SONY製ワイヤレスイヤホンを修理します。本体にストラップが
付いており、それを首にかけながら途中から分岐する左右の
イヤーパッドを耳に入れて使用します。2セットが送られてきて
1台はケーブルの断線で、もう1台は内蔵バッテリーの劣化で
いずれも使用できません。バッテリーを入れ替えることで1台を
使えるようにして欲しい、いわゆるニコイチ修理をご希望です。
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この小さなモジュール内に、ワイヤレス受信回路、
増幅アンプ、バッテリー等が組み込まれています。
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ワイヤレス規格はBluetoothで、
おそらく標準のVer.2.0でしょう。
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2セットのうち1台は、この通りケーブルの
本体引き込み部が傷んでいます。
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金属メッシュで保護された丈夫な
ケーブルですが、切れかけています。
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充電スタンドに載せると、LEDが
点灯して正常に充電できます。
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裏蓋を開けてみます。精密
ドライバーでネジを緩めます。
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多聞に漏れず回路基板はこの通りです。スマートホンレベルの
高密度に部品が実装された回路基板です。もし、基板上の部品に
問題があれば(守谷工房に限らず)手の打ちようがありません。
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ケーブルに問題のないもう1台です。こちらは
充電ができません。バッテリーの劣化でしょう。
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試しに最初の1台からバッテリーを
取り外し、移し替えてみると・・
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正常に充電できるようになります。後者の1台に内蔵されていた
リチウムイオン電池は完全に寿命のようです。2セットを組み合わ
せて1台を復活できたので(いわゆるニコイチ)、ご要望に従えば
この時点で修理完了です。しかし、ケーブルが切れかけている
前者の1台も何とかしたいものです、ニコトモを目指します。
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本体内部に引き込まれたケーブルの回路
基板取り付け部です。半田付けされています。
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ケーブル引き込み部には、かなり厳重な
ホルダー部品が取り付けられています。
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ケーブルを外すため
半田ごてを当てます。
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片チャンネルの信号線
(赤側)とアース線を外します。
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他方の信号線(緑色)と
アース線も外します。
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スイッチパネルの脱落を
防止する部品です。
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スイッチパネルをいったん
取り外しておきます。
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ホルダーごとケーブルを
引き出すことが出来ます。
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ホルダーは2ピースからなり
ケーブルを挟み込んでいます。
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キャップ側の部品を
引き抜きます。
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ホルダーの中からようやく出てきたケーブルは、金属ネット製
外被膜の終端部が樹脂でモールドされています。首に掛けて
使用されることで大きな外力が加わる可能性があり、よほど
耐久性を高めておきたかったのでしょう、実に入念な設計が
施されています。が、残念ながら断線したことは事実です。
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4本の芯線がモールドの先まで延びて
います。根元を束ねるスリーブを抜きます。
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外被覆を出たところ、つまり保護が及ば
なくなるところで芯線はズタズタです。
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モールド部分はホルダーの内部形状に合わせて
成形されています。再利用せざるを得ません。
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ケーブルを通し直すために、
ドリルで穴を広げます。
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何と穴の内部に金属片が隠れています。
モールド内でケーブルを固定していたバンドです。
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ケーブルを束ねた状態でモールド成形された
のでしょう。ルータービットで取り除きます。
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金属片を取り出すとようやく2本のケーブルが外被覆ごと
モールドを通ります。配線に必要な長さ分を引き込みます。
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外被覆を丁寧に除去し
芯線を取り出します。
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予め芯線の先端を半田上げしておきます。
エナメル処理されているので加熱するだけです。
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片チャンネル分2本を半田付けします。
何とか半田ごてを取り回せるスケールです。
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他方のチャンネルも半田付けします。
赤色と緑色でL・Rを区別します
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モールド部はまだ簡単に移動できます。
固定位置ギリギリに合わせておいて、
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ケーブルの出る根元に瞬間接着剤を
流し込みます。十分な強度が得られます。
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そのままホルダーに収めます。
外観的には修復の痕が残りません。
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キャップを嵌め込み本体内に戻します。外被覆が
引き込まれているので強度的に有利です。
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LEDの導光板をセットします。
忘れると点灯の有無が分かりません。
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回路基板も内部に戻します。基板上部の
空間にリチウムイオン電池が入ります。
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ケーブルの芯線を確認します。程良く
感覚を取るよう位置を整えます。
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手配しておいた新品のリチウムイオン電池です。
30×20×6mmの製品をようやく見つけました。
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問題なく充電できます、LEDの赤色が消えると充電完了
です。劣化したバッテリーでは、充電開始後に間もなく
赤色が消えてしまい、もちろん全く充電されませんでした。
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最後に、実際にBluetooth接続してワイヤレスイヤホンとしての
機能を確認します。スマートホンを取り出してペアリングさせて
みます。「DR-BT20NX」製品名がそのままデバイスとして
表示されています。スマートホン内の音楽が綺麗に再生される
ので、完全に修理できているようです。ニコイチは1台を犠牲・
ゴミにするわけで、2台とも修復(ニコトモ)できて何よりです。
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