けされる中、このデバイスは
手作業で取り付けられていると思います。真っ先に
しかも高確率でトラブルを起こしそうな部分です。
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基板側のランドも剥がれていますが
隣の島に何とか接続できそうです。
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いつもは工房内のデスク上で作業する内容
ですが、現場それも屋外で半田付けします。
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ガレージの中にAC100Vコンセントがあるので、
ツールボックス内の普通の半田ごてが使えます。
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結果は、完全に復活です。ガレージの屋根に
受信機3個分のアンテナ(3本)が出ています。
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最後の問題は、3枚目のシャッターでリモコンが機能する時と
しない時があることです。ガレージ内ではリモコンの方向により
反応します。写真の方向、つまり受信機の方に向けると反応し
ガレージの外に出ると全くダメです。原因が分かりました、この
写真に証拠が写り込んでいます。矢印が示す垂れ下がった
コードのようなものは、屋根上のアンテナからの配線が本来は
受信機に接続されているはずが、切れているのです。実際には
アンテナにもつながっていないので、隣のアンテナ配線を共用
することにします(3本まとめて1本で足りるように思いますが)。
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作業を終え全体の動作確認を行います。
3枚とも一斉に上昇していきます。
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実はシャッター面を構成するスラット、その
連接部の全てにオイルを吹き入れてあります。
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シャッターの表側から吹き付けたので周囲に
オイル染みが広がり外観が損なわれています。
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洗剤を使った洗浄が必要ですが、作業前にご依頼主に
確認したところそのままでよろしいとのことで省略します。
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巻き上げ機構に特に深刻な損傷や故障がないので、
当分はお使いになれると思います。シャッター昇降が
滑らかになり昇降スピードも速くなっています。耳障りな
金属音(キーキー)も鳴り止んでいます。シャッター面を
綺麗に洗浄し、できれば再塗装することで新品に近い
状態に戻るでしょう。その作業もご依頼いただければ
再び「おもちゃのまち」壬生町へ出かけて参ります。
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